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もし、明日会えなくなったら  作者: 櫻木サヱ


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8/10

未来への誓い

瓦礫に囲まれた町は、まだ傷跡を抱えたままだった。倒れた家々やひび割れた道、折れた木々――それでも、人々の声や足音が少しずつ戻ってきていた。

家族は手をつなぎながら町を歩いた。ゆっくり、慎重に、一歩一歩。まだ完全に元通りではないけれど、確かな光が、瓦礫の間から差し込んでいた。


母は姉と弟の手を握り、父と視線を合わせる。

「これからも、どんなことがあっても、必ず一緒に生きていこうね。」

父は力強く頷き、姉も弟も小さく「うん」と応えた。その声には、震災を乗り越えた揺るぎない決意がこもっていた。


町の片隅に、倒れた家の庭に残った小さな花が揺れている。母はそれを見て、ふっと微笑む。

「この花みたいに、私たちもしなやかに生きていこう。」

父も同意するように花を見つめ、姉と弟も小さな手を合わせてその花に触れた。


家族は、失ったものの重みと残ったものの大切さを噛み締めていた。

失ったのは家や物だけではない――あの時の恐怖、避難所での孤独、分断された時間――それでも、互いの存在と温もりは何者にも奪われない。

母は弟を抱きしめ、父は姉の肩に手を置く。互いのぬくもりが、これからの未来を支える力になることを、全員が知っていた。


夜になり、家族は空を見上げた。

星々は変わらず輝き、瓦礫の町を静かに見守っている。母は弟と姉に小さな声で囁いた。

「見て、星はずっと輝いてる。どんなことがあっても、明日は来るんだよ。」

弟も姉も、母の肩に顔をうずめながら、ゆっくりと頷く。


父は静かに、でも力強く言った。

「もし明日、また何かが起きても、僕たちは大丈夫だ。みんなでいれば、乗り越えられる。」

母は父の手を握り返し、弟と姉もそっと手を重ねる。

家族全員の心に、揺るぎない光がともった瞬間だった。


震災で奪われたものはあまりにも大きかった。

けれど、互いを思いやる心、手を取り合う優しさ、笑い合える日常――それは、何者にも奪われない宝物だ。母は心の奥で、静かに感謝の気持ちを噛み締めた。


「私たちは、これからも一緒だ。」

言葉にせずとも、全員が同じ想いを抱いている。瓦礫の町の上に輝く星空のように、家族の絆は静かに、でも確かに輝き続けている。


そして家族は、未来へと歩き出す。

小さな希望を胸に、ゆっくりでも確かに。

悲しみも、失ったものも抱きしめながら、明日を信じて進む――それが、震災を乗り越えた家族の誓いだった。


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