出会いと始まり3
あの後フェクさんはすぐにここから出て行った。
私たちはというと少しの間は二人とも動けずにいたが、リズムさんが立ち上がって無言で手を差し出して、私も無言でその手をとりここの外に出た。
外に出ると、そこは広場のようなところだった。ちょうど森の中にある少し開けたとこみたいなイメージだ。そこまで木は多くないけど。
振り返って私たちが今出てきたところを見ると、馬車なのかどうかは定かではないがそれなりに大きな四角い箱に車輪のようなものが付いたものがあった。
その馬車(分からないけど私が呼びやすいからそうゆうことにする)の近くにいすが5つ円を書くように並んでいて、フェクさんとかっこいい男の人と顔立ちがきれいに整った女性の3人が座っていた。
「よう、リズム。またフェクに説教されてたのか外にまで声が聞こえてたぞ」
私たちが空いている席に座ると、先に座っていた男の人が声をかけて来た。
リズムさんは軽く「ほっとけ」といってるし、フェクさんはさっきからそっぽを向いているし、これはからかわれたのかなー、とか私が考えていると
「えっと、彼女?」
と、さっきの人に声をかけられたので、思わずびっくりしてしまった。
「え?えっと、なんでしょう?」
ちょっと変な声が出た。
「いや、まあ、君の名前が分からないと呼びずらいからさ。名前をさ、教えてくれないかなと思ってさ。」
その声にきずいていないのか、きずかないでいてくれたのか、とりあえずその人はそんな質問を私にしてきた。
私は、今度は変な声が出ないように気をつけながらその質問に答えた。
「私ですか?私の名前は響 香奈といいます」
私がそう答えたとたん、いきなりあたりの空気がしんとなった。
……私何か変なこといったんだろうか?
リズムさんはさっき「やっぱりな……」ってつぶやいてたし、先に席に座っていたうちの女の人のほうは、その端整な顔をしかめてなんか考え込んでるし、フェクさんと先に座っていた、もう一人の男の人のほうは、首をかしげていた。
「えっと名前のほうは……」
「香奈のほうだ」
さっきの男の人が控えめにそう聞こうとするが、リズムさんが即答する。でも、なんでそんなことを聞くんだろう?
「最初に喋っていた言語は?」
「日系言語だ」
さっきから考え込んでいた女の人のほうが顔を上げてそう聞いた。その問いにもリズムさんは即答し、質問した女の人のほうは「じゃあ異界人確定ね」といってため息をついていた。
「あの~、何がどうなっているんでしょうか?」
なんかみんながみんな一人で納得しちゃっているので、わけがまったく分からない私はそう聞いた。
「そうね。説明が必要よね」
そういって、リズムさんに質問したきれいな女の人は説明を始めた。