表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/66

学校ぐらし!

前回早く投稿できたとか喜んでたらこの有様だよ……。

それはともかく、第2章、4パート目です。

 色々あった入学式から早2週間。とあるクラスからにぎやかな声が聞こえている。

「今日は何するんだっけ?」

「え~と、ひたすら体力養成だな……」

「ああ、そっか……、嫌だなあ……」

 フィン、コナー、レナルドの3人が嫌そうな顔をしながら、今日やることの確認をしていた。そこにもう1人。

「冒険者の授業ってそんなことするんだ、すげーなあ!」

 シモンが目を輝かせながら食いついていた。

「今のうちから体力つけとくと、後で苦労しないで済むぞ。……ホントに」

 コナーがシモンに語りかける。その声にはやたら実感がこもっていた。


「魔術の授業っていっても、結構地味な理論の授業だったり、イメージを膨らませるために絵を描いたり、そういう内容が多いの。毎日毎日派手に魔術を撃ってるわけじゃないのよ」

「へー、じゃ、クルムは毎日やってることって、全部魔術につながってたんだ……」

 ライムはミルトニアから魔術の授業について聞いている。将来魔術士になることを目指すライムにとって、ミルトニアの話はどういう内容でも興味をそそられるのである。

「魔術士か、いいなあ……、でも……」

 カリンも魔術士に憧れは持っているが、自分がその魔術士になれる姿がいまいちイメージできないでいた。

「まあ、今からそんなに無理に考えなくても大丈夫だよ」

 カリンの横からヴァルターが声をかけると、カリンは小さく「……うん」と頷いた。

「もう、ヴァルター! もうちょっと気の利いたこと言えないの?」

 そのヴァルターの横にはレリアがいた。ヴァルターは「そんなこと言ったって……」と呟いたが無視された。


 一方、クルムはというと、ライムと一緒に魔術の話を聞いていた。入学式にあんな目に遭い、しばらくは人見知りが発動していたものの、1週間も経つ頃にはすっかり慣れ、今度は甘えん坊の面が目立つようになっていた。そんなクルムはライムと話を聞いていたものの、意識は独りで本を読んでいるリピアの方に向いていた。

「クルム君、どうしたの? リピアのことが気になる?」

「うん……」

 ミルトニアの問いにクルムから返ってきたのは、曖昧な返事だった。


「クルムって時々、こうなるの」

 カリンがクルムを見ながら呟く。

「そう、まるでみんなには見えないものが見えてるみたいに……」

 ライムも同じように呟いた。

「へえ……。ねえ、何か見えるの?」

 ヴァルターがクルムに尋ねると、

「うん、なんか、おねえちゃんの周りにキラキラしたのがいっぱい浮いてて、おねえちゃんにしゃべってるみたい」

 と返ってきた。ほぼ全員が「?」マークを浮かべて顔を見合わせる中、

「へえ……、見えるんだ」

 ミルトニアだけが何か感心したように頷いていた。


「あれ、なーに?」

 クルムがミルトニアの方を見る。

「うーん、そうねえ……。教えてあげるのはいいんだけど……」

(この子、”精霊”見えるんだ……。あの子、そのせいで自分から壁作っちゃってるっぽいし、丁度いいかも……。そうね、ここは一つ)

「ねえ、クルム君。そのキラキラしたものが何か、教えてあげる代わりに一つ、お願いしてもいい?」

 クルムは首を傾げた。



 クルム達が学校に着くと、まずHRクラスに行き、そこで担任のマリーから連絡事項を聞く。その後授業クラスに行き、読み書き、計算などの授業を受ける。お昼前になると全ての授業が終わるので、HRクラスに戻ってまた連絡を受ける。基礎教育を受けている子ども達は午後の授業はないため帰宅、専門教育を受けている子ども達は午後の授業に向かうのである。


 今クルム達は朝の連絡事項を受けるためにHRクラスに集まっていた。マリーが教室に来て幾つかの連絡を行った後、各々それぞれのクラスに向かっていった。クルム達も自分のクラスへ向かう。その中で、クルムはミルトニアから言われたことを思い出していた。

「私とリピアが受けてる授業が終わるの夕方くらいなんだけど、その時間にここの屋上に来てくれない?」



 同時刻。ギルドハウスにて。

 受付にはヴェリベルが座っていて、いつもの資料整理をしていた。その向かいにはミラが座っている。

「静かね」

 ミラが受付カウンターに肘をつきながら呟く。

「そうね」

 仕事の手を止めないまま、ヴェリベルも呟いた。

「いつもならクルム君が話相手になってくれるんだけど……」

「そうね」

「あんなに小っちゃくて、いつも誰かの後ろをくっついて歩いてた子が、もう学校に行くような年になったのね」

「そうね」

「あぁ……、ぎゅってしたい」

「そうね……うん?」

 ヴェリベルの手が止まった。

「あの子の体、すっごく柔らかいの。とっても抱き心地が良くて、それでふわっとしたいい匂いもするんだから。それで目が合うとにっこり笑ってくれて……」

(あ、手遅れだわ)

 中毒症患者を見るような目つきでミラを見るヴェリベル。ところが、

(でも、悔しいけどその通りなのよね、はあ……。私もぎゅってしたいなぁ……)

 ヴェリベルも同類であった。そんな想いを抱えながら、時間はゆるやかに流れてゆく……。

今ちょっと鬼を狩るのに忙しくて……。それが済んだら君が君らしく生きるための生き方を探してきて、あと1ヵ月くらいしたら好きな場所に瞬間移動できる故郷をボロボロにされた王子になって……。ああ忙しい。


今回もお読み頂きましてありがとうございました。え? タイトル? ナンノコトヤラ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ