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記憶12



主人公の名前より先に出してしまいました。

架空な物です。とってもフィクションです。


 購入後、直ぐに鞄に着けた『みのむシっシぃ』の主人公キャラクターの『ミノウ君』が消えた。授業の合間の休み時間にトイレから戻り、教科書を取り出す際に鞄を見れば忽然と姿が消えた。私は突然の出来事により大ショックを受けた。


 あれっ、ストラップ何処?


 あれっ、ないっ! どうして……


 どうして!


 うっ、うわーん!


 何処に行ったのミノウ君!


 何処に隠れてるの!


 あまりの事で思考能力が低下する。数分後には授業開始ということを忘れ全ての荷物を広げ、ひっくり返したり、振ったりしてみる。


 鞄の中か……いない。


 机の中か……いない。


 床の上か……いない。



 何処にいるの? お願いだから出て来て!


 いくら荷物を確認しても見当たらなかった。ならば、考えつく事は一つしかない。


 家出なんてしないで!


 こんなに心配する家族はいないよ?


 とっても可愛がってたのにどうして何処かへ行っちゃったの?


 一人で鞄に居るのが嫌なら、今度から寂しくないようにガールフレンドの『ミミィちゃん』と一緒にさせてあげるから、私のお家に戻っておいで。何なら全員集合にしてあげるから他所様の家の子になんてならないで!


 いや、よくよく考えると、こんなに可愛がっているのに嫌われるはずがない。ただ、お隣りさん宅に遊びに行ってるだけでしょう、と考え改め隣の席の生徒を窺う。


 すると、向こうは私の様子を見ていたようで、眉を寄せ口を開けて唖然とした顔をいていた。私は構わず話しかける。


「つかぬ事を伺いますが、家の子を知りませんか?」


「うえっ――」


 話し掛けた隣の席から、五月蝿くよく分からない返事が返ってきた。伝わらないようなので詳しく説明をする。


「顔は目がクリクリっとして、口は小さくて、髪はウッスラ生えて、全体的に色黒で、渋くて男前なんですけど、見ていないですか?」


「はぁっ?」


 まだ伝わらないらしい。


「体はですね。実際はスレンダーなのですが、沢山着込んでいるのでモコモコして膨れ上がっています。蓑状の服を着て、唐笠を持っていたんですが見ませんでしたか?」


「何っ…」


「勝手に貴方の家の子になってませんか?」


「……だから、何言ってんだよ!」


 今だに伝わらない事に内心舌打ちをし、もっと分かりやすい言葉で話し掛けてみた。


「先程まで鞄に着いていたストラップ知りませんか」


「……知らない」


 やっと言葉は通じたが、そんなまさか! お隣りのお宅にもいないはずはない。


「鞄から落ちるところを見たり」


「知らねぇ」


「床にあったから拾っちゃったり」


「知らねぇ!」


 本当にお隣りのお宅には居ないようだった。では、何処に行ったのだろう。


 ならば、他のご近所かもしれないと前後に話し掛けようとしたが、既に首を左右に勢い良く振っていた。もう少しで一回転してしまいそうな動きだったため、気がきでなかったのに少し驚いた。どう考えても振り過ぎだ。大丈夫だろうか。


 首を動かす二人を心配していると、残念ながらチャイムが鳴り出した。仕方無く散乱した荷物を片付け始める。早く見つけなければ……

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