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「モンスター・テイマー」と呼ばれた少年  作者: olupheus
第3章 秋のお祭り騒ぎ!
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秋の空と男心、女心

おかしい……。梅雨は明けたはずなのに、梅雨の時より雨が降っている……。

でも去年もこんなでしたよね。

そんな中でお送りする、秋のお話です(汗

 ある日。クルムはシモン達やペルルと一緒に魔物たちと遊んでいた。

「兄ちゃん家、すごかったよな~!」

「ホント、あんなに広いお家があるなんて!」

 話題は豊穣祭のために『兄ちゃん家』、フィンの家に行ったときのことである。

「メイドさんっていうんだっけ? がいっぱいいて……」

「廊下の所々に高そうな絵とかがいっぱい飾ってあって……」

「おやつもすごくおいしくて……」

(わたしのお家ともちがってて、おもしろかった)

 最後の心の声はペルルのものである。そのペルルの膝上にはフェリがいて、撫でられて気持ちよさそうに寝息を立てている。メルはシモンやライム、カリンの上を飛び回ったりしていて、ティルはクルムの脇でゆらゆらと体を揺らしている。


「みんな、そんな大きなお家に何しに行ったの?」

 そう声を掛けて来たのは手持ち無沙汰のヴェリベルである。取りあえず何か仕事をするよりも、クルム達の話に混ざった方がいいと判断したようである。

「今度の豊穣祭で、俺たちお店をやるんだけど……」

「そこで着る制服? を準備してもらうの」

「色んなところの長さとか測ってたよね」

「僕だけ時間かかった……」

(ちょっとくすぐったかった)

 子ども達が口々にまくし立てる(1名は心の中で)。

「へえ、みんな着るんだ? 必ず行くからね!」

 ヴェリベルが言うと、子ども達が笑い合った。



 数日前。学校が休みの日に、クルム達はフィンに連れられ、馬車に乗っていた。

「兄ちゃん、どこ行くの?」

 シモンが興奮を隠し切れない様子で聞く。

「ん? ああ、俺の家。コナーとレナルドが先に行って待ってる」

「そうなんだ!」

「ああ、今回着るものはウチで仕立てることにしたからな。その方が早くできるし……」

 クルム達は互いに顔を見合わせ、首を傾げた。


 しばらく馬車に揺られて、着いた先を見ると……。

「でかい……」

「広い……」

「何ここ?」

「何って、俺ん家だ」

 中央都市(セントラル)にこんな所があったのか、と疑いたくなるくらい広い敷地に、想像もできないくらい大きな建物。それが "家" だと言う。

「ま、こんな所で立っててもしょうがないからな。入るぞ」

 ポカーン、としているクルム達を尻目に、フィンはさっさと家に向かう。クルム達も慌てて後を追った。


 中に入ると、

「「「「お帰りなさいませ」」」」

 という輪唱。クルム達は驚いて、足を止めてしまった。唯一、ペルルだけは慣れているのか、特に反応を示すことは無かった。

「坊ちゃま、その子達が?」

 輪唱したうちの一人、真ん中にいる女性が進み出る。

「そうだ、よろしく頼むよ」

「はい、お任せを。ですが少々びっくりされているようですね。まずは、お茶でも飲んでリラックスされるのが良いでしょう」

「あ、そうか、そりゃ~慣れないよな……。じゃ、そうしてくれるか」

「はい。では皆様、こちらに……」

「ほら、みんなこの人に付いていけ。俺も後で行く」

 子ども達はブンブンと首を縦に振り、開いた口を塞がないまま女性と一緒に入っていった。そして、周りにいた人間たちも三々五々散っていく。


 長い廊下をクルム達は進む。見るもの全てが物珍しく、首の動きが止まることは無い。それを見た女性はクスリと笑い、

「皆様、こういう所は初めてでございますか?」

「あ、えっと、うん」

 いきなり聞かれて、声を出せたのはシモンだけだった。

「こんなに広い所をお家と言われても信じられないですよね。今日来られたのも何かの縁ですから、私達が精いっぱいおもてなしさせて頂きます」

 子ども達は静かに首を縦に振る。

「あっと、私としたことが名も名乗らず……。私は当館のメイド長を務めます、アイリスと申します。よろしくお願いしますね」

 そう言って、ニコリと微笑んだ。


 クルム達が案内されたのはテラスだった。そこにはコナー、レナルド、あとはミルトニアと、

「や、クルム君、お久しぶりだね」

 クルムの名前を呼ぶ女子生徒が一人。

「こんにちは? え~っと……」

 反射で挨拶を返すも、名前が出てこない。

「あはは、本当に久しぶりだものね。ボクだよ、ジニア・リネアリア。思い出した?」

「……あ!」

 思い出した。リピアと仲良くなる前、ミルトニアに屋上まで呼ばれた時、フィンと一緒に案内してくれた人!

「ジニアお姉ちゃん! あ、ごめんなさぃ……」

 ショボン、と頭を下げると、

「いいんだよ、ちゃんと思い出してくれたし。全く、可愛いなあ!」

 ジニアに頭を撫でられた。と、後ろから足音が。

「あれ? 何でジニアが? というかミルトニアも!」

 声の主はフィンだった。

「あんたが変なことしないように監視しないとね! ジニアにも協力してもらうことにしたから」

「そういうこと。まあ、採寸してるところ見るのが面白そうだから見に来たってのもあるんだけどね」

「何だよ、そんなに信用ないか、俺……」

 がっくりと肩を落とした。


 それからはしばらくお茶とお菓子を堪能して、その後各人の採寸が行われた。身長や腕の長さを測られ、男性陣は追加で裾の確認もされた。クルムだけは多少の時間がかかったものの(それが何故かを知るのはフィンやミルトニア達だけである)、大したもめごとも無く終わった。

「じゃあ、頼むな」

「お任せください。サンプルも頂きましたし、ばっちり仕上げます」

 そう言って、アイリスは下がっていった。

「みんな、お疲れさん」

「私、ああいうところ初めて入ったけど、すごかった」

 カリンがポーっとした表情で言う。採寸した部屋が丁度服を縫ったりしまっておくことができる場所で、採寸の合間にカリンは夢中で色々見せてもらったのである。

「かっこいい鎧とかもあったしな!」

 シモンも続く。こういう家なので、鎧の類も少し置いてあるのだ。

「じゃ、帰りの馬車まで送ってくよ」

「みんな、また学校でね!」

「またね」

 馬車に行く前に、ジニアやミルトニアが手を振り見送った。


「今日は来てくれてありがとな。また良かったら来てくれよ。ウチの連中も喜ぶ」

「いいの?」

「ああ、今日なんか張り切って用意してたからな。ちょいちょい来てくれよ」

「うん!」

「よし。じゃ、またな」

 そして、馬車の扉は閉まった。フィンの家では早速採寸した通りに衣装が作られ始める。クルム達はそれを楽しみに、それぞれの家に戻っていく。豊穣祭の準備は着々と進んでいた。

ちょっと前まではイギリスから来たサムライを操って妖怪だらけの日本で戦ってたんですが、CODのIWとMWのセットが半額セールやってたのでつい買ってしまいました。私のFPSはここから始まったのです、懐かしい! ちなみに、元々のMWが出たのは「10年前」! いやあ、時の流れって早い……。


え~、次回もお楽しみに~。

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