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最終話

 あれから長い時間が経った。

 俺が大人になった時に、ある日ウェインさんはこう言った。

「お前と会えて本当に良かった」

「どうしたんですか、いきなり」

「私はジェネレーションタワーを登ったからエルフ並に長寿なのは知っているだろう?」

「ええ、懐かしいですね。ジェネレーションタワーで会ったのももう何年も前の話ですね」

「お前は今は会社員をしながら私と友人として付き合っているが、いつかお前と死別することになるかもしれない。その時の失った悲しみを思うといつまでもこの世界にいて欲しいと思う」

「それならまた長くこの世界にいますよ」

「シフォン達もいなくなってまた孤独な自分がいると思うと悲しくなってな」

「悪い方に考えすぎは良くないですよ」

「わかっているのだが山城ならいつまでもこの世界にいて欲しい」

 友人のためにこの世界に居続けることが俺の幸せになるのだろうか?

 これから会社でやっていく不安もあるが、この世界にいればそんな悩みも無くなるだろう。

 でもそれはわがままな気もした。

「ウェインさん。俺は時々でいいからこの世界にくる。昔そう言いましたよね?」

「ああ、そんなことを言っていたな」

「ウェインさんに会えて俺の人生は変わりました。良い友人になれたと自信を持って言えます」

「ありがとう」

「でも最近思うんです。人はいつか死ぬかもしれないがその期間が輝かしいものだと、いつまでもこの世界にいては俺も死ぬことが出来ないんです」

「そうか、お前は私と長く生きるのを選ばずに平凡に生きて死を選ぶというのか?友情を裏切るのか?」

「それは友情じゃなくてわがままだと思うんです」

「違う!わがままなんかじゃない!いつまでもいていいんだ、この世界に」

「ウェインさん俺ね。大人になって気づいたんですよ。人はいつまでも生きていると飽きてしまう。友情もいつかは薄れてしまうってね」

「私と山城の友情は永遠に不滅だぞ。バカなことを言うな」

「だから今なんです」

「今だと?」

「そう今を生きているから友情や人生も輝きがある。いつまでも長生きしているとバチがあたるって思うんですよ」

「輝きか…それがお前の出した答えか?」

「ウェインさんも暇になったら第二の山城健二を見つけてください。それまでは一緒にいてあげます」

「そんな別れ話を二度と口にするな!」

「いつかは言わなきゃいけないのも友人だと思うんです」

「わかった。それまでは友人として居続けろよ」

「約束しますよ」

「約束だぞ」

 いつかは別れるかもしれない俺とウェインさんだけど俺は忘れないだろう異世界で出来た友人のことを…。

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