未来への誓い
瓦礫に囲まれた町は、まだ傷跡を抱えたままだった。倒れた家々やひび割れた道、折れた木々――それでも、人々の声や足音が少しずつ戻ってきていた。
家族は手をつなぎながら町を歩いた。ゆっくり、慎重に、一歩一歩。まだ完全に元通りではないけれど、確かな光が、瓦礫の間から差し込んでいた。
母は姉と弟の手を握り、父と視線を合わせる。
「これからも、どんなことがあっても、必ず一緒に生きていこうね。」
父は力強く頷き、姉も弟も小さく「うん」と応えた。その声には、震災を乗り越えた揺るぎない決意がこもっていた。
町の片隅に、倒れた家の庭に残った小さな花が揺れている。母はそれを見て、ふっと微笑む。
「この花みたいに、私たちもしなやかに生きていこう。」
父も同意するように花を見つめ、姉と弟も小さな手を合わせてその花に触れた。
家族は、失ったものの重みと残ったものの大切さを噛み締めていた。
失ったのは家や物だけではない――あの時の恐怖、避難所での孤独、分断された時間――それでも、互いの存在と温もりは何者にも奪われない。
母は弟を抱きしめ、父は姉の肩に手を置く。互いのぬくもりが、これからの未来を支える力になることを、全員が知っていた。
夜になり、家族は空を見上げた。
星々は変わらず輝き、瓦礫の町を静かに見守っている。母は弟と姉に小さな声で囁いた。
「見て、星はずっと輝いてる。どんなことがあっても、明日は来るんだよ。」
弟も姉も、母の肩に顔をうずめながら、ゆっくりと頷く。
父は静かに、でも力強く言った。
「もし明日、また何かが起きても、僕たちは大丈夫だ。みんなでいれば、乗り越えられる。」
母は父の手を握り返し、弟と姉もそっと手を重ねる。
家族全員の心に、揺るぎない光がともった瞬間だった。
震災で奪われたものはあまりにも大きかった。
けれど、互いを思いやる心、手を取り合う優しさ、笑い合える日常――それは、何者にも奪われない宝物だ。母は心の奥で、静かに感謝の気持ちを噛み締めた。
「私たちは、これからも一緒だ。」
言葉にせずとも、全員が同じ想いを抱いている。瓦礫の町の上に輝く星空のように、家族の絆は静かに、でも確かに輝き続けている。
そして家族は、未来へと歩き出す。
小さな希望を胸に、ゆっくりでも確かに。
悲しみも、失ったものも抱きしめながら、明日を信じて進む――それが、震災を乗り越えた家族の誓いだった。




