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もし、明日会えなくなったら  作者: 櫻木サヱ


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6/10

失われたもの

町に戻ると、あの日まで当たり前だった景色はすっかり変わっていた。

瓦礫に埋もれた道、倒れた木々、半壊した家々――その光景を目にした母と父は、胸の奥がぎゅっと締め付けられた。

弟は言葉を失い、目を丸くして辺りを見回す。


「でも…ここに、私たちがいる。」

母は小さな声でつぶやき、弟の手を握り直す。父もそっと背中を撫で、互いの存在を確かめるように見つめ合った。


家の跡地には、かろうじて残った庭の一角があり、そこには小さな花が一本だけ咲いていた。

柔らかな風に揺れる花びらに、母は目を潤ませる。

「小さな命も、こうして残ってる…私たちも、まだここにいるんだね。」


家や思い出の品は多くを失った。けれど、互いに寄り添う手や声、笑い合える瞬間は、何者にも奪われない。

母は弟を抱きしめ、父と顔を見合わせる。

「失ったものは多いけれど、私たちはまだ一緒にいられる。」


夜、空には満天の星。瓦礫の町の上に、静かに光が瞬いている。

母はそっと弟に言った。

「見て、星は変わらず輝いてる。どんなことがあっても、明日は来るんだよ。」

弟は小さくうなずき、母に寄り添う。


――失ったものの重みと、残ったものの温かさ。

悲しみと希望が入り混じる夜、家族の絆は少しずつ、確かに強くなっていった。


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