例えば『人類滅亡計画』
ある日、私は目覚める。
ここは何処だ?
なんだ、ここは…?
目が覚めたと言っても、目の前は真っ暗。目を閉じているのと変わらないくらいの暗さ。
…あ!
そこで私は思い付く。
ここはまだ夢なんだ。そうだ。…多分。
に、しては…感覚が凄いリアルだし。
頬をつねっても覚めないし。
…?
なんだろう。
なんだか急に寂しさが…。
「だっ誰かー?誰かいませんかー?」
やけに響くし。
歩きつつ、叫ぶが誰もいないし、
さらに奇妙なのが、ずっと歩いているはずが壁や天井に触れないのだ。(いや、天井に触れるのは流石に難しいか…)
まさか無限の広さ!?
…ってそれは宇宙しか、無理な話だよね~。
そう言えば。
私って名前なんだっけ。
いや、自分の名前くらいわかるし!
………えぇ~と…?
あ、あれ?うっ嘘?
わからない…
自分の名前が?嘘でしょ…
じゃあ、自分の姿は?
…うーん…。
自分の手と思われるものを自分の身体中、触ってみた。
「ま、女ってのはわかってるし。」
そもそも声でわかるし。
髪はまぁ結構長い。
あと今私、全裸だ。
…Wow!
もぅそうやって誤魔化すしか、他にない。
・・・。
で、なんで全裸で真っ暗な場所に私はいるんだろう。
「」
!?
今、何か聞こえた!何!?今の?
「・・・」
右の方から聞こえる。
「で・・・だから・・・・・」
だんだん聞こえてくる、人の声。
男の人みたいだ。低い声。
近づくにつれて、なんで今まで気づかなかったんだろうか。
光が見えてきたのだ。
やった!出口じゃない!?
「だから、『あれ』を使って人類を滅亡させるんだって。」
…は?
何?い、今…なんて…言った?
急いで光へ走る。
そこへたどり着くと、
普通の窓くらいのガラスがあって、声の主には触れれないようになっていた。
割れないくらい頑丈っぽく見えた。
ガラスの向こう側には、大勢の白衣を着た人達が、
私…いや、このガラスを見ていた。
でも…
みんなマスクをしている。
それに、私を見るとすぐに目をそらしたのだ。
汚いものを見た時のように。
「つまり、『あれ』を使って人類を滅亡へと導くと…?」
「あぁ。そうさ。」
ど、どういうこと?それに『あれ』って何よ…?
じ、人類を滅亡する…って意味が解らない…。
「でも、人類を滅亡させて何がしたいんです?」
そうよ!目的は何なの!?
私は黙って返答を待っていた。
その返答に私は驚愕した。
「え?楽しいからだけど。それだけだよ?」
「なっ!?」
「だって全員が次々に死んでいくんだよ?それがどれだけ楽しいか解らないかい?」
「わっ解りません!!」「解りたくもない!」「ふざけるな!!!」
次々に声が飛び交う。
今にも泣きそうな人もいたし、激怒していた人もいた。
でも、私の目の前に立っている、この男だけがニヤニヤと笑っていた。
「残念だ。この意見に賛成する者には、特効薬ぐらいあげたのに、ね?」
「!!!」
そこにいた全員が驚く。
そして、声があがる。
「い、いえ!!さっきのは冗談です!!」「そうです誤解です!!」「わ、私も楽しいと思っていますよ!!」
やはり、みんな死にたくないんだ。そうだよね。そりゃそうよね。
というか…私はどうなるの?私は…何なの?
「ああ。残念だ。みんな嘘が下手すぎて」
男の手の中に赤いボタンがチラリ、と見えてしまった。
あれは…何?
「話にならないね」
『ポチッ』
!?
暑い…いや、熱い!!
な、何これ!?
心臓がやけに早く脈を打つ感覚。
頭痛が酷い。
「痛いいいいいいぃぃぃぃ!!
ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
あぁ。
ここは?
外かな…。
私の背中には大きな羽が生えている。
色は…とても綺麗とは言えない。色が混ざりすぎて汚い色になってしまっている。
指は槍のように鋭く尖っていて、皮膚は鱗のようなものが、ところどころ目立つ。
私、もゥ人じゃナイのか…ナ?
あぁさっきから、目が…痛い。
視界が紅くなる。手の中に熱い何かを握りしめているように感じた。
あぁ熱い。
手を開けると、同時に爆発音が聴こえたような…。
…まぁ…いいや。
もうどうでも…。
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ある日、私は目覚める。
ここは何処だ?
なんだ、ここは…?
目を凝らすとたくさんの死体と、火の町がそこにあった。