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「モンスター・テイマー」と呼ばれた少年  作者: olupheus
第3章 パール・プリンセス<砂漠の真珠姫>
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パラダイス・オブ・デザート<オアシスを求めて>

お待たせしました。また3週間か~…。

とにかく、どうぞ!

「砂の国」は「大地の国」の西側にある、広大な砂漠地帯を要する国である。不毛な大地の各所に点在するオアシス、それを取り囲むように街を作り、それらが集まって国を作ったのである。

 砂漠地帯、ということから察せる通り、国土の大半は乾燥帯、すなわち雨がほとんど降らない気候である。そして1年を通してほとんどが晴れであり、平均気温も文字通りの常夏である。……太陽が出ている間は。

 太陽が沈んだ後もやはり晴れのままであり、星が良く見えたりするのだが……、昼間地面に蓄えられた熱がどんどん空に逃げて行くため、夜は逆に涼しいを通り越して寒くなるのである。空へ逃げる熱をブロックできるのは雲だけなのだが、乾燥帯の気候故、中々発生しない。このギャップは凄まじく、砂の国を訪れた旅人は口を揃えて「夏と冬がいっぺんに体験できる」と言うのである。

 そんな訳で、昼間の厳しい日差しと、夜の刺すような寒さを同時にブロックする必要を考え、全身をすっぽり覆える白いローブのような服装が地元民の標準となる。


 砂漠地帯の名が示す通り、大地のほとんどは不毛な砂である。雨も降らないため、作物は全くと言っていいほど育たない。唯一オアシスのある付近でどうにか、という具合である。ただし、通所の作物では寒暖の差にやられてしまうため、育てられるものは非常に限られる。

 結果として、食料類は他国からの輸入にほとんど頼ることになる。代わりに、厳しい気候に耐えることが可能で、乾燥によって甘味を増した果実類などが輸出品の主力となる。これらの果実はその甘さから、多くの王家や貴族御用達となっており、種類はさほど多くないにも関わらず、輸入する食料分の金額を賄うことができてしまうのだ。


 砂の国に暮らす人々は基本的に陽気である。厳しい土地に長い間暮らしていたためか、他人を排斥しようとはせず、困っている人を見かければ顔見知りでなくとも協力の姿勢を示す。砂の国とはそういった、熱い太陽にも負けないくらい明るい人々によって作られた国なのである。



 学校から帰ったクルム達は昼食の後、ギルドハウスに集合していた。そこでフェリや仔ドラゴン(メルと名付けられた)と遊んでいた。途中でミラがやって来て、クルムの両腕をがっしと掴み、

「何があっても絶対お姉ちゃんが守ってあげるからね!」

 と鬼気迫る様子で言われ、揃ってポカーンとした、なんて一幕もあったが、おおむね平穏な時間が流れていた。

「砂の国か~、楽しみだな!」

 シモンが興奮を隠し切れない様子で言うと、

「そうね! どんなものがあるのかしら」

 ライムもそれに応じた。

「砂漠、って言ってたよね。すごく暑いのかな……」

 カリンはフェリを撫でながら、少し不安気に呟いた。

 そしてクルムはメルを見ながら、

「フェリとメルって……、連れてけるのかな」

 と呟いた。

 それを後ろを聞いていたアルスの動きが一瞬止まった。

(そういえば……、学生交流会って基本泊まりだったな……。ということは、ギルドハウスにはしばらくフェリとメルだけ残るのか……!?)

 そこまで考えてからのアルスの行動は早かった。全ての仕事をヴェリベルに押し付け出かけたアルスは本部に向かい、カイゼルの元に駆け込んだ。そしてフェリとメルをどうするか、幹部クラスが揃って頭を悩ませることになったのである。そして出た結論は……。



「じゃあ、行ってきます!」

 学生交流会当日。ギルドハウスの前では、大きめのリュックを背負ったクルムが、出掛ける前の挨拶をしていた。

「気を付けていきなさい。知らない人について行っちゃだめよ? 先生の言うことをちゃんと聞くこと。あと……」

 クルムの前ではマルタがもう何度目になるか分からない注意を繰り返している。

「おかーさん、もう覚えちゃったよぅ……」

 クルムはぶぅ、と唇を尖らせた。

「フェリ、メル、行ってきます」

 クルムはミラの足元にいる魔物たちにも挨拶をした。それを聞いたフェリとメルは寂しそうな目をクルムに向けた。結局、魔物たちを連れていった方が問題が多くなりそう、という意見が優勢になり、今回は連れていかないことになったのだった。

「おーい、クルム~!」

 ギルドハウス正面の武具店から出てきたシモンがクルムを呼んだ。

「あ、まって~! それじゃあ、いってきま~す!」

 クルムは一度マルタの方を振り返り手を振った。そしてシモンの方へ駆け出した。

「グレイブ、ミラ……、クルム達をお願いね……」

 1人と2匹はしばらく、クルムが走っていった方を見続けていた。



 学校には既に移動用の馬車と、それを護衛する冒険者の一団が待機していた。クルム、シモン、ライム、カリン(あの後合流して一緒に学校へ向かったのである)は自分たちが乗る馬車を探していた。

「お、クルム、どうした?」

 クルムの姿を見かけたグレイブが声を掛けてきた。

「あ、おじさん。おはよーございます!」

 それに反応したクルムが挨拶を返した。

「おう、おはよう。馬車探してるのか?」

「うん、どこにあるの?」

「どこだったかなぁ……。結構数あるし、分かりづらいからな……」

 グレイブが辺りを見渡しながら呟く。

「お前たちの先生さんを探してみたらどうだ? その方が早く見つかるんじゃないか?」

「あ、そっか」

 ライムがポン、と手を打った。

「じゃー、マリー先生探そうぜ!」

「おじさん、ありがとう!」

 シモンが号令をかけ、4人は動き出した。最後に、ライムがグレイブにお礼を言った。

「おぉ、またな!」


 ほどなくして。

「クルム、こっちよ!」

 リピアが馬車の前で手招きしていた。

「あ、おねえちゃん、おはよう!」

「はい、おはよう。うちのクラスはこの馬車よ。さ、乗った乗った!」

 4人は荷物を所定の場所に置き、思い思いの席に座った。

 それからしばらくして全員が揃い、最後にマリゴールドが入ってきた。

「みんないるわね。もうすぐ出発だから馬車からは出ないようにね」

 そう言った後、馬車の外にいる人間に何か声を掛けた。外にいた人間は一つ頷き、走り去っていった。

 少しの時を経て、外で笛の音が響いた。それを合図に、馬車の列が動き始めた。

 やがて、クルム達の馬車も動き出す。中央都市(セントラル)の西門を出て、広大な草原地帯を進む。目的地は砂の国の首都。クルムにとって未知の世界となるそこへの旅路が始まった。

いや~、FFXV楽しみですね~(また更新が遅れるフラグ)。

PS4の容量整理しなくちゃ…。

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