すいません、先輩。
僕の名前は神崎龍太郎。あの神崎財閥の長男として生まれた。自分でいうのもなんだがイケメンである。そんなイケメンである僕は女の子に話しかけられることもしばしばなんだが誰も本当の僕というものを見てはくれない。イケメンであるがゆえの苦労なんだがそんなことをわかってくれる相手も数少ない。なぜならみな僕のこのイケメンっぷりと家柄にしか興味がないからだ。
そんな、ある日一人の女子生徒が声をかけてきた。体を震わせながら。僕はイケメンだからもちろん親衛隊というものも存在する。大抵の声をかけてきた女子生徒は、この親衛隊によって排除される。まあ、仕方ないことである。僕はイケメンなのだから。そんな親衛隊が止めないということはこの女子生徒はイケメンであり、家柄も立派な僕ではなく中身を見てくれる女子ということである。まさかこの地球上にそんな女子が残っていたということに驚きである。
「あの、物思いに耽っているところ申し訳ないのですが…」
「あぁ、わかっている。君は僕の顔目当てではないということくらい。」
「ええっと、そうじゃなくて…」
「家柄目当てでもないのだろう?」
彼女は、なにをもったいぶっているのか・・。僕を好きならそういえばいいだけのこと。躊躇うことなんか何一つないといっても過言ではない。もしかしてこの場面では近づくなと言ったほうがよかったのか?素晴らしく拒絶したほうがよかった気がしてきた。その方が僕がもっとイケメンに見えるだろう。今までよりももっともっとイケメンに見えてくるはずだ。だって僕はイケメンなのだから。
「お願いですから、話しを聞いてください。」
「ふん、言ってみろ。」
しょうがないからお前の話を聞いていやる。親衛隊が手を出さないからと図に乗るなよ。僕がイケメンなのは僕のせいでも罪でもないのだから。
「えっと、先輩・・・。ふぁ、ファスナー開いてます!!」
目の前の女子生徒はなにを言っているのだ。誰のファスナーが開いているだと・・。辺りを見渡すと親衛隊も大いに頷いている。みなの視線を辿ると開いていた。凄くかっこよくてイケメンの僕のズボンのファスナーが開いていた。な、なんてことだ。いつもきっちり決めていて僕の周りにはバラが飛んでいるというのになんという失態。だが、見ている。みなが僕を見ている。微妙な注目はされたが僕のイケメンっぷりに磨きがかかったということにしておこう。
「あ、あの。失礼しますっ!!」