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「モンスター・テイマー」と呼ばれた少年  作者: olupheus
第3章 秋のお祭り騒ぎ!
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豊穣祭:1日目②

やべぇ、1か月に1回投稿がデフォになりつつある……。

だって忙しいだもん……(小声

と、とにかく、どうぞ~。

「席空いてる!?」

「あー、まだ空かない」

「何でこんなにお客さん来てんの!?」

「そりゃー、看板がねぇ……」

「砂の国から来てたっぽい人、目をひんむいてたよ……」

「そりゃあ、そうよねぇ……」

「おーい、飲み物できたよ、持ってって!」

「あ、はーい!」

 豊穣祭が始まってしばらく、クルム達のクラスは次から次にやって来るお客さんを捌くためにてんやわんやの様相となっていた。

「全く、普段は静かな喫茶店だから、こんなに忙しくコーヒーを淹れることなんか無いなぁ……」

 手を動かし続けるマスターからこぼれる愚痴とは裏腹に、顔は嬉しそうに笑っていた。



 話は数時間前、クルムの変装が終わった頃にさかのぼる。

 全員でクルムの変装をあれやこれや批評していると、リピアがやって来た。

「みんな、何してるの? クルムは?」

 それを聞いた全員の視線が(変装した)クルムに向く。リピアは眉をひそめながら視線を追いかけて、

「……あら」

 見つけてしまった。クルムはもう顔を上げることができなかった。

「……随分可愛い子ねぇ、どうしたの? ていうか、こんな子、ウチのクラスにいたかしら?」

 全員目が点になった。クルムは思わず顔を上げた。

「……あー、その、リピア、気づかない?」

 ミルトニアがおそるおそる声を掛ける。

「え、何が?」

「いや、ほら、この子の顔、よく見て」

「ん~?」

 リピアがクルムに顔を近づける。クルムは恥ずかしそうに視線を下げる。

「そういえば、クルムに似てるような……、丁度女の子にしたらこんな感じよね」

(すげえな、全然気づいてない)

(ミルトニアの化粧のおかげ?)

(リピアが鈍いだけかも)

 後ろでフィン達がこそこそ言い合う。リピアの前では、至近距離で顔をじろじろ見られるのに耐えかねたクルムが、

「おねえちゃ~ん、僕だよぉ~」

 と情けない声を出した。

「……え? その声、クルム?」

 やっと気づいた。

「そうだよ~……」

 スカートの裾をきゅっと握って、声を絞り出す。

「ど、どうしたの、それ?」

「お兄ちゃんとお姉ちゃん達が……」

 それを聞いて振り返った瞬間のリピアの顔は、まさしく鬼のようだった、と後にフィンは語る。それに気のせいで無ければ、銀髪が光をまとってふわりと浮いていた気もしたそうだ。


 フィン達の(命がけの)説得によって、どうにかリピアに納得してもらえた。ただし、今日一日だけ、という条件を代わりに付きつけられ、頷くしかなかった。

 マスターは苦笑しながら、

「それで、今日はどんな体制にするんだい?」

 と聞いた。

 ここでもひと悶着あった(半分くらいはクルムをどこに居させるか、ということだった)が、『もうすぐお客さんが来ちゃうわよ!』というマリーの一言でやっと落ち着いたのだった。

 この日の体制は次の通り。


・厨房(飲み物、軽食を作ったり、ケーキを切り分ける)

 マスター、ミルトニア、フィン、レナルド


・ホール(お客さんの案内、注文を聞く、空いた席の片づけなど)

 コナー、レリア、ヴァルター、シモン、ライム、カリン


・客寄せ(いわゆる呼び込み)

 クルム、ペルル


 リピアはというと、入り口近くに待機して会計や前線指揮(指示だし)をすることになった。ただし、裏の任務としてクルムとペルルを守ることも並行して行う(という役割を無理やりねじ込んだ)。

 かくして豊穣祭の本番がいよいよ幕を開ける。しばらく経った頃には、冒頭の通りになってしまった。その最たる要因は……。



「いらっしゃいませー!」

 クルムの声が入り口から響く。今日はまだ人見知りが発動していない。隣では声を出せないペルルが看板を持って、クルムの傍にぴったり寄り添ってにっこり笑っている。さすが王族の血を引くだけあって、堂々としたものである。

 事情を知らない人から見れば、とびきり可愛い女の子が二人、店の前に立っているのである。ついついふらりと引き寄せられる。たまに、

「何この子達、かわいい!!」

「むぎゅ!」

 遠くから来たっぽい冒険者、特に女性の冒険者に思いっきり抱きしめられることもあった。すかさずリピアがすっ飛んできて、

「お客様、ご休憩はいかがですか~!」

 という具合で店に引き込む(救出する)

 ときたま砂の国特有の恰好をした人が通りがかり、ペルルを見て目をひんむいたり、二度見をしたり、という場面もあった。ペルルはぴょんぴょん飛び跳ねて手を振っていた。


 そんなこんなで数時間。立ちんぼは疲れるので椅子に座っているクルムとペルルの元に、

「や、繁盛してるね」

 ジニアが歩いてきた。軽食を提供するという彼女のクラスも制服を用意していたようで、エプロンドレスに身を包んでいた。

「あ、お姉ちゃん、いらっしゃい!」

「ふふ、がんばってるみたいだね」

 ジニアがにこにことクルムの頭を撫でる。

「ところで、フィン達は中かい?」

「うん。……リピアおねーちゃーん!」

「なにー? ってあらジニア、いらっしゃい」

「ふふ、みんなの働きぶりを見に来たよ」

「そ。良かったら入ってらっしゃい」

 ジニアはリピアに案内されて中に入る。

「何にする?」

「そうだね、喉乾いたからコーヒーもらおうかな。あとケーキも」

「ん。では少々お待ちください」

 リピアはおどけてスカートをつまむ動作をした。それを見てジニアもくすくす笑う。

 それから少し。

「ようジニア、何してんだ?」

「何って、いまのボクはお客さんだよ? もてなしたまえ!」

 ジニアに声を掛けたのはフィンだった。ジニアに呆れた顔を向ける。

「だから注文のモノを持ってきたんだろ。……コーヒーとケーキでございます」

「なんで嫌そうに言うかな」

 ジニアの前に置かれたコーヒーは温かい湯気と共に芳醇な香りを漂わせる。ケーキも中の材料がはっきり見えるきれいな形をしていた。

「おー。おいしそう……」

「ていうか、自分とこの店はいいのか?」

「休憩中だよ」

「そうかい」

 コーヒーを一口。期待通りの味だった。

「それじゃあ、ごゆっくり」

「あ、フィン」

「何だ?」

「もうちょっと話相手になってくれてもいいんじゃないかい?」

「……こっちは仕事中なんだが?」

「お客さんをもてなすのも仕事でしょ?」

 ジニアは笑みを向ける。フィンをはぁー、とため息をつき、

「……少しだけだぞ」

 フィンはジニアの対面に座った。


 またしばらく時間が経った頃。

「クルム君のクラスってここだっけ?」

「えー、確かにそうだな。ここだ」

 クルムにとって聞きなじみのある声がした。

「クルム君、いるかな?」

「シモンとか、他のヤツに聞けばいいんじゃないか?」

 それはクルムのいるギルドハウスを根城にしている冒険者、グレイブ、ミラを初めとした一団のものだった。

「いらっしゃい!」

 クルムが声を上げる。

「お、おぅ、ビックリした。クルムのクラス、こんなキレイな子がいるんだなぁ」

 グレイブがそんなことを言った。どうやらクルムとは気づいていないようだ。と、隣のミラはふるふる震え出した。

「あ? おい、ミラ、どうした? 発作か? こん中にクルムはきっといるぞ? もう少しだから頑張れ!」

 とんでもない言い草だった。はらはらしながら見守っていると、

「……く、クルム君! どうしたの、その恰好! 随分可愛くなっちゃって!!」

 と、いきなり叫び出したのである。周りの人間全員が唖然としていると、

「ミラお姉ちゃん、ありがとう!」

 とクルムは笑ったのである。それを見たミラは、

「……はぅっ」

 ばたーん、と倒れた。実に幸せそうな顔だった。

「……はっ! あっけに取られてしまった。お、おい、ミラ、しっかりしろ!」

 グレイブに頬を叩かれるが起き上がる気配はない。結局ミラはクルムのもてなしを受けることなく、医務室に連行されてしまったのだった。残ったグレイブたちは喫茶店を堪能したという。



 またまた時間が経ち。もうすぐ営業時間が終わろうという頃。ミルトニアは学校の中を歩いていると、壁に新聞が貼られているのを見つけた。どうやら前の日にクラスに取材に来た新聞部のものだった。見出しを見ると、

『ここでしか見られない! クラスの出店特集!』

 とでかでかと書かれていた。

「へぇー、こんなの作ってたんだ……」

 なんて言いながらその続きを読むと……。

「……あっ」

 自分のところのクラスについて書いてあるのを見つけてしまった。

『とんでもない美少女があなたをお待ちしています! 是非一目!』

 そういえば、随分クルム君をちらちら見てる人が多かったような……。それに何人かはぽけーっと顔を赤くして見てたような……。

「……見なかったことにしましょう」

 ミルトニアは冷や汗を流しながら自分のクラスに戻っていった。クラスに入るとクルムのあの笑顔が待ってるんだろうなぁ、と思いながら。


 かくして(ある意味)激動の1日目は終わったのだった。

あ~、だいぶ寒いなりましたねぇ。

くれぐれもインフルやノロにはお気を付けくださいませ。


来年はモンハンに、三國無双に、あとエスコンもかな? 楽しみですねぇ~。財布がすってんてんになりそうですが……。


ひっじょ~にのんびりした投稿ですが、時々見にきて頂ければと思います。

次回もお楽しみに!

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