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5/6

日記



関根(セキネ) 真司(マサシ)

男の遺体。日記の持ち主。22歳


藤堂(トウドウ) 柚梨(ユリ)

女の遺体。22歳


山本(ヤマモト) 和夫(カズオ)

二つの遺体事件の担当刑事。警部。37歳

山本目線で行きます。


鹿嶋(カシマ) 勇吾(ユウゴ)

山本の部下の刑事。警部補佐。27歳


佐原(サハラ)

鹿嶋の同僚。27歳


鎌田(カマタ) 伸也(シンヤ)

柚梨の彼氏。23歳

 20xx年、12月25日。とある山小屋で二人の男女の遺体が見つかった。

男の遺体の死因は刺殺。女の死因も刺殺。死亡推定時刻が男の方が遅く、凶器の包丁が男に刺されたままであり逆手なので女を殺した後に無理心中を図ったものと考えている。

男の遺体の近くには日記と思しき小さなノートが落ちていた。

その日記には多くの事が書いてあった。

俺はこの事件を担当している刑事なのでとりあえず現場にあった日記を読んだ。



『7/15(水)

今日は彼女とディズニーランド。

とても楽しかった。

また彼女と行きたいなぁ。』


『7/16(木)

今日は彼女に会えなかった。

会いたいなぁ。』


そこから五日ほど飛んで日記を読んだ。


『7/21(火)

今日は彼女の誕生日プレゼントを買いに行った。

とても可愛い物が買えた。

喜んでくれると嬉しいなぁ。』


『7/22(水)

今日は忙しいので彼女に直接プレゼントを渡す事が出来なかった。

彼女と最も一緒にいたい日だったのに残念だ。

でも彼女の家のポストにプレゼントをいれておいた。』


『7/23(木)

今日は彼女の庭で焼肉パーティー。

おいしそうに食べる彼女の表情はとても可愛かった。』


『7/24(金)

今日は花火大会。

綺麗な花火に見とれている浴衣を着た彼女が花火よりも綺麗だった。』


このまま読み続けると日が暮れそうなのでパラパラとページを飛ばしてゆくと気になる書き込みがあった。


『10/2(月)

最近彼女の近くに男がいる。

俺じゃない男。

柚梨になにする気だ。』


ここに来て初めて藤堂柚梨の名前が出た。関根真司の心境に変化があったのか。

最近近づく男とは誰なんだ。そう思っていた時、部下の刑事から報告がきた。

「警部!藤堂柚梨と付き合っているという男性から連絡が!」

「なに?どういうことだ・・・。」

「名前は鎌田(カマタ) 伸也(シンヤ)。藤堂の一つ年上でバイト先が一緒の模様です。」

「わかった、連れてこい。」

関根は藤堂と付き合っているのでは無いのか?それとも藤堂は二股をかけていたのか。

日記の続きを読んでみた。


『11/29(日)

糞虫、また俺の柚梨と話していた。

柚梨は俺のものなのに。

いつか殺してやりたい。』


"糞虫"とはおそらく藤堂と付き合っているという男のことであろう。関根は男に殺意があったらしい。


『11/30(月)

あと約一ヶ月で俺の誕生日。

彼女と祝いたいなぁ、なんて。

最近の俺は荒れていた。

糞虫だなんてなんて失礼な事を書いていたんだろうか。

それに柚梨は物ではない。

反省しなければ。』


ここで関根は反省をしている。どうしてこの殺人が起きたんだ。

「警部!藤堂柚梨の交際中男性が着きました!」

「よし、いれろ。」

鎌田は恐る恐る現場に入ってきた。鎌田はビニールシートで被せられているものを見て遺体と悟り、涙を浮かべ始めた。

「刑事さん・・・どっちが柚梨ですか・・・。」

「右だ。」

すると鎌田は右の遺体に駆け寄った。抱きしめようとしたが、現場保持のため他の刑事に止められたのでその場で泣き崩れた。

「っう、うう・・・柚梨・・・柚梨・・・ううっ。」

「お気持ち、お察しします。」

「け、刑事さん・・・。」

「はい。」

「この左の遺体は誰なんですか?もしかして無差別殺人とか・・・。」

「いや、少なくとも無差別ではありません。左の男性の遺体は彼女と関係あるようですよ。」

「・・・顔見てみます。」

ビニールシートを顔のところだけをとった。鎌田は死んだ関根の顔を見つめた。

「刑事さん、すいませんがわかりません。」

「そうですか、ありがとうございます。」

「あの、柚梨の遺体は・・・。」

「藤堂さんの遺体は事件性があるので解剖に回ります。」

「こ、これ以上切られるんですか!?」

「事件解決にはそれもまた一つの方法なのです。」

「・・・。」

しばらくの沈黙が続いた後、再び日記を読んだ。


『12/1(月)

最近は穏やかな気持ちになる。

心が広くなったのかな。

彼女が誰と話していてもさほど気にする事はなくなった。

でもやっぱり彼女しか愛せない。』


『12/2(火)

今日は彼女と思い出のディズニーランドへ行った。

やっぱり俺と彼女の気持ちは変わらないままで嬉しかった。

また来年も行きたいなぁ。』


『12/3(水)

今日は雪がすごかったなぁ。

雪ではしゃぐ彼女はとても可愛らしい。

大きい雪だるまを頑張って作ったね。』


『12/3(木)

最近気がつくと夜中に彼女の家の近くまで来ている時がある。

彼女の事が好きすぎて寝ぼけで彼女の家まで行っちゃったのかな。』


この"気がつくと"というところが気になる。ホントに寝ぼけていたのか。

「警部!藤堂柚梨の親がつきました!」

「柚梨!!!」

入れろと言う前に親にがすぐに入ってきた。

「刑事さん!柚梨はどっちでしょうか・・・。」

「右です。」

すると母親はその場で気を失った。

「き、君恵!!君恵!!」

父親はもうどうすれば良いのかわからないくらい焦っている。

「一旦落ち着いてください。」

「お、落ち着いていれるわけがないでしょう!!む、娘が、娘が・・・。」

そこからは泣いていて聞き取れなかったが言いたいことは伝わった。

「辛いと思いますが、顔を見てもらえますか?」

「はい・・・。」

ビニールシートを外すと、父親は膝から落ちた。

「ゆ、柚梨・・・、ううっ。」

「すみませんが、こちらの男性の顔も見ていただけますか?」

関根の遺体のビニールシートを外すと父親はギョっといた。

「ま、真司君じゃないか!!なぜ彼が!?」

「彼をご存知なんですか!?」

「知ってるも何も、彼は近所に住んでいて柚梨の幼馴染ですよ!」

「・・・幼馴染。」

「それよりも刑事さん!なぜ彼が・・・。」

「今のとこそれは分かっていません。」

「そ・・・うですか・・・。あの、彼の家族は・・・。」

「刑事さん知らないんですか?実は・・・。」

「・・・え。」

俺はまた日記を読み始めた。


『12/4(金)

最近寝ていることが多い。

そしてあまり活動していないはずなのに無駄に疲れている。

年と言うほど年はとっていないし、なぜだ。

そして妹がやたら屋根裏部屋について聞いてくる。

なんのこっちゃだかわからない。』


初めて藤堂について書かなかった。それにしても屋根裏部屋とは・・・?


『12/5(土)

もう嫌だ。

なんでだ。なんでだ。なんでなんでなんで。

今日妹が風呂で死んでいた。

妹は俺と違って美人で元気だ。自殺なんてありえない。』


妹が自殺。これは先程藤堂の父親が言っていた話の一つだ。それにしても突然の自殺は謎だ。ちゃんと調べたのだろうか。


『12/6(日)

今日は妹のお葬式だった。

生意気ばっかでうざかったけど、やっぱり可愛い妹だった。

自殺なんて認めない。』


『12/7(月)

母が死んだ。母は妹の死を確かめてくると言いながら俺の目の前で自分の胸を刺した。』


よっぽどのショックだったのかその日の日記は一行しか書いて無かった。

これも先程の話の中の一つだ。


『12/8(火)

父が、母は俺が殺したの言いがかりを付けてきた。

俺じゃない。俺じゃない。父はどうしてしまったんだ。』


ここで家族が崩壊してきたんだな。


『12/9(水)

嫌な夢を見た。俺が父を殴った後に殺した夢だ。

そして朝起きると血まみれの父がリビングにいた。』


たぶん精神がボロボロだ。いや絶対ボロボロだ。藤堂は励まさなかったのか?

次の日からの書き込みが無く、突然今日のことが書いてある。


『12/25(木)

気がついたら柚梨とセックスをしていた。

柚梨の口にはガムテープが。

柚梨の目には涙でいっぱいだ。

やめると記憶がプツンと途切れた。

そして気づいたら綺麗な顔した柚梨が横たわっていた。

血まみれで。

ここには俺と柚梨しかいない。

俺が柚梨を殺したのか。

俺なのか。

だいたいなんでこんなとこにいるんだ。

なんで柚梨が死んでいるのに呑気に日記を書いているんだ。

もうダメだ。

柚梨と一緒の場所に行く。』


そこで日記は終わっていた。どうやら日記によると藤堂柚梨は関根真司に殺されたようだ。そして関根真司は無理心中を図った。

しかし事件はそれで終わりでは無かった。


翌日、部下と共に関根真司の家に訪れた。リビングにはやはりまだ血が少しついている。

しかしリビングより気になるのは例の屋根裏部屋だ。

脚立を使い屋根裏部屋に入った。

「暗くて見えないな・・・。おい、鹿嶋!懐中電灯取って。」

「どうぞ!」

鹿嶋から懐中電灯を受け取り屋根裏部屋を照らした。

すると、そこにはズタズタに引き裂かれたポスターや写真が山のようにあった。その一つ一つをちゃんと見ていくとポスターは写真は藤堂柚梨が写っていた。

(しかし藤堂の事を愛していた関根が何故破った?)

疑問が次々と浮かび上がる中、進んで行くと一つの可愛らしい手帳があった。

開くと、[みーちゃんとまー君大好き日記]と書いてあった。

日付は12/1からだった。


『12/1 tue

まー君、私の事いつ気づいてくれるかなぁ(*´∀`*)

私はまー君の事ずっと見てるのにな~!』


『12/2 wed

まー君とディズニーランド行ったんだ♪

でもまー君あの子ばっかり見てる・・・。

嫉妬しちゃうんだから!笑』


たしか関根も二日にディズニーランドへ行っていた。もしかしてこのまー君とは関根の事なのか?


『12/3 thu

今日は雪がすごかったなぁ!!

白くて綺麗(^^♪

遊びたかったけど、私は自由が効かないから遊べなかったなぁ・・・(つд⊂)』


『12/4 fli

今日はまー君が寝てる間に雪で遊んじゃった!

楽しかった(*´∀`*)

妹さんが私の部屋についてまー君に聞いてたw

まー君言わなかったね!偉い偉い!笑』


もしこのまー君が関根ならこの話はとても辻褄が合う。しかしみーちゃんとは誰なんだ。そもそも何故家族でもない女が屋根裏部屋を使っているんだ。

そして次の日記の内容に驚いた。


『12/5 sat

まー君の妹さんが勝手に私の部屋に入ってきたから殺しちゃった(^Д^)ウフッ

女の子の部屋は勝手に入っちゃいけないのに~!

私疑われたくないから、自殺に仕立てちゃったw

あ、でも私が疑われる事ないか!

まー君悲しんでたから悪い事しちゃったぁ。ごめんね(;´Д`)!』


「殺しただと!?」

「や、山本さんどうしたんですか!?僕にも見せてくださいよ~。」

「ちょっと待ってろ!!」

今回の事件の鍵がみえてきそうだ。


『12/6 sun

今日はおとなしくしてたんだ!

まー君へのお詫びって感じ( ´∀`)

でもまー君のお母さん・・・いやこれからは私のお母さんかな?

お母さんも屋根裏部屋に入ってきちゃったから殴っちゃったw

で、あまりにもうるさいから殺しちゃった~!エヘヘ

まー君また悲しんじゃうかなぁ・・・(´・ω・`)』


母親も屋根裏部屋に入ったことでみーちゃんに殺された。しかし自由が効かないと言っていたが障害者と言う意味なのか?しかし殴ったり殺したりできるのはあきらか健康体なのでは・・・?

「山本さーん!佐原の連絡なんですが藤堂柚梨の家からも日記が見つかりました!!」

「はぁ!?なんでこうも日記が・・・。」

「いや、藤堂の場合、ブログだそうです。」

「え?ブログ?なんだブログって。」

「山本さん知らないんですか!?しょうがないですねー、簡単に言えばネット内に日記を書き込むんですよ。形の無い日記とでも言いますかな。」

「はーん・・・。で、どうしたら見れる?」

「携帯からも見れますよ!!あ、URL送りますねー。」

携帯で見てみるといろいろ書いてあった。

しかし先にみーちゃんの日記を読むことにした。


『12/7 mon

まー君の記憶に少しお母さん殺した記憶が残ってたから記憶書き換えちゃったw

てへぺろ(*´∀`*)

なんかお父さんの視線が痛ーい(´Д⊂』


記憶を書き換えた?意味がわからない。みーちゃんとは何か特殊な人物なのか?


『12/8 tue

もう!お母さん殺したのはまー君じゃなくて私なのに!!

まー君を責めないでほしいな(##゜Д゜)イライラ

まぁ、見た目はまー君だからしょうがないかww』


見た目は関根?どういう事だ?


『12/9 wed

まー君じゃなくて私の時にお父さんが文句言って来ちゃったぁ。

もーうるさいから黙らせてあげた(∩゜∀゜)∩age

まー君には悪いけど、一番うざかったからメッタ刺しヽ(´Д`;)ノ

お父さん中年太りだから血と混じって脂肪がでてきたぁ

きったなーい!!

まー君、これで二人っきりだね!!』


とりあえず、家族殺しはこのみーちゃんと言う人物で決定だ。しかし理解しがたいこの数々の疑問は・・・。

「関根、多重人格なんじゃ無いんすか?」

「うおわっ!!急に出て来んなよ!!」

「だって山本さんいつまでたっても降りてこないかた気になってー。で、みーちゃんというこの女、たぶん関根のもう一つの人格っすよ!」

「は?なんじゃそりゃ・・・。」

「人はかなり追い込まれるとその苦痛から逃れる為にもう一つ人格を作るんすよ。たぶんソレっす。」

「・・・ふーん。」

「あ、それでですね!山本さんがちんたら日記読んでる間に、僕藤堂の日記読んどきました!!」

「で、どうだった?」

「ブログって、普通コメントとかあるんすよ。でも、藤堂の記事一個もコメントが無いんでおかしいと思ったら、誰にも記事を公開してなかったんすよ!!」

「普通に見られたくなかったんじゃないのか?」

すると鹿嶋はチッチッチと上から目線で言った。

「最近の若者は、記事を公開してコメントを集めるんすよ!でも、藤堂は一つも公開してない。それがおかしいんですよ!」

「・・・はぁ。」

「で、警察の権力ってすごいっすね、全部記事見れました!!で、内容が全部愚痴なんすよ!!」

「愚痴?」

「なんか、藤堂はストーカーにあってたみたいっす。警察にも届けを出したのに受理されなかったらしいっす。」

「ふーん・・・。で、ストーカーは誰って分かってんのか?」

「いや、それが分かんなかったらしくて!ずっと誰だか分からないやつに怯えてたらしいっすよ。」

「ほぉ・・・。で、関根と鎌田どっちが彼氏なんだ?」

「あ!その件なんすけど、どうやら彼氏は鎌田の方っす。伸也って言う名前が何個も出てきているので!」

「ん?そうなると関根は・・・。」

「関根がストーカーだと推測できますね。ディズニーランドの件も鎌田と二人で行っているので、たぶん関根がこっそりついて行ったんでしょうね。まぁそこらへんの細かいとこは後で調べるとしましょう。」

「じゃぁ、関根は鎌田との恋仲が許せなくて藤堂を・・・。」

「いや、わからないっすよ。みーちゃんの日記に続きがあるっす。」


『12/10 thu

まー君憔悴しきってるから、まー君のっとっちゃった!

今日からまー君と二人きり(*´∀`*)』


『12/11 fli

まー君。私はまー君の事が大好きで大好きでたまらないのに、

今は主格となってる私の中でいつもなんであの子の事を愛しているの?

私はまー君が好きで好きでたまらないのに。』


『12/12 stu

死ね。』


次のページを見てもその一言で終わっていた。しばらくパラパラめくっているとちゃんと文章が書いてあるページを見つけた。


『12/24 thu

明日、まー君の体使ってあの子犯しちゃお(*´∀`*)

そーすればあの子もまー君の事嫌いになるし、私の事気づいてくれるよね♪

殺しちゃうと、さすがにまー君死んじゃうかなぁw

なんてー/(^o^)\

でもほんとあの子彼氏いるのにまー君の事たぶらかしてうざいなぁ。

気が変わったら殺しちゃお!』


日記はそこで終わっていた。

「山本さん・・・これ・・・。」

「あぁ・・・。でも、これではみーちゃんが藤堂を殺した証拠にはならない。」

「とりあえず、県警にもどりましょうか・・・。」

みーちゃんの日記を県警に提出したが、案の定確かな証拠とは言い難いものと判断されてしまった。

しかし数日後、この事件の全てを解く鍵が提出された。

それはビデオカメラだった。それはスキーをしにきた三人の男性観光客が寒くて小屋に入ろうろした時に窓から撮影したものだ。

わざわざ撮影したのは疑問だが証拠となった。

撮影した内容はその日のことを物語っていた。


「ゆ、柚梨こんな山奥までごめんね。」

「ううん、大丈夫だよ。一番辛いのは真司なんだから気を使わないで・・・。」

「うん。あのさ、柚梨。」

「何?」

「柚梨ってさ、いつもいるあの男って・・・彼氏?」

「うん。伸也っていうの。」

「そ、そっかぁ・・・。」

「真司は彼女は?」

すると少し焦った様子で真司は答えた。

「え!?い、いないよ!」

その焦りっぷりが笑えたのか柚梨は満面の笑みで笑った。

「なんで今驚いたの~?アハハ。」

「ねぇ、柚梨。」

「ん?」

その瞬間、真司は柚梨を抱きしめた。

「え?ま、真司・・・?」

「柚梨、ごめん。本当にごめん。俺、すっごく弱いからさ、柚梨にずっと言えなかった事があるんだ。」

「え?な・・・何・・・?」

すると小声で三人組の一人が喋り始めた。

(おい、これ告白じゃないか?)

するとまた一人。

(だよな!!おいおい、面白くなってきたじゃんかよ!!)

「俺さ、ずっとずっと柚梨の事好きだった。でも、柚梨にはその・・・今は伸也って彼氏がいるんだろ?だから今日、こうやって抱きしめて想いを告げて終わりにしようと思ったんだ。」

「ま、真司・・・。」

「本当にごめんね、俺さこんな事言ったら柚梨に迷惑かけるだけだってわかってんのにさ。本当にっ・・・ごっめ・・・ん。」

泣きながら柚梨に謝る姿はどこにもみーちゃんという人格があるようには見えない。そして日記のような暗い青年では無く、むしろ好青年に見える。

真司の泣き声に混じって柚梨の泣き声も出てきた。

「・・・ば・・・。」

「え?」

「・・・馬鹿!!」

「え!?」

「真司の馬鹿!あたしが、あたしが、今までどれだけ我慢して待ってたっていうわけ?なのに今弱いからとか言いながらアッサリ言っちゃってさ!真司の事、思わないようにしようって努力し続けたあたしの努力、返してよ!馬鹿!!」

(おお!これって良い展開だよなぁ?)

(よかったじゃん真司って人!でも、柚梨って方彼氏いるじゃん!)

(どーすんだろなぁ。俺真司応援するわー。)

(はいはい!俺も真司派!!)

(いや、これ全員真司派だろ~。)

三人が談笑していると二人の距離がもっと縮まっていく。

「ゆ・・・り・・・。」

真司は柚梨にキスをした。そして柚梨もそれに答えた。

(おおおおおおおお!!)

(良い展開すぎんだろコレ!)

(まじこういうのってドラマだけじゃないんだなぁ・・・。)

柚梨の上に真司が多い被さり、行為に至っている。

(おわあああああ!!)

(まじやばくね!)

(これちゃんとビデオ撮れてるよな!?特にこの部分!!)

二人の愛が深まっていたその時。

ドン!!

「え!?」

「!?」

(おい!アイツ誰だ!!)

(邪魔すんなよなぁ、マジ。)

そこに立っていたのは鎌田伸也だった。しかも凶器と思しき包丁を持っている。

「し、伸也・・・。」

(伸也って彼氏こいつかよ!)

(やべー修羅場じゃん。)

(てか包丁やばくね?つーかあのままどっから持ってきた?)

「柚梨・・・お前・・・。やっぱりコイツの事・・・。」

「ち、違う!俺が無理やり柚梨の事を!!」

「うるさいっ!!お前ら全員ぶっ殺す。」

「や、やめてよ伸也!!」

「うるさい黙れアバズレ!!!」

「柚梨の事を悪く言うな!!」

「な、なんだとおめぇ・・・。」

伸也は真司に向かって包丁を刺そうとしたが手を止めた。

(なんだ、こいつチキン?)

(あはは!)

しかしそこで伸也はノート二冊を出した。

一冊普通のノート。もう一つは可愛らしい手帳だ。

そう、これまで真司とみーちゃんと思っていた日記はこの時に作られた物であった。

「おい、真司これにこの日記と似たように今までのこと全部かけ。」

「は?」

「書かないと今すぐ柚梨を殺すぞ。」

そういって柚梨に刃を向けた。

「わ、わかった!!だから柚梨に刃を向けるな!」

「一時間で全部書け。」

「わ、わかったっ!!」

(おいおい、やばくないか?警察読んだ方が・・・。)

(いや、刺さないだろ伸也ってやつ。)

(でもヤバくないか?)

「おい柚梨。」

すると柚梨は恐怖でビクっとした。

「柚梨、お前の彼氏は誰だ?」

「し、伸也・・・。」

「だよなぁ?でもなんだ?え?なんでお前今上裸だった?え??」

「そ、それは・・・。」

「柚梨、ずーっと真司の事見てたもんなぁ?四人でディズニーランド行った時も見てたよなぁ?」

「・・・。」

「でだ、真司も真司でずーっと柚梨を見てる。俺がせっかく紹介した女なんか見ないでずっとずっと、ずっとずっと俺の柚梨を!!!」

そう言って真司を蹴り飛ばした。

「やめて伸也!!」

柚梨の言葉を無視し、蹴り続ける。

「お前がずっと邪魔だった!柚梨の事がずっと好きだったのは知ってるが俺のほうが気持ちは上だった!だから頑張って告白して柚梨と付き合えたって言うのに、柚梨はいつもどっかで真司を見てる!お前はいつもそうだ真司!!ずっと柚梨を見て!!だからお前の柚梨意外の全てを壊してやった!!」

「それどういう意味・・・。」

「そのまんまの意味だよこのバアアアカ!!」

「伸也、どういう事!?」

「柚梨、お前も聞きたいか!!じゃぁ聞かせてやるよ!!!!」

(おいおいなんだこの展開!?)

(まじでヤバくね?)

(これ絶対聞かない方が良い感じだよ!!帰る俺!!)

(あ!!待てよ!!)

おそらくこの三人は帰った。

カメラで撮られているとも知らずに伸也は自慢げに話始めた。

「まずな、真司!!お前の妹犯してやったよ!!あ~、可愛かったなぁ・・・。それに処女だから締りも良くてよ!!胸もデカかったし、いろいろしてもらったよ!!あー、殺すには物体無かったなぁ・・・。」

「てめぇ!!よくも!!!」

「おっと、それ以上近づくと柚梨殺すよ?」

「っう・・・。」

真司は渋々引き下がり、日記の続きを書いた。

「でなぁ、お前の母親!!母親もあれいい具合に垂れた尻がまたそそるよなぁ・・・。美熟女ってやつ?真司の母さんの味もたっぷり味わっといたよ!!アハハハハハハハハ!!」

「で、最後にお前の父親。俺はそっちの趣味は無いからさ。臓器売り飛ばして金にしといてやったよ!!あーいいなぁ、楽しかったなぁ・・・。今真司の妹と母親の味思いだすと勃起してきた。おい、柚梨股開け。」

「え!?」

「っぐ・・・。」

今すぐにでも殴りたい気持ちを抑え、日記を書き続けた。

「それにしても俺って天才!全部自殺に見せかける事が出来たんだぜ!?天才だと思うだろ!?なぁ柚梨!」

柚梨は伸也の問いかけに無視をした。

「おい、柚梨なに無視決め込んでんだよ。おい、おい。おい、おい!!!」

「キャッ!!」

伸也はとうとう柚梨に手を出した。柚梨の腕から血が流れる。

「おい!!柚梨に手を出さないはずだろ!!」

「あーそうだったー。ごめんなぁ、柚梨。」

ニコリと嫌な笑顔がカメラにも写っていた。

「日記、書き終わったぞ・・・。」

「そうかそうか。ご苦労さん。で、俺は何でわざわざこんな事をバラして、書かせたと思う?」

「知るかよ。」

「そうかそうか・・・じゃぁ身を持って・・・知れ!!!」

伸也は真司に向かって包丁を刺した。しかしそれは真司には刺さらなかった。柚梨がかばったのだ。

「ゆ、柚梨!!!」

柚梨はその場で崩れた。

「柚梨?おい、柚梨?う、嘘だろ?な、なぁ・・・!?」

「あーあ、死んじゃった。」

「お、お前・・・!!!」

真司は伸也を思いっきり殴った。

「てめぇ!!柚梨、柚梨をぉっ!!ゆっ・・・」

それ以上は言葉に出せなかった。体に冷たいものが入った。ひんやりろしているが熱くなってきた。そう、包丁が刺さったのだ。

「真司、お前馬鹿?凶器持ってんの俺だよ?」

そしてその場で真司は崩れた。

「あー!血かかったじゃん!!うっぜー!早く着替えてかーえろっと!」

そう言って伸也は小屋から出てった。


「や、山本さん・・・。」

「鎌田伸也に、・・・逮捕状を出せ!!」

「はいっ!!」


数日後。

鎌田伸也は無事逮捕。供述もちゃんと述べている。

鎌田伸也の供述によると合計六人を殺し、そのうち婦女暴行が二人。

日記などの小細工は全て関根真司に罪が被るようにした物。家族を殺した理由は真司の大切な物を奪う他、真司の家族と家族ぐるみの仲の良さを知られないためでもあった。

柚梨のストーカーの件も、真司がより犯人ぽく思わせるために行ったことであった。

これで事件は一件落着だが残された家族の気持ちは一生晴れないだろう。そして、今回の事件で殺された六人の魂の無念も消えないだろう。

屋上で空を見つめながらコーヒーを飲む山本はそう考えていた。

「山本さーん、何空見てるんですか?」

いつもひょっこり現れる鹿嶋が聞いてきた。

「これはな、俺的な黙祷だ。こうやってお天道様に顔を向けて成仏しますよーにってな。」

「そんなダラけた黙祷った有りっすか?」

「俺だから許されんだよ。」

「意味分からないっす。」

「とにかくお前もやってみ。」

「・・・はーい。」

口を尖らせてもちゃんとやる、やっぱりイイ後輩を持ったな。と考えながら鹿嶋を見ていた。

「何見てるんすか山本さん。」

「見てねーよ。早うやれって!」

「へいへい。」

鹿嶋は顔を空に向け静かに目を閉じた。何秒か経ってから鹿嶋が目を開け顔をもとに戻した。

「や、山本さん。これ、良いっすね。僕、これから黙祷これにします!」

「ちゃんとしたやつの時はやめろよ。」

「わかってるっす!あ、僕ジュース買うんで、じゃっ!」

そう言って鹿嶋は走ってどこかへ行った。そうして誰もいなくなった頃、山本はポツリと独り言を言った。

「早く気づいてあげれなくて、ごめんな。」

目から一筋の涙を流しながら。




長かったあああああああああああ


てかこれは恋愛なのか?


なんかめっさgdgdすぎたwww


でもこんな話個人的に好きヽ(*´∀`)ノ


感想お待ちしております(`・ω・´)

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