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うらばなし①

いや~、さんざんお待たせしているのに、今回はうらばなしです。

伏線整理回とも言う。

 中央都市(セントラル)の真ん中、王城の隣にあるギルド本部。その最上部で、ひとつの会議が行われている。出席者はギルドマスター、王城の重役、各ギルドハウスの責任者など、重鎮クラスが揃っていた。

「最近の魔物の動向は?」

 ギルドマスター、カイゼルが口火を切る。

「ここ何週間かは特別おかしな動きは見られません。各国で要注意とされる魔物についても同様です」

「冒険者による討伐も順調だ。やけに強い魔物が現れてグループが全滅、ということも無い。せいぜい、自分の実力を過信した甘ちゃん達が必要経費を増やしていくくらいだな」

 魔物に関する予報の担当者、西門側にあるギルドハウスの責任者がそれぞれ報告する。

「うむ、なら良いが……」

「何だ、気になることでも?」

 カイゼルのはっきりしない口調に東門側のギルドハウスの責任者、アルスが問う。

「以前、シルバーウルフの群れが全滅していたり、ドラゴンが襲ってきたりしたことがあっただろう? あれは調査を続けてもらっているが、まだ分かっていないことが多くてな……。近頃何も無いから、かえって不気味でな」

「ああ、そんなこともあったな……。城壁の修理って今どのくらいだったか?」

「元の半分くらいは直りました。秋の豊穣祭までには何とか直る見込みです」

 アルスの問いに、今度は王城からの出席者が答えた。

「で、だ。まだ分からないことの多い2件だが、取りあえず、今までに分かったことだけでも共有しておこうと思う。……入ってくれ」

 その言葉と同時、扉が開いて一人の女性が入ってきた。

「どうも、中央都市(セントラル)王城研究部長、ダリア・マルコムズだ。今日は先に発生した2件に関する調査の報告のため、参上した次第だ」


「さて、シルバーウルフの群れが全滅していたという事象、そしてドラゴンが中央都市(セントラル)を襲ったという事象、この2つだが何が原因かはまだ分からない。だが、手がかりになりそうなものはいくつか見つかった。今日はそれを話したいと思う」

 一呼吸置いて。

「まずシルバーウルフの方だが、何体か遺体を持ち帰ってもらって、それらを調べた。調べたものはどれも致命傷となるような傷が幾つも付いていて、戦闘の激しさを如実に示していた。で、傷を細かく調べたところ、とても大きく鋭利なもので傷が付いているような感じだった」

「鋭利な……、爪とか?」

「そんなものだろうな。ただ気になることが一つ、その傷は始点が下、終点が上の方だったんだよ」

「それの何が?」

「シルバーウルフと同じような地上の魔物なら、威力を乗せた攻撃を行う場合、重力に従って上から下に爪を振り下ろすだろう? つまり……」

「ひょっとして、シルバーウルフの群れと戦ったのは、飛行する魔物の可能性が高いと?」

 ダリアのセリフをアルスが引き継ぐ。

「そう、その通りなんだ。確かに上から下に向かっていた傷もあるが、下から上の方が多いんだ。飛行型の魔物が上からシルバーウルフを爪で掴み、浮き上がる。すると傷が下から上に向かって付く、という訳だ」

「シルバーウルフを凌ぐ飛行型の魔物……」

「まあ、今時点で分かっているのはそれぐらいだがね。で、ドラゴンの方だが……」

 また一呼吸置く。


「今ドラゴンはクルム君と一緒に暮らしているね。時々様子を見に行くが、体調に変化は見られない上、人を襲う様子も無い」

「ああ、だがお前が来るとウチのギルドハウスが大変なことになるんだが」

 ジト目でアルスに睨まれるが、

「はっはっは、元気があっていい事じゃないか」

 と返された。

「で、だ。色々検査もしてみたが、体つきのどこかに無理が生じているようにも見えなかった」

「それが何か?」

「初めは無理やり縮んで今の姿になったものだと思っていたが、そうではなかった。あのドラゴンは元々あの大きさだったんだよ。つまり幼体だ」

 その言葉は、部屋中に衝撃を与えた。

「だ、だが、実際にあのドラゴンは成体で襲ってきたんだぞ!?」

「そう。ではなぜ姿形が変わったのか。まあ、状況証拠からの推測でしかないが、原因は恐らくコイツだ」

 そう言って、ダリアは自らが着ている白衣のポケットから、透明な容器を取り出した。その中には黒にも紫にも見える、半透明な宝石のような石が入っていた。

「それは確か……」

「ドラゴンの事件で見つかったものだ。クルム君とこのわんこが持ってきたものだが、コイツが何らかの理由でドラゴンの幼体に埋め込まれた。そしてドラゴンの体を無理やり成体に成長させた、という訳さ」

「そんなことが……」

「事実、コイツからは魔素の反応が検出された。だが、自然に存在する魔素とは構成が違っていた……。細かいことはさっぱりだが、生き物の体に何かの影響を及ぼすのだろうな」

 ダリアが言い終わると、再び部屋に沈黙が訪れる。


「ふぅ、ダリア、ありがとう。俺も最初に聞いたときは耳を疑いたくなったが、当時のことと照らし合わせると、納得いく部分が多かったのでな。こうして話をしてもらった」

「何、構わんさ。まだ不明なことばかりで申し訳ない限りだが……」

「ああ。……と、最後に一つ、ダリアはこの2つの出来事をどう見る?」

「そうだなぁ……、個人的な勘だが……、この2つはつながっている、と思う」

「つながっている?」

 アルスが眉根を寄せる。

「ああ、何となーく、ね。じゃ、私はこれで失礼するぞ」

 ダリアは会議室から去っていった。

「各人、さっきの話は頭の中に留めておいてくれ。さっき言われた通りまだ分からないことも多いからな。冒険者に調査を頼んだりするのは構わないが、あまり大っぴらにしないでくれよ。じゃあ、次だが……」

 そして、会議は続く……。

次から本編に入ります。ホントだよ?

最近はモンハンやったり、ちょっと飽きたので前買ったスパロボをやったり(ヤマトサイコー!)、ハッキングに目覚めたり(なんでスマホからATMのお金引き出せるんでしょ?)、色々です。


そろそろ新作の開拓もするべきかなぁ……。

えー、とにかく、次回もお楽しみに!

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