記憶4
朝食後少し時間を挟んでグループでの自由行動になる。生徒達は仕度のために部屋に戻るが、準備万端な私はもちろん戻る気はない。どうせ、同じグループの人でロビーにいる教師に出発の報告をしなければ為らないので、ロビーで読書しながら待つことにした。
暫くすると、他のグループが現れ出発報告をして出かけていく。それから次々と生徒が現れ出発して行ったが途中で一際大きく少し掠れた笑い声と、女子特有の声高な笑い声が聞こえたので本を閉じ、声の持ち主である同じグループの到着を待った。
合流できた私は、皆と一緒に報告をし、今の内にお手洗いに行っておいた方がよいと思い、トイレに行くと女子達に告げ、用をたし終わりロビーに出ると同じグループの人は誰もいなかった。
さらに生徒全員の報告が終わったのか何故か教師もいなかった。
置いていかれのか、私は!なんて有り難い!これは、思う存分旅行を堪能しろという仏様の導きに違いない。
辺りに教師が居ないこと確認し、一人で京都奈良の町に出た。
幸いなことに携帯電話も持っていた。万が一困る事があれば担任の番号も登録済みなので連絡をすればいいだろう。グループの行動計画はわかっていたので最後に回る場所で落ち合えばよいと考え、置き去りにされた事に感謝し、これ以上ないぐらいに堪能した。