出会いと始まり
私が目を覚す時に聞こえてきたのはきれいで穏やかなギターの旋律だった。
その音があまりにもきれいで透き通っていて、
「あ」
という声が聞こえて来るまで、私は思わずその音に聞き惚れてしまっていた。
私がその声に反応してそっちを向くと、ちょっとつり目で背の高い女の人がこっちを見ていた。
どうやらさっきの声は彼女のもののようだ。
その女の人は、私がおきているのを確認すると、
「rizum~~ a rimasta na raptoria」
といって、この部屋から出て行った。
どうやら誰かを呼びに言ったらしいんだけど……
何語?英語っぽくは無かったし……って、そんな外国語にはあまり詳しくないけど。
少しの間そんなことを考えていたら、出口のほうから男の人が入ってきた。
「あ、おきてるおきてる。体の調子はどうかな?」
よかった。この人には話が通じる。
「はい、大丈夫ですけど……」
私はそう応えると、その男の人は急に顔をしかめて、
「日系言語か……」
とつぶやいて急に考え込んだのか黙り込んでしまった。
私が目の前で手を振ってみても、少し小さな声で話しかけてみても反応なし。
少しの間どうしたら反応してくれるか試してみたけど、全然反応ないしさすがにこれ以上やったら迷惑だと思ってやめた。
しかし、あの声きれいだったな~
何て考えていると、急に考え込んでいた男の人が顔を上げて
「ちょっとまっててね。すぐ戻ってくるから」
といって、出て行ってしまった。
ちょ、まって、え、なんなの、どういうこと~~?
何て考えていても口には出せず。出るのは「あ~」とか「う~」とかの言葉だけ。
まあ出て行ってしまったものは仕方ないし、なんか戻ってくる的なこといっていたから少し待ってみよう。
私は考えを新ためて、そのまま待っているのも暇だしということであたりを見渡した。
どこかは分からないけれど、部屋っぽいところなのは間違いない。
床から天井から、壁とかまでとりあえず壁って分かるところは木で出来ている。後は部屋の隅とかになにかの機材的なものが布をまとっておいてある。まあ隅って言ってもそこまで広くないから結構なスペースを取っているけど。
そんな感じで部屋を見渡しているとさっき出て行った男の人が帰ってきた。
あ、最初に来たちょっとつり目の女の人も一緒に来た。あの人いい感じの人なのは雰囲気で伝わってくるんだけどあのつり目はちょっと怖いな……
「ちょっとこれ飲んでくれる?」
私がそんなことを考えていると、入ってきた男の人は手に持っていた白くて丸いアメみたいなものを私に渡してそういった。
「これ……?」
いやいや、急に渡されてもこんなわけのわからないものめないし……
とか思っていると、隣の女の人もそう思ったのか何かを耳打ちしていた。それを聞いて男の人は「ああ」とうなずき、説明を始めてくれた。
「この薬はね、この世界で一般的に使われている言葉が分かるようになる薬なんだ。ちょっと頭が痛くなるかもしれないけれど、毒とかじゃないから安心して」
「えっとどうゆう事ですか?」
「えっと、例えばこれを飲むとそこにいる――フェクっていうんだけど――の話している言葉がわかるようになったりするんだ」
つまり、女の人――フェクさんの話す英語?みたいなのが分かるようになるのか。何だその薬便利すぎじゃない?何て思ったが、これ以上このままこうしていても話が進まなそうだなと思ったので、正直かなり怖いだんけど思い切ってその薬?を飲むことにした。