第二章(3):カスパール、イメチェン!?
カスパール君の意外な素直さに、私は少し驚いた。
カスパール君の方を見ると、彼は「チッ」とわざとらしく舌打ちをした。
「まあ、宝珠がないのは困るが、鬱陶しかったから髪は切りたかったし、ちょうどいい」
すると、ローゼリアちゃんが「えー!?」と不満そうに声を上げる。
「カスパール君、髪、長い方がかっこいいのに…」
「うるせぇな。なんだ、お前は俺の髪が長くないと好きじゃねぇのかよ?」
カスパール君は、照れ隠しのようにぶっきらぼうに言い放つ。その耳が少し赤いことに、私は気づいた。ローゼリアちゃんは、顔を真っ赤にして慌てる。
「そ、そんなことないよ! カスパール君は、どんな髪型でも…!」
「へっ、そうかよ」
カスパール君は、さらに照れたようにそっぽを向いたが、どこか嬉しそうな雰囲気が漂っている。
「ならいい。おい、セラフィナ、どうせ切るなら、さっきの雑誌持ってこい」
彼はエリアス様から借りていたファッション雑誌をローゼリアちゃんに渡し、彼女は目を輝かせながら雑誌をめくった。そして、あるモデルの髪型を指差す。
「これ! こんな感じなら、すっきりしてて素敵だよ、カスパール君!」
城に控えていた専属の美容師が呼ばれた。
「これは…一体……!?」
美容師は、ローゼリアちゃんから渡された日本のファッション雑誌を凝視し、目を丸くしていた。その鮮やかな色彩と、この世界では見たことのない髪型に驚きつつも、すぐにプロの表情に変わる。ルシアン様が自ら開発したという魔法のはさみや様々な道具を使い、見事な手際でカスパール君の髪をカットしていく。
美容師の腕は確かで、見る見るうちにカスパール君の髪は、以前よりはすっきりとしていながらも、彼のワイルドな魅力を損なわない、少し長めのスタイルに仕上がった。耳元に揺れる紫の宝珠のピアスが、新しくなった髪型から覗き、キラリと光るたびに、それが彼をさらに魅力的に見せている。
「…悪くねえな。すっきりした」
カスパール君は、鏡に映る自分を見て、珍しく満足そうな顔で頷いた。




