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「モンスター・テイマー」と呼ばれた少年  作者: olupheus
第3章 パール・プリンセス<砂漠の真珠姫>
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アンダーグラウンド・アドベンチャー<地中の冒険>

え~、また3週間経ちましたね……。

はい、ゴーストリコンとキングダムハーツ、楽しいです。


え? 発売されたの数日前? その前の2週間で書けただろ?

そ、それは、え~と、あの……、I'm Syachiku. ってことで……、ダメ?

 ゆらゆらと、真っ暗い中を揺れている。

 頭がとってもぼんやりする。僕は何をしてたんだっけ?

 目を開けようとするけれど、どうしてか開けることができなかった。

 そんな中でふと気づく。

 体が勝手に揺れてるんじゃなくて、誰かが揺らしているのだと。

 それに合わせて、声がする。

 僕を呼んでいる。

 そのことに気付いたとき、目の前が真っ白になった。



 クルムはゆっくりと目を開ける。ぼやけた視界に、誰かの顔が目一杯映った。2回、3回と瞬きをすると、その顔はペルルのものだと分かった。

 体を起こすと、ペルルがガバッと抱きついてきた。よく見ると、少し震えていることが分かった。

「お、坊や、目を覚ましたか」

 声のした方を振り返ると、見知らぬ大男が立っていた。

「いや~、坊やも中々やるなあ。姫様、ずっと坊やのそばから離れなかったんだぞ? 随分好かれてるみたいだなあ」

 ニヤニヤと、そんなことを言った。

 クルムはペルルを見る。少し落ち着いたのか、恥ずかしそうに上目遣いで見やっていた。目の周りは少し赤く、今も目の端が濡れている。

「ずっと心配しててくれたの?」

 クルムが聞くと、ペルルは小さく頷いた。

「そっか、ありがとう」

 その言葉を聞いて、ようやくペルルに笑顔が戻った。


「坊やと同じ学校? の友達は向こうにいるぞ」

「そうなの?」

 クルムが辺りを見渡すと、確かに見知った顔の子どもがいた。みんな不安そうな表情で一か所に固まっている。

「ここはどこなの?」

「ここはオアシスの横にある空洞……だと思う」

「くうどう?」

 クルムが首を傾げる。

「ああ、さっきサンドワームが近くまで来ただろ? そいつが掘った穴に俺たちは落ちてしまったって訳だ」

 そこまで言われて、クルムは先ほどまでの出来事を思い出した。思わず上を見たが、空は見えなかった。小さな滝のように、砂がさらさらと落ちているところが見えるだけだった。

「その、サンドワーム? は……」

「あ~、それは……」

 男はあさっての方向を見ながら頭を掻いた。どう説明すればいいか困っているようである。

「とりあえず俺たちが襲われる心配はしなくてもいいぞ。……今のところは」

 そこまで説明されたところで、男から「とりあえず友達のいるところで待っとけ」と言われたため、クルムはペルルと子ども達がいるところに移動した。


「あ、クルム……」

 子ども達の一人が声を掛けた。クルムと同じ授業クラスに所属する子どもが数人、クルム達よりも体が大きい、上級生と思われる子どもが数人、それに付き添う男性の先生が一人、固まって座っていた。

「クルム君、大丈夫か? どこか痛むところは無いか?」

「あ、だいじょうぶ……です」

 クルムの体を気遣う先生に、クルムはたどたどしく敬語で答えた。その間、ペルルはずっと下を向いたままクルムの右腕に掴まっている。

「わたしたち、どうなっちゃうんだろう……」

 クルムと同じクラスの少女がぽつり、と呟く。

「私たちが巻き込まれるところは多くの人に見られていた。今も上で私たちを助けるための準備を進めているはずだ。もう少しの我慢だよ」

 励ますように、諭すように先生は語りかける。どうやら、子どもたちを集めてからずっと、そうして励まし続けていたようだ。

「でも、さっきの魔物が……」

「あ~、先生、ちょっといいか?」

 更に少女が言い募ろうとしたところに、先ほどの男がやって来た。

「ちょっと行ってくる。ここから動かないようにね」


「どうしました?」

「ああ、これからどうするかを話そうと思ってな。さすがに子どものいる前では言いづらいこともあるだろうし……」

「ああ……、すみません。お気遣いありがとうございます」

 先生は頭を下げた。

「で、これからなんだが……、まず、ここを離れようと思う」

「え? 離れるんですか? 私たちがここにいることは分かっているんですから、ここで待っていた方が確実なのでは?」

「先生さんの言うことは最もなんだが……」

 別の男が声を上げた。

「ここの砂って、あそこで落ちてくるのを見ればわかる通り、すごくさらさらしてるだろ? この空洞はサンドワームが通るときに無理やり作られたものなんだよ」

「つまり?」

「洞窟の天井を支える力はそんなに無いんだ。このままここにいると、上の砂が全部落ちてきて、俺たち全員生き埋めになる可能性がある」

「ええ!?」

「そういう理由だから、上から穴掘って助ける、というのはやらないんだ。さっきから結構な時間が経ってるけど、上から助けは来ないだろ?」

「そ、そう言われてみれば……」

 そう、王城の兵士も冒険者も「穴を掘って救助する」という選択肢を取らなかったのは、空洞の上にある砂はもろく、崩れる危険があるということを知っていたからだった。その辺りも、砂の国特有の知恵なのである。


「それで、ここから動くと?」

「ああ。サンドワームの掘った穴を辿れば、地上に出られるかも知れない。確か今日近場のサンドワームを討伐するって依頼があったから、案外首都近くの地上に出られるかも知れん」

「しかし、サンドワームに遭遇してしまうのでは……」

「正直、その危険はある。奴らは音やら振動やらで物の居場所を感知するからな。だが動かなければ、もっと言えば地上に出なけければ、今度は生き埋めになるかも知れん。どっちにしてもリスクは避けられんよ」

「……子どもたちはこのプレッシャーに耐えられるでしょうか」

 先生が最も懸念しているのはこのことである。子どもたちが恐怖に耐えられず大声を上げてしまえば、それは魔物を呼び寄せることと同義と言ってしまって良い。ある程度鍛えた冒険者ならともかく、魔物とほぼ無縁の子どもたちにそれを我慢せよ、というのは酷な話だった。

「そこは何とかごまかすしかあるまい。この辺の魔物は討伐され尽くしてるから危険は無い、とかな」

「……それしか、ありませんか」

「今は全員の命を守るために動かなければならん。これくらいは勘弁してくれ。……なあに、きっと大丈夫さ。俺たちがしっかり意志を持てば、子どもたちも信じて付いて来てくれるさ」

「……分かりました。私も、覚悟を決めます」

 先生の瞳に、力強い光が灯った。地上で救出作戦が行われるのと時と同じくして、砂漠の下でも命がけの冒険が始まろうとしていた。



 クルムは静まり返った子どもたちの集団で、ひとりきょろきょろと辺りを見渡していた。

(……?)

 下を向いていたペルルが、少しだけ顔を上げてクルムを見る。

「うん、さっきのサンドワーム、どこいったのかなって。声も全然聞こえないし」

(……)

 ペルルは首を小さく振った。

「そうだよね……、あれ?」

 クルムは大人たちがいる向こうに何かを見た。あれは……。

次の3連休が終わるまでにもう1話、いや2話は……。

と、とにかく次回もお楽しみに~!

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