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8話

 俺がウェインさんと再会した時はもう塔の頂上に着いた時だった。

「山城、神から大きな力と世界の知恵を貰ったぞ」

「おめでとうございます」

 久しぶりに会ったウェインさんは相変わらず女の子のままだったが、なんか強そうだった。

「そういえば世界の知恵とか手に入れたんですから女性から男性に戻れる方法も解ったんじゃないですか?」

「ああ、そのことなんだがギュフイという国にある泉で元に戻れるそうだ」

「見つかって良かったですね」

「どうだろう、そこまでの旅で山城も行かないか?」

「えっ、でも国で仲間が待っているんだし、その人たちに協力して一緒に行けばいいじゃないですか」

「彼らは国の政治や防衛などで忙しいと思うから会うのは別にいつでもいい」

 意外と淡泊な一面もあるんだな、ウェインさんって。

 でも異世界での冒険か、興味はあるけどどうしよう?

 めったに出来る機会じゃないし、行ってみようかな。

 でも、学校とか時間の都合もあるしな。

「時間とかの問題もあるし、冒険は無理なんじゃないですか?」

「それなら心配いらない。神の力でこの世界の時を止めて、そのまま異世界に冒険できるようにすることが出来る」

 凄いなチートというか凄くご都合主義な力だ。

「山城が冒険したければ今すぐにでも出来るぞ」

「それならお試しで短い時間ですが、冒険してみようかと思います」

 ウェインさんと冒険してみるのも案外楽しいのかもしれない。

 そう思う自分がいた。

「1時間だけ冒険したいんですけど、いいですか?」

「わかった。山城の言うように今回は塔から町の途中まで冒険しよう」

 そういうとウェインさんは長々と魔法を唱えて辺りが白い光に包まれた。

 これから冒険が始まると思うと少しだけワクワクして、1時間以上も冒険してみたいと思う矛盾した感情が芽生え始めていた。



 光に包まれた後は辺りに緑の大草原と大きな塔が見えていた。

「ここが私のいる世界だ」

「凄い塔ですね。それに空気がおいしい」

 俺は大きなジェネレーションタワーを眺めながら青空を見て清々しい気持ちになっていた。

 いつもは街中で森や自然などを見なかったせいか新鮮な気持ちが強くなっていたのかもしれない。

「それでは旅を始めよう」

「そうですね」

 俺はウェインさんの言われるままに大草原の道を歩いていた。

「ウェインさん」

「なんだ山城?」

「靴とかありませんか?裸足なんで」

「それなら魔法で出そう」

 ウェインさんに魔法で黒の革靴を出してもらい、それを履いて気持ちを新たに大草原を歩いた。

 これから始まる冒険に俺は少しワクワクしていた。

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