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プロローグ
高い雲の上。夜の暗い空の下を一機の小型飛行機がゆっくりと飛行機雲を残しながら飛んでいた。その中には、少し白髪の混じった黒髪の日本系の中年の男性と、その膝の上に、ようやく一人で歩けるようになったばかりぐらいの幼い少女が搭乗していた。
幼い少女は、同乗している男性とは違い、年齢とかけ離れた銀色に輝く美しい髪を持っており、イギリス系の出身に見える。
「見て。これが日本だよ」
雲が晴れ、地上が窓から一望できるようになると、男性は少女に話しかけた。
「これが……日本!」
中年の男性の言葉に反応し、少女は目を輝かせて窓の下を覗き込む。目下に広がる街の夜景は、高層マンションの灯りや、飲食店の電子看板、あちこちにある信号機の色、道を走る車のライトできれいに照らし出されていた。
「きれい……」
以外にも少女は日本語に訛りがなく普通に日本語が話せるらしい。
「これからはこの国に住むんだよ」
銀髪の少女は目の奥に、これから始まる新しい場所での生活に期待を込めていた。