もう何度目の失恋なのだろうか?
今日の失恋話は“ガールズラブ”です(#^.^#)
美来からのメッセが途絶えて丸二日が過ぎた。
SNSも一昨日のキャンティのコースランチが最後で、更新されていない。
先週の金曜日に逢った時は咳込んでいたし、少し寝不足だと言っていた。
いつもやるみたいに抱いておでこをくっ付けようとしたら「風邪だとうつしてしまうから」と腕からすり抜けてぎこちなく微笑んだ。
その時は「きっとカラダが辛いのだな」とデートを切り上げ、最寄り駅まで送ったのだけど、それから何の音沙汰も無く、私は悶々と土日を過ごした。
彼女との出会いは、とある銅版画家の個展。
作品を観る彼女の姿は言いようの無いオーラに包まれていて、賞賛と嫉妬がない交ぜになったその視線に私は限りないシンパシーを覚え、声を掛けずには居られなかった。
あの瞬間から私は恋に落ちてしまった。
まったく“その気”の無い上にカレシが居る彼女と“お付き合い”できる筈もなく、最初は美術館巡りに誘った。
絵については私と同じに“隠れキリシタン”だった美来だから……私は彼女への熱い恋慕を胸の奥底へ押し込み、あくまで『同じ趣味について心ゆくまで語り合える友達』としてふりまい、2年が過ぎた。
その間、カレシとの惚気話を聞くたびに、夜、独り寝のベッドで枕を涙で濡らしたが、一番の衝撃はカレシとの子供を身籠ったと打ち明けられた時だった。
「カレはいつ言ってくれるのかなあ……」
カレシからのプロポーズを心待ちにする幸せに満ち溢れた美来の顔を見て……さすがの私も覚悟を決めた。それらは……どうあっても私にはできない事だから……
辛くてしばらくは連絡ができないでいた私のスマホが鳴ったのは雪が降り積む夜の事。
出張先だった私は美来に会う為、雪道を一晩中走り続けた。
冬の長い夜が明け、雲の切れ間から朝日が差し始めた頃……子供もカレシも無くした彼女を私は初めて抱きしめ、永遠の愛を誓った。
世の理からすれば……私の想いはやはり邪なのだろう。
どんなに力を込めても……いや、力を込めれば込めるほど、私の愛した人達は私の腕の中から逃げてゆく。
仕事先から直帰した私は営業車のままスーパーやドラッグストアに立ち寄り、彼女に必要そうな物を買い整えてマンションへ向かった。
マンション敷地内の外来用駐車スペースには先客が居た。
クルマのリアウインドウ越しに見える中の二人は重なっていて……身を離した後も名残惜し気に何度もキスを交わしていた。
それは私の愛する人と……見知らぬ男のシルエット。
私の仕事を彼女に知らせていなかったのは幸いだった。
私はそのまま横を通り過ぎてマンションを出た。
『女同士の愛は蜉蝣の命より儚い。だから私は貴女を捨てる。私の人生の為に』
私の“初めて”だった先輩の最後の言葉だ。
この言葉は……今も私の心の奥底に深く突き刺さったままでいる。
おしまい
私、黒楓だってエチなしを書くのです(笑)
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