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「モンスター・テイマー」と呼ばれた少年  作者: olupheus
第3章 秋のお祭り騒ぎ!
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豊穣祭:3日目

年は既に明けましたが、作中はまだ秋なんですよ~。

へへ~、いつ冬になるんでしょうね……。

まあともかく、今回もどうぞ!

 豊穣祭3日目。今日はクラスの出店の出店日である。クルム達は自分の制服に着替えて開店の準備をする。クルムの今日の衣装は男子向けのものであり、1日目とは大分印象が変わっていた。……ただ、見ようによっては男装している、という印象になってしまうのだが。


「ほらクルム、ここずれてるよ」

 リピアがクルムの制服のずれを直す。ピッと制服のしわを伸ばして、全体をぐるっと確認して、

「うん、オッケ!」

 ポンポンと頭に触れる。するとそこに、エプロンに身を包んだペルルが足音を立てて近付いてきた。昨日遊びに行けなかったこともあって、朝は大分寂しそうにしていたが、今は笑顔を見せている。

 何故ペルルが遊びに行けなかったかというと、砂の国からの賓客を出迎えるためである。つまりペルルの父であり砂の国の王、ビジュ・エーデルシュタインとの再会があったからであった。

 初めはクルム達と遊びに行けないせいでむすっとしていたが、ビジュの姿が見えると真っ先に飛び出していった。いくら知っている人間がいるといっても、ほぼ一人で家族と離れて異国の地で生活するのはそれなりに寂しかったようだ。

 かくして親子水入らずの時間を過ごして、今日に至る。ちなみにこの豊穣祭でウェイトレスをやっている、ということを聞かされたビジュは全ての公務をキャンセルしようとしたが全員から止められた。諦めの悪い本人は必死に公務を片付け、時間を作ろうとしていて、「まずは国王との会合をさっさと終わらせて……」と考えているようだ。宰相にバレて大目玉を喰らうのも時間の問題である。



 そんなどこぞの国王の野望はさておき、定刻通り出店は開店した。1日目で宣伝をしていたクルム、ペルルはウェイターを担当、入り口にはミルトニアとレリアが立っている。1日目を乗り越えて慣れたか、妙な集客方法を取らなかったためか、客の流れは穏やかだった。それでもたくさん人が来ていることに変わりはないのだが。

「ケーキセットです!」

 リピアの「接客は元気よく、相手に聞こえるように!」という教えを忠実に守って、クルムはケーキセットを運ぶ。頬が赤くなり始めているので、人見知りが多少見え隠れしている。無事にケーキと飲み物をテーブルに置くとホッと一息ついて、ぱたぱたとカウンターに戻る。まるで、というかまさしく小動物そのものの動きに、ケーキを置かれた客も笑みを浮かべる。

「ここかな?」

「団長、ここで間違いないですね」

 その時、外から団体の客が入ってきた。昨日たまたま会ったサーカス団が、約束通り来てくれたのである。

「いらっしゃいませ。……えーと、何人ですか?」

「えー、取り合えず15人ですな」

「15……、ちょっと待ってくださいね」

 外にいたミルトニアが中に入ってきた。

「リピア、どうする? 15人って、そんないっぺんに座れるテーブル無いよ?」

「そうねぇ……。15人なら……4グループか。4人ずつくらいで分かれて座ってもらうことになるけど、それでも大丈夫か聞いてくれる?」

「分かった!」

 ミルトニアが外に戻る。すぐにサーカス団がぞろそろと入って来た。彼らはリピアが提案した通り、4人ずつのグループ3つ、団長のいるテーブルのみ3人、という形で分かれて座った。その団長のテーブルにクルムが向かう。

「いらっしゃいませ!」

「こんにちは。約束通り来たよ!」

「うん、ありがとう! ……あ! ごちゅーもんを、おうかがいします!」

 急にきりっとしてそんなことを言ったクルムを見て、団長たちは笑うのだった。


「あれ、ここのところあちこちで話題になってるサーカス団よね。何でクルムと親しいのかしら?」

 裏手の方で様子を見ていたリピアが呟く。

「あれ、やっぱりそうだったのか。……うーん、分からないな」

 同じく裏手でケーキの準備をしているコナーが返す。

「そういえば、数年前あそこの、象だっけか? が暴れてちょっとしたニュースになってたなぁ。そんでそれを止めたのは小さい子どもだったとか」

 コーヒーを淹れているマスターも加わる。

「まさかクルムが? まさかねぇ……」

「でもあり得そうだなぁ……」

「まぁ、クルム君なら何となくやりそうじゃないか?」

 3人顔を見合わせ、もう一度表の方を見る。テーブルの方ではいつの間にかジャグリング大会が始まっていて、ウェイター含む全員が夢中になっていた。外から覗く人まで出る始末である。

「はぁ、ちょっと行ってくるわ。外が大変なことになってる」

「あぁ、任せた。あの辺でボーっとしてるフィンも連れてってくれ」

「そうする」

 リピアは裏手から出て行った。

「さて、早く準備してしまおうか」

「そうですね」

 裏手では表の喧騒から離れて、客をもてなす準備が進んでいる。



「まだまだ公演をやってるからね。良かったらまだ来ておくれ」

「クルム君、またね~!」

「ばいば~い!」

 結局先に来た15人に加え、後から20人が追加で来たサーカス団の一団は、クルムを初めとしたクラスの全員、たまたま来ていた他の客との触れ合いを楽しみ、ぞろぞろと帰っていった。

「ふぅ、嵐が去った」

「全くね」

 リピアとミルトニアが後片付けをしながらぼやく。時間的は既に午後のティータイムだが、客の入りも大分減り、店内は落ち着きを取り戻していた。クルム達も隅のテーブルを借りて一休みしている。……と、外がにわかに騒がしくなる。

「何かしら?」

「さぁ?」

 2人は顔を見合わせる。外の騒ぎ声はますます大きくなる。

『……あそこか?』

『おそらくそうでしょう』

『やっとたどり着いたぞ……!』

『まさか本当に全部片づけるとは……』

『やかましい! せっかくの娘の晴れ舞台だぞ……!』

「あ、何か嫌な予感」

「嵐がまた来たわ……」

 そして。

「ペルル、ここかぁー!」

 バアン! というけたたましい音と共に、砂の国の王、ビジュが姿を現した。周りの客は揃って開いた口が塞がらなくなっている。クルムの隣でお茶を飲んでいたペルルがぶんぶんと手を振った。

「おぉ、ペルル……!」

 国王がいきなり学校に現れて感極まっているという異常事態に、理解が追いつくものは誰もいなかった。が、そんな中でも動き出す者が数名。

「いらっしゃいませ。国王、お久しぶりです。……何名ですか?」

 まずは喫茶店の看板娘にして接客のプロ、リピア。取りあえず店の中に入れてしまうことにしたらしい。

「3名です。……ウチの国王がご迷惑をおかけしまして……」

 次に反応したのは国王の隣にいた初老の宰相である。肝心の国王はすっかり置物状態になってしまっていた。ちなみにあと一人は、ペルル付きの侍女である。ずっと苦笑いを浮かべている。


 テーブルに通された国王一行。さすがに身分が身分なのでクラスの担任であるマリー、それと学校の学長が報せを受けてクラスに飛んできた。学長は驚いた顔をしていたが、マリーの方はすっかり無表情になってしまった。……少しだけ周りの空間が空いている。

 そんな教職員が見つめる先では、休憩を切り上げたペルルが注文の品を国王の元まで運んでいる。妙な緊張感が漂う中、多少危なっかしい足取りではあったが、どうにか運びきった。

「おぉ、ペルル、ありがとう……、ありがとう……!」

「ペルル姫はこんなにご立派になられましたよ……!」

「うむ……、やはりこの国に留学させて正解だった!」

 国王と侍女がすっかり自分たちの世界に入り込んでしまった横で宰相が、

「ペルル様、ありがとうございます。とりあえずあの2人は私が何とかしておきますので、次のを運んでいただけますかな?」

 と実に冷静な対応を取る。それにペルルはにっこり笑ってきびすを返し、次のものを手に取った。


「うむ、うまい。実に良い品を使われているようだ」

「確かにその通りですな。これまで味わったものと遜色ありませんな」

「は、お口にあったようでなによりです……」

 宰相のおかげで何とか正気を取り戻した国王一行による品評は、合格点をもらえたようである。マスターがテーブルの脇に立って、何とか言葉を紡ぐ。ペルルからはマスターの頬に冷や汗が流れているのが見えた。

「さて、マリー先生。ペルルはどんな具合ですかな?」

「は、はい。ペルル嬢は周りの子と比べても最年少ではありますが、危なげなく勉強に付いてこられています……」

 そして始まる5者面談。外では他の教職員やギルドから駆け付けた職員による交通整理が始まっている。ある意味厳戒態勢が敷かれる中、面談は続く。

「ペルル様はご存知の通り、言葉を発することができなくなっております。侍女の話ではそれを克服しようと努力しているようではありますが……。そちらにご迷惑はかけておりませんか?」

「いえ、とんでもない! 私も教員の端くれですから、ペルル嬢がどのようなことを考えているかは表情から推察できます。幸い、表情豊かですので、推察はしやすいです。どうしても、という時はクルム君が通訳してくれますので……」

「そう、そのクルム君ですが、ウチのペルルとは……」

「毎日仲良くしております。同年代の子ども達ともうまくお付き合いができているようで……」

「それは何より」

 この時点でマスターはすすす……と音も無く裏手に下がっている。子ども達も全員裏手に下がって様子を伺っていた。

「あ、マリー先生足をつねったぞ。ありゃー、結構キてるな……」

「マスター、先生用にケーキをいくつか用意してもらっていいですか?」

「あ、ああ、いいけど、何でだい?」

「マリー先生、おっきなストレスとかプレッシャーを受けると毎回足をつねるんです。で、それから解放されると……」

「好物の甘いものをたくさん食べるんすよ」

 本人の知らないところでフィン、コナー、レナルドの3人によってクセが暴露されてしまっていた。

「なるほど。じゃコーヒー……、は好まないか。お茶でも用意しておこうかね」

「それが良いと思います」

「学長用にも何か合った方が……」

「外の人達にも……」

「……そうだね」

 そんな気遣いと、表に流れる微妙な空気を知ってか知らずか、クルムやペルル達は国王と先生の様子をこっそり見ながら、お互いにくすくす笑い合っていた。結局3日目も、1日目と変わらない騒ぎようのまま終わってしまったのだった。

さて今年も次々大型タイトルのゲームが発売されます! 楽しみですね!

第一弾はモンハンワールド! ベータ版プレイしましたけどやっぱり面白いですね!

ほとんど携帯機でやってたので、HPの表示が画面端になると意識して見ないと、中々見えないんですよね……。あ、あと回復薬! 今までの仕様からガラっと変わってました! 回復薬使ってる途中で回避できるようになりましたが、ロクなことにはならないです。まさしく無駄使いに終わるかも、という感じですね。


ベータ版のプレイ時期は終わってしまいましたが、後は製品版が延期しないよう祈ってましょう。発売は金曜日。確実に狙ってますね(何を?


ま、それはともかく次回をお楽しみに!

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