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底辺召喚術師のシュウカツ事情  作者: なおさん
第1章
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どうやら”転生者”だった様です

そこは何も無い空間だった・・・


白い空間、そこで俺の体は少しずつ分解されていた・・・


痛みも何も感じない・・・


そうして全てを分解されて俺の意識は途絶えた・・・





「リュシル様・・・、  リュシル様・・。」


僕はその声に瞼を開く。


そこには僕の顔を心配そうに覗き込む女の子の顔があった。



「リュシル様、うなされていた様ですが、大丈夫ですか?」



「ああ、おはよう。大丈夫だよ、少し夢見が悪かっただけだから。」


僕はそう答えると優しく微笑む。



「それでしたら、よろしいのですが・・・」


その女の子は少し顔を赤くしてそう答えた。



まだ幼さが残るが綺麗な顔立ちをしており、髪はストレートの黒髪を肩口で切りそろえており。


黒を基調としたロングスカートタイプのメイド服姿で、僕の傍に佇んでいた。



彼女の名前はフィーリア、僕の専属の従者と言う位置付けになる。


僕の家では、5歳になると、それぞれに専属の従者が就くことになる。


フィーリアは確か10歳だと言っていたかな。



僕の名前は、リュシル・クロノーツ。クロノーツ子爵家の長男として生まれ。


そして、10日前に5歳となったばかりだ。



「そろそろ、朝食の時間となります、御支度をお願いします」


フィーリアは、そう言って一礼をした。



「ああ、わかったよ。」


僕はそう答えて、用意されていた着替えに手を伸ばそうとする。


その手をガシッとフィーリアに掴まれる。


僕は恐る恐るフィーリアを見ると彼女は静かに首を横に振る。


やっぱり今日もダメ?と言う思いを籠めてフィーリアの目を見る。


フィーリアはそんな僕を見て静かに首を縦に振ると、にっこりと微笑む。


そうして僕は、フィーリアの手によって服を着替えさせられるのであった。


ちなみ、5歳になったので自分で着替えるよと言ったのだが、「これも私の仕事ですから」とやんわり断られてしまった。


今までは、年配のメイドがやっていたので、あまり気に成らなかったのだが、フィーリアは歳が近いので何だか気恥ずかしかった。



その後、支度を済ませてフィーリアと共に食堂へと入っていく。


そこにはすでに家族が揃っていた。僕が一番最後だった様だ。



「おはようございます、遅くなり申し訳ありません。」


そう言って僕は自分の席に向かう、隣の席に座っている弟アーベルの頭に手を置いて撫でるとくすぐったそうにしていた。



「どうせ、今日の事が楽しみで、夜眠れなかったんでしょ?」


と、一番上の姉、レティシアがからかう様に言い。


そういえば今日だったね~と2番目の姉、マリーが頷いていた。



「ええ、楽しみでなかなか寝付けませんでした。」


僕は、それに真面目に応え笑顔を向けた。



「いいな~、僕も早くギフトを授かりたいな~」


弟がそう言って、羨ましそうに僕を見ていた。



ちなみに姉は、からかい甲斐が無いわね、と呟いていた・・・


一番下の妹はよく分かって無いようで終始ニコニコしていた。



「お喋りはそれぐらいにして、朝食を食べてしまおう、この後神殿に向かわないといけないからね。」


父さんのエルンストの言葉に僕は頷く。




朝食が済み、食後の香茶を飲んでいると、父さんの従者の一人が馬車の準備が出来た事を伝えにきた。


「でわ、出掛けるとしようか。」


と、父さんは僕に向かって言い、席を立った。


僕もそれに「はい」と答え父さんの後につづく。



ちなみに、神殿へ向かうのは、父さんと母さんのイレーヌ、僕とフィーリアの4人だ。


神殿は、敷地を出て大通りを東に向かうと数分の所にある。


歩いても直ぐだが、領主が歩いて行くと言う訳にもいかないので、馬車で移動している。


父さんはあまり気にしない人だが、周りの家臣たちがうるさいとのこと。




移動中の馬車の中で僕はすごく浮かれてたんだと思う。


どんなギフトを授かるのだろうと、想像してニコニコとしてたんだと思う。


そんな僕を見て、父さんたちも、微笑ましそうにしていた。


でも、それがあんな結果になるなんて、この時の僕は思いもしていなかったんだ・・・。





白を基調とした壮麗な建物が目に入って来る。


いつも見ている建物だけど、今日はなんだか違って見えた。


馬車は神殿の敷地内へと入り、神殿の扉の前で止まった。


扉の前には女性が一人待っていた。確か助司祭のセルビナさんだったかな。


「お待ちいたしておりました」


「今日はよろしく頼むよ」


父さんと挨拶を交わし、中へと案内されて行く。


神殿の祭儀場の奥には、5メートルほどの高さの女神イルシュの像が立っており、


足元の祭壇の前には祭儀用の司祭服に身を包んだ70歳位の男性が立っていた。



「よくきたのぅ、エル坊、仕事が忙しいのは判るが定期の礼拝にもっと来れんのかのぅ、イレーヌはちゃんと礼拝に来ておるというに。」


「メルヴィ司祭様、エル坊は止めてくれませんか?。私ももう良い歳なのですから。」


父さんが渋面を浮かべて答えたが。 


「いくつに成ろうとも、わしにとっては、悪ガキのエル坊じゃわい。」


それを見て母さんはクスクスと笑っていた。


悪ガキだった頃の父さん・・・。凄く気になるけど。



「司祭様、今日はこの子の儀式よろしくお願いいたしますわね。」


「メルヴィ司祭様、よろしくお願いします。」


母さんに背中を押され、僕は前に出て、司祭様に一礼をした。


ちなみに父さんは、子供の前で昔の事は言わなくても・・・と、肩を落として呟いていた。



「そう固くならんでも大丈夫じゃわい、儀式に失敗しても死ぬことは無いわい。」


その言葉に僕は、儀式の前にそんな事言わなくても・・と、頬を引き攣らせた。



「司祭様、冗談はそれぐらいにして、儀式を行いましょう。」


と、助司祭に嗜められていた。


冗談は時と場所を考えて行おうよ・・・。



「おほん、でわ儀式を始める、リュシルよ祭壇の前へ。」


司祭様は咳払い一つして、儀式の開始を告げる。


僕は、その声に従い、祭壇の前に歩み寄り、片膝をついて、手を胸の前に組み、女神像へ祈りを捧げる。


司祭様は、それに合わせ祈りの言葉を紡いでいく。恐らく魔法の詠唱なのだろう。


祈りの言葉に合わせて、女神像が淡く光り始める、そして祈りの言葉が終わると同時に、女神像から一筋の光が僕に照らされた。


頭の中に何かが書き込まれる様な感覚。


ズキ・・・。一瞬頭痛がした。


その後、女神像から光が消えて行き。司祭様から「もう、顔を上げても大丈夫じゃよ」と声をかけられた。


僕は顔を上げて司祭様を見る。



「うむ、これで儀式は終了じゃ、これでリュシルにもギフトが授かったはずじゃ」


僕としては、特に何かが変わった様な感じがしないけど・・



「先ずは何のギフトを授かったのか確認してみるのじゃ、頭の中でステータスと念じて見るのじゃ」


僕は司祭様の言葉に従い、頭の中でステータスと念じる。すると、文字と数字の羅列が頭の中に浮かび上がる。



「これは・・・文字と数字が見えます・・。」


僕が呟くと。



「うむ、うまく行った様じゃの、それがギフトと同時に授かるステータスを見るための魔法じゃよ」


僕はなんだかドキドキしてきた。



「その中に職技能という、項目があるはずじゃ、それがリュシルの授かったギフトになるのじゃよ」


僕は焦る気持ちを抑えつつ、職技能の項目を探す・・・。あった!。



「ええと・・、ん? 物質召喚術師?」


僕の声を聞いた瞬間、司祭様の顔が一瞬強張ったののを僕は横目で見た。


父さん達の方を見た、父さん達も固まっていた・・。



僕はもう一度ステータスを端から端まで見た。


やっぱり・・・物質召喚術師になってる・・・


ズキ! また・・頭痛が・・。


ズキズキと頭痛がひどくなる中で、ステータスの称号の項目で目についた文字があった。


 ”転生者”


そして俺は意識を失った・・・






読んで頂きありがとうございます。

一部修正しました。

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