可笑しい
登場人物
木島 佑太
主人公。人物像は今回はお任せします。
文章中の「僕」というのは佑太を指しています。
和泉 未来
佑太の片思いの相手。
人物像は文章中に出てきます。
文章中の「彼女」というのは未来を指しています。
雪岡 美枝子
佑太と未来の担任の先生。
人物像は文章中に出てきます。
校長先生
佑太の学校の校長。
ハゲてるでべぞなどこでもいそうな校長先生です。
佑太の親
佑太の親。
放任主義の共働きな感じです。
今日は卒業式。今までの思い出が多く詰まった学校から離れる日。
泣く者、笑う者、それぞれいるが僕は泣きもできない。笑いもできない。そんな生徒だ。
そう、僕は不登校の生徒。普通学校に思い出があるはずの人物から少し離れた存在。
不登校の生徒は一般生徒よりも遅れて卒業彰祥が渡される。
これは、いじめられた経験のある生徒が他の生徒と会わない為の時間差だ。
しかしこれが返って僕らにとっては『不登校』と言うレッテルが大きく張り出されているようなもので、ありがたいが、ありがたくない時間差。
僕は恥ずかしいとは別に思ってはいない。だが、どうにも「自分は不登校の生徒ですよ。」と言い張っているような感じなので、良い気持ちはしない。
ここまで思うなら学校に行けば良いと言う話。実際問題、僕はいじめられて学校へ行かなくなったわけでもなく、不良のようにめんどくさくて行かないわけでも無い。
僕は、とある女の子に好意を持っている。それは今も変わらずに持っている。だけど、この好意が彼女を傷つけてしまったのだ。
僕は彼女を襲ってしまった。
彼女はきっと深く傷ついた。きっとでは無く絶対。僕の顔なんて一生見たくないと思っているだろう。そう考えると僕の心がギュッと小さくなる気がした。
でも、疼いてしまう。彼女のあの時の顔を思い出したら。涙をただ流していたわけではない。恐怖心の中にどこか女性らしい妖艶さ、受け入れたくなくてもどこか受け入れようと試みるような雰囲気、恐怖の涙と興奮の汗。
僕は俗に言う『サディスティック』と言うものでは無い。好きな女性の涙を見て興奮するような男ではない。しかし、その表情だけはサドでもマゾでもアブノーマルでも興奮してしまうような表情であった。
僕が彼女を襲ったのを知っているのは僕と彼女だけ。彼女は僕が襲った事を誰にも口外しなかった。もちろん、親にも。
襲われた事を思い出すのが嫌で言わないのか、それとも恥ずかしいのか。はたまた彼女の優しさなのか。僕にはわからないが、その事が僕が僕を追い詰め彼女の前に現れる事、存在する事が嫌になり、親には「いじめられた」嘘をついて不登校になった。
幸い僕の親は放任主義で、僕が学校行こうが行かまいが自分の好きにしろという事だった。なので僕は修学旅行にも行かず、職業体験にも行かず、ずっと家で過ごした。
そして今。僕は校長先生から卒業彰祥を受け取り、帰ろうと校長室から廊下へ出た。
廊下に置いてある自分のリュックに卒業彰祥を入れ、リュックを背負った。
親は担任の先生と話しており、話が終わるまで教室を覗いてみようと教室へ向かった。
僕は三年四組。雪岡先生のクラス。雪岡先生は美人で優しく、誰にでも相談にのる良い先生だ。今思えば何で先生に相談しなかったのか後悔する。
ドアを開けると、黒板に大きくチョークで『美枝子ちゃんありがとう』と書いてあった。その字の周りにはかわいらしいキャラクターやハートはど、いかにも女子が書いたような感じであった。
僕がいない間に、『雪岡先生』から『美枝子ちゃん』と呼ばれるまでに周りの生徒から慕われていたのかと思うと雪岡先生がうらやましくてたまらない。僕も一回は『美枝子ちゃん』と呼んでみたかった。
せっかくなので教室の写真を撮ろうと携帯を出した。携帯の電源を入れると、メールが何件も来ていた。見てみるとクラスメイトからのメールであった。内容は「打ち上げ行こう」と言う誘いのメール。
僕と和泉の事を知っていたらこのような胸が温かくなるようなメールはくるのだろうか。それに、彼女も打ち上げに参加するだろう。僕なんかが行ったら彼女を不愉快にさせるだけだ。
ただ、呆然と立っていると窓際の机から「ガタッ」と言う音がした。なんなのか気になった僕は机に近づいた。
「っあ…。」
そこにいたのは僕が好きな、大好きな彼女---和泉 未来が寝ていた。
ここで何で寝ているのか、そしてなぜ今教室で一人でいるのか疑問点は多くあったが僕はそんな疑問よりも彼女の寝姿に釘付けだった。
サラサラなセミロングの黒髪。目を瞑っていてもわかる二重の目。小さな鼻。厚ぼったくは無いが、少し色気のある唇。痩せているが胸はそれなりにある体型。
これだ。これが彼女だ。一年ぶりに見たが変わらない彼女がそこにはいた。
疼く。体が疼く。彼女を目の前にして僕の体の呼吸の速度はどんどん増した。
もし、前と同じ事をしたら彼女はどう思うだろうか。また彼女は恐怖心に満ちた大きな瞳で僕を見つめながら泣くのだろうか。またあの顔が見れるのだろうか。
あぁ。もしこのまま彼女を組み敷いたらどんなに気持ちが満たされる事だろうか。
そんな事を考えながら彼女に近づいてしまった。寝息が微かに聞こえる距離。彼女のまつ毛が数えられそうな距離。鼻と鼻が触れそうな距離。どんどん近づいて行く。もう、正気など無い。そう思いかけていた時、彼女の目が開いた。
その時の距離は唇と唇が触れそうな距離であった。
何秒間か見つめ合い、二人とも状況を理解した。とりあえず二人は恐る恐る離れた。
僕はまた彼女を傷つけた。ニ度と見たくもない顔が一年ぶりに見た時に目の前にあったのはそうとう辛いだろう。そう思って黙ってその場から離れた。
「木島君、待って。」
彼女はそう言って僕を引きとめた。僕はその場で立ち止まった。気持ち悪いようだが、一年ぶりに聞いた声にドキドキと言うよりはゾクゾクとした。
「木島君、あのさ、あたし…」
言う事はわかっていた。この言葉に続くのは「あなたの事ニ度と見たくない。」という言葉に決まっている。わかってる。知っている。だから早くその言葉を言って僕はこの場から立ち去りたい。
「あなたの事…」
ホラ。やっぱりだ。焦らさないで早く言ってほしい。僕は彼女を傷つけたが、それと同時に僕も傷ついた。これ以上傷つきたくないから、早く「ニ度と会いたくない。」という言葉を言ってくれ。それをなかなか言わない君の優しさが余計僕を傷つける。
「あたし…さ…おかしいの。」
「は?」
予想していた言葉とは違う言葉が出て一瞬戸惑った。というか、言葉の意味がわからない。ついに、僕の頭は彼女の言葉をなるべく都合の良いように置き換えるようになったのか。
もんもんもんもん考えていると、彼女が話をし始めた。
「木島君さ、一年前…、あたしの事を襲った?」
「え…?」
とぼけたわけじゃない。驚いただけ。だって、襲われた本人が襲ったかどうかを聞いてくるのだから。
僕はあの時目だし帽を被っていたわけではない。顔ははっきりわかるはずだ。何故今更…。
「違うの?」
「いや…合ってる。」
「ホントに?」
「本当…。あの、あの時は本当にすいませんでした。」
謝ってすむ問題ではない。彼女の純潔を奪ったまではいっていないが、それに等しい行為をしたのは事実。ここはちゃんと謝ろう。
「本当に木島君なの?」
「うん…。ホントにごめんなさい…。」
すると彼女は、笑顔を見せた。
「木島君、あたしね、あなたの事好きになったの。」
「…え?」
彼女からの突然の告白。僕は彼女を傷つけたはずなのにどうして。
「木島君は、あたしの事好きだからあんな事したの?」
「え…。うん…。」
「あたしね、あの後夢に木島君がいっぱい出たんだ。夢の中の木島君は私の事を心から愛してくれているの。だから、あたしの体中舐め回すの。まず腕から舐め始めたの。」そう言って彼女は彼女自身の腕を指で指した。
「そこからね、どんどん位置があがってニの腕までくるの。そこから、首。鎖骨。」どんどん部位を指で指して行く。すると、彼女は胸を指で指した。
「ここ。あたしの胸も舐めるの。綺麗に。そこからまた下がっていくの。くびれ。腰。お尻。股。太もも。ふくらはぎ。つま先。そして木島君の舌は一気に顔の位置までくるの。あたしの全てを舐めたその舌であたしの口をこじ開けて、最後にはキスをして目が覚めるの。いつもその夢。木島君はどう思う?」
どう思うと言われても答えにくい答えしか出てこない。君を舐め回したい。夢なんかじゃ比較にならないくらい君を大切に舐めて舐めて僕の物にしたい。なんて言えない。
「正直に言って。」
彼女の目は真実を知りたいというよりは、欲求している目だ。この雰囲気。本当に思っている事を言ってしまおう。いや、表そう。
僕は、彼女を押し倒した。ずっとしたかった事。溜めていた重たい思い。全て出してしまおう。
「木島君。木島君はこんな汚いあたしを愛してくれる?」
僕は彼女の服を引っ張りながら言った。
「うん。僕は君を愛している。君を舐めますくらいじゃ足りないくらい君を愛している。」
そして彼女は微笑み、僕は彼女の腕を大切そうに舐め始めた。
いかがでしたでしょうか(´・ω・ヾ)?
第一話でなんか重たい話やった気がしてならない。
うえー(´д`)
というか、
未来が何で佑太の事好きになったのか分かりずかい気がしてならない…。
文才が欲しいですね⊂(^p^⊂)=3
ご感想お待ちしております(゜Å゜)!