2.おとなしくしていますが?
別の神官がなにやら呪文を唱え、私の頭上に杖を向ける。
目線を頭上に向けると、鳥籠の形をした檻のようなものが現れ、ズドンと落ちてきた。
終わった。
逃げられない。
「そ、そこからでないようにしてください。」
おそらく偉い神官がおびえている。
泣きたい。
次から次に起こる現象に耐えられない。
光の縄は身体に巻き付いているが痛くはない。
しかし鳥籠の檻は私にジャストフィットしている。
この後の私の処遇を話合うつもりらしい。
私はどうなるのだろう。
一縷の望みにかけて話しかけることにした。
「あっ、あのー、聖女?を呼んでな、なにをするんですか?よ、よかったら私が手伝いましょうか?」
吃りながら聞いてみた。
突然の私の発言に、神殿内は静まり返った。
「その質問に答えるとでも?」
血気盛んそうな男性が挑発的に答える。
「ジーク!やめないかっ!」
「しかし大神官様、こいつ偉そうにして…。」
どこが偉そうに見えたか分からないが、とりあえず謝った。
大神官と呼ばれた人物は、意を決して話し出した。
「500年ちかく前に、当時の聖女がよみの石を使って魔王を封印したのですが、何者かがそのよみの石を破壊してしまったのです。祈りの森に魔物がでました。魔王の復活が近づいています。もう一度、封印が必要なのです。」
「聖女はよみの石をもっているのですか?」
思わず食い気味に聞いてしまった。
「伝承ではそうなっています。」
大神官は恨めしそうにこちらを見た。