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31話

 ウェインさんの呪いが解ける期間までに俺は歴史書を読み漁る。

 この世界には神が実在して実際に下界に降りたこともあるようだ。

 神は元は古代人の一種族でなんらかの方法を使って神になったそうだ。

 要するにもとは人間だったと言うことである。

 そのさらに上にゼクストと呼ばれる神がいて、その人は元々神だったそうだ。

 宇宙を作り上げた神としてゼクスト教という宗教団体もいるらしい。

 古代人側の神の宗教もあって、宗教的な問題は色々あるようだ。

 魔法にも禁呪と呼ばれる本来は禁止されている恐ろしい魔法もあるようだ。

 意外と緩いと思っていたウェインさんの世界だが、色々あるようだ。

 最後に魔族の中には喋れるものと喋れないものに別れており、知能がある魔族側が和平を結んだだけであって、喋らない魔物は今でも出て来ては暴れているそうだ。

 人間側も人間側で盗賊や山賊になった者も後が絶えず増えていたらしい。

 そういうわけで真の平和への道はまだ開けていないそうだ。

 本を読み終えるころにウェインさんがやってきた。

「あっウェインさん男に戻れて…」

「…いないのだ。山城よ」

 ウェインさんは女性のままだった。

「性別以外は元にもどったが、今後は女として過ごすしかないらしい」

 ウェインさんは暗そうな声でそう言った。

「ええっ、でも戻れるって」

「アーガス殿が言うには強力な呪いが宿っており、元に戻すと私自体のありとあらゆるバランスが崩壊すると言われてしまった」

「それはまた災難ですね。でもいいじゃないですか本来の力が戻っただけでも」

「それはそうだが。今後女性として振るまうなんて自信がわかない」

 ああ、もう女性として生きること覚悟してるんですねウェインさん。

 潔いなぁ。

「アーガス殿には駄賃は半額でいいと言われたが、これから先は女性として生きねばならない」

「歴史書にもそう記されるでしょうね。仲間たちは認めてくれるから大丈夫ですよ」

「仲間には瞬間転移魔法で先ほど事情を話した」

 便利だなぁ、相変わらずその魔法。

「山城ももう旅を続ける理由も特に無いだろうし、元の世界に返してあげよう」

「えっ、いいんですか。久々に元の世界に戻れますよ。嬉しいなぁ」

「私が女性になった悲劇は軽々と無視か」

「いや、そりゃあ不幸でしたけど、どうしようにもならないじゃないですか。それに女性になれたんだから得だと思わなきゃ」

「どう得だというのだ」

「ウェインさん元が男という点を除けば可愛いですしね」

「そうなのか?」

「そうですよ。それは保証しますよ、ええ」

「あまり嬉しくないな」

「意識的に段々女性になっていくんじゃないですか?」

「そうかもな。よし、これからは女性として生きていこう」

 ウェインさんが納得したのでこれでおそらくたぶん問題は解決しただろう。

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