出会いと始まり6
「どうだったんだ?」
と、聞いたのは私ではなくフェクさんだった。
もちろん私も聞こうと思ったんだが。フェクさんに先を越されてしまった。
「連絡は取ってきたよ。あの人、今回はいなかったけど」
リズムさんがフェクさんの質問に答える。
「そうか……残念だったな」
「いえいえ、別に……」
すぐ帰れるとは思ってなかったし。
私は最後の言葉言わずに、ちょっと言葉を濁した。言ったらさすがに心配してくれているフェクさんに失礼だし、ね。
「さて、この用件はいちよう片付いたし、自己紹介の続きをしようか」
確かに、私のことでごちゃごちゃしてたけどそういえば自己紹介の途中だった。ほとんど忘れかけてた。
「はーい、じゃあ俺から俺から」
そういって元気よく手を上げたのは、最初座っていた二人のうちの男の人のほうで、
「俺の名前はビートって言うんだ趣味は音楽で俺たちがやっている楽団ではドラムをやっている特技はジャグリング俺が出来るジャグリングの本数は7本ぐらいで調子のいいときはさらに増えるよ俺の特技その2は演奏中にジャグリングが出来ることでこれは3本くらいまでしか出来ないんだけど十分自慢できると思うんだまあそんなとこでよろしく何か質問は?」
ここまでの言葉を息継ぎしてないんじゃないか?って思うくらいの速さで一気に言った。
「おい、ビート……」
「はい、質問です。楽団って何ですか?」
「お前さっきのが分かったのかよ!?」
フェクさんがものすごく驚いている。
いやまあ、別にさっきぐらいの速度だったら普通に聞こえるんだけどな……
「あ、ああうん、そういえばリズム、説明してなかったの?」
自分が早口になるということを自分で分かっているのかビートさんは拍子抜けした感じでそう聞いた。
「ああそういえば説明してなかったな」
リズムさんは今思い出したかのようなジェスチャーと共にそう言って、おもむろに説明しだした。
「楽団ってのは音楽演奏団体のことで、大楽団と小楽団ってのに分けられるんだ。で、大楽団は大体20以上の音楽演奏団体のことで、主に協奏曲とかのクラシックを主に演奏しているよ」
へえ、大楽団って言うのはこっちで言う交響楽団的なものか。なるほど。
「次に小楽団のほうは、大体4、5人前後の音楽演奏団体のことで、ジャズやロック、ポップスなどのいろいろな曲を演奏している」
じゃあこっちはバンドなのかな。
「それで、さっきのビートの早口話の中でいってた通り、僕らは小楽団をやっている」
あ、さっきのビートさんの早口この人にも聞こえてたんだ。
「で、パートの話はどうせ自己紹介でするから後回しでもいいだろう。めんどくさいし」
この人説明から逃げやがった。
「じゃあ次は誰が自己紹介する~?」
と、若干投げやりな感じでリズムさんが言うと、控えめな声で「じゃ、わたくしが」と、最初いすに座っていたもう一人の人が、
「だって、わたくしだけ香奈さんに名前教えてないんですもの。次言わせてもらっていいわよね?」
手を上げていた。