7.クライシス視点
三番目に王位継承権がある。
もともとこの国になど興味がない。
この国がどうなろうと関係ない。
三兄弟とも母親が違うが、最初から第一王子が次期王と決まっていたので、第二王子も第一王子の影として動いていた。
俺の母親はこの国お抱えの占い師だった。
王が気に入り無理やり側室にしてしまった。
よく思わない一部の人間達に毒殺されたらしい。
犯人は秘密裏に処分されたが、どうせトカゲの尻尾切りであることは間違いなかった。
俺には生まれつき夢で未来を視る力があった。
最初は誰も信じなかったが、次々に予言を的中させるので
不気味がられた。
長く続くこの国と隣国の戦争、流行りの疫病を終息させたのは俺だ。
好きでそうしたわけではない。
強制的な力が働くらしい。
解決するまでは、逃げることが出来ない。
俺はこの国の者が信仰する神の声が聴ける。
映像が視える。
幼い頃からだった。
無視することは不可能だった。
俺は城を出るのを条件に国の未来を視つづけた。
今回のように、内容が突然変わるというのは初めてだった。
最初は、異世界から絶世の美女さくらという聖女を呼び、魔王を倒し、世界を救うというものだった。
絶世の美女というのは、俺の視点ではなくて、神が言ったのだ。
しかし、前回と違う夢を昨日見た。
そこには見たこともない怪物がいて、中身はさくらだという。
キッドの仕業らしい。
一瞬の隙をついてさくらを奪還したが、このままでは軌道が変わり、この世界は消える。
俺たち兄弟の誰かとさくらで協力して、この世界を救って欲しいと神が懇願してきた。
その怪物に喰われたりしないのか?
背後で狙われたらたまらない。
神に疑問を投げかける。
見た目は岩の怪物だが、体の構造は岩の性質が強いが、普通の人間の男性と変わらない。
らしい。
面倒だ。
俺1人で魔王を倒しに行こうとしたら、やはり足止めが入った。
流れは止められないらしい。
厄介なことが起こりそうだ。
俺が直々に迎えに行ってやろう。
しかしなんだコイツは。
イカつい見た目とは違っておどおどしている。
よみの石を持っているのか?
俺が持つ石が反応している。
この怪物は面白そうだ。