好奇心猫を殺す
にゃーん
「おい、心お前はあの話信じなかったのか?」
あの中二病との話を途中で抜け出し、輪と一緒に帰ってるときに唐突にそんなことを言われた。
「あの話って拷問事件の話か。」
「それもあるけど特殊能力の話だよ。」
「俺が筋肉痛っていう話か。」
「そうっぶっちゃけるとおまえどれくらい信じている?」
俺はあの話をほとんど信じていない。あの話によると俺たちは特殊能力を持っているらしいが輪もそうだし、俺もそんな能力が使えるなら人生の中で一回は使ったことがあるはずだ。
「俺は全く信じてないし興味ないな。」
「まったく面白くねーなおまえ、男だったら不思議な力を使って戦おうとか思わねーのかよ。」
「俺は人生の中でそんな力使ったことがないし使いたくもない、あまりけがをしたくない。そんな話は二次元で見ているだけで十分だ。」
「ほんとに詰まんねーなおまえ。」
輪はぼそっとこちらに気を使ったのだろうか小さな声でつぶやくとそのまま角を曲がり
「おれこっちだからじゃーなー。」
と言い家の方に向かって行った。
正直に言うと俺は輪にうそをついた。特殊能力の話は信じていないが拷問事件についてはとても興味があった。いまだに犯人が見つからないことも興味の一つだが、それ以上に見つかった被害者全員精神がおかしいこと、そしてもしもそんなことができたとしてなぜやるのかという点だった。
だから俺はそのまま家に帰るのではなくそのまま事件について調べるために歩きに行った。
歩く歩く歩く
人が見つかりにくい裏路地中心に
歩く歩く歩く
表どうりの音が聞こえない所を
歩く歩く歩く
静かに慎重に
しかし一時間近く歩きつづけても何の手掛かりが残っていなかった。
当然だ。そもそも俺は事件については知っているが、この町で起こったことぐらいしか知らないし、事件現場は警察によって調べられているはずだ。
半分はわかっていたが少し悲しかった。
そして日が暮れ始めてきたので帰ろうとしたときに音が聞こえた。
おかしいここは表どうりの音は聞こえないし、今は事件で話題になっているせいなのか裏路地で人を見かけなかった。それでも話し声ならまだ理解できた。しかし今聞こえているのは何かをたたきつけているような音。ぐしゃっぐしゃっと何かを肉にたたきつけている音だった。
この時点で俺は帰ればよかった。しかし俺は今探していたものがそこにある。今帰ったらもう見つけれないのかもしれない。そう思い、俺は好奇心に負け音のする方に行き見てしまった。
俺の目に映るのは独りの少女がひたすら石を持ち横たわった人間をたたきつけている様子だった。