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27話

「今日の訓練ご苦労様でしたな、山城殿」

 レオンハルトさんが宿舎で俺にそう言った。

 ここは城門の兵士が使う余った宿舎で俺とウェインさんは別々で使って寝ることになっていた。

 そんな中で今日の個人的に散々だった訓練を思い出す。

「レオンハルトさんが1人で2人を圧倒してましたね。俺の出番はそんなありませんでしたし」

 俺は率直に感想を述べる。

「いやいや、山城殿もあの1戦で成長していましたぞ。無駄な訓練などありませんからな」

「そうですか?」

「そうですとも。特に槍捌きが上達していました」

 細かい所を戦闘中に見ているんだな、レオンハルトさんって。

「ところで山城殿はウェイン殿とラーズラース殿のどっちが好みですか?」

 急に予想外の質問がレオンハルトさんから飛んできた。

「どっちっと言われてっも何が好みなんですか?」

「ずばり女性としての魅力の話ですよ。山城殿はウェイン殿と付き合いが長そうですし、ラーズラース殿は大人の女性の魅力があるではないですか?」

「え、ええ。そ、そうですね」

 俺は戸惑いながらもレオンハルトさんの話を聞いた。

「ウェインさんとは元々男の人ですし、そういうのはありませんよ」

「そうなんですか、そういえば呪いで女性になったとは聞きましたね。なるほどそれなら2人は友情で今の関係を保っているのですね」

「い、いえ友情かどうかはわかりませんが。なんとなく巻き込まれて、なんとなく付き合いが続いている感じですね」

「そうなんですか」

「そう、かもそれませんね」

 答えに若干の戸惑いがあった。

 ウェインさんは果たして俺の友人なんだろうか?

 今まではそんな友人はいなかったけど、友人として信じていいのだろうか?

 信じると言うのは語弊があるかもしれないが、友人になっているのだろうか?

 それをウェインさん本人に聞くのが何だか怖かった。

 なんでレオンハルトさんはそんな事を聞いたのだろう?

「あの、どうしてまたそんなことを聞いたんですか?」

「ふむ。旅をしていてなんとなく思ったことですので、ではラーズラース殿はどう思いますか?」

「どうって言われても優しい女性ってイメージしか湧きませんね」

「なるほど、付き合うとかそういう関係にはならないのですな」

 レオンハルトさんはそう言うと2階のベッドに寝転がった。

「何にせよ。明日からまた旅が始まるわけですし、山城殿も体力補充で早めに寝た方がいいですぞ」

 そう言うとレオンハルトさんはグースカと寝始めた。

 友達か、俺はそういう事を考えつつその日は寝た。

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