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今日から怪人ですか  作者: ねむたいからのねこ
18/25

18.思い通りにいかない

深夜、眠れずにいた。

ふと、横を見ると部屋に真っ黒ででっかい蜘蛛がいることに気がついた。

タランチュラに似ている気がする。

子猫くらいの大きさだから、異常だ。


蜘蛛は、怖い。

見た目が駄目だ。

ベッドのうえで三角座りをした。

奴がどんな動きをするか分からないから、目が離せない。


「みつけた。みつけたぞ。」


どこからか男性の低い声が聞こえてきた。


「ゆ、ゆうれい?」


びくびく震えていると、目の前の蜘蛛が人の形になった。


思わず悲鳴が出そうになった。


蜘蛛人間?に口を押さえられた。


「はい、ゲームオーバー。」


蜘蛛人間が、ぼそっと言った。


なっ、なに?ま、魔物?

こんな奴知らない!!なんで?なんで?

脳内がパニックになった。


「ぼくは魔物じゃない。このゲームのバグだ。聖女は2人もいらないし、王子も2人もいらない。1人ずつ消えてもらうよ。君ってさ、全然戦えないし、面白くないよ。」


ま、待って!!

バグを両手で押しのけた。

奴はちょっとよろけただけだった。

手を組んで祈ろうとしたら、バグが笑った。


「それとも君が選ぶかい?君かあの女か。どちらの王子を残すか。」


選べるわけがない。

怒りのせいか岩が全方位に飛び出して、部屋の壁とバグに突き刺さった。

バグが蜘蛛の姿に戻った。


「きみもうまくやれそうにないと思うけど、、、。」


そう言って消えた。


嫌な予感がする。

いわちゃんの眠る部屋の前に行き、ドアを激しくノックした。

「いわちゃん!?起きてる!?」

返事がない。

ドアノブを回すと鍵がかかっていなかったので、すぐ開いた。

急いで中に入ると、誰もいなかった。


隣りのアルジとブラストの部屋に行き、ドアをやっぱり激しくノックすると、ブラストが出てきた。


「どうしたの?眠れない?」


「あ、アルジは?アルジはいますか?いわちゃんがいないの!!」


「アルジ?いわちゃん?それって誰だい?」

ブラストがちょっと困った顔をした。


そんなバカな…。

涙が溢れ出てきた。

短い付き合いだけど、そんなのってない。


「どういうことか説明できる?」


私はブラストにさっきの出来事を話した。

埒があかないので、この世界に来てから何があったのかを出来る限り詳しく話した。

キスされた話は抜きで。


「つまり、君と僕とでは記憶がちがうんだね?」


ブラストの記憶では、私が選んだのはクライシス(アルジ)ではなかった。

出発の準備をしたのはクライシスだが、魔王封印のための旅に出たのはブラストだという。


腕輪を見ると、マオに噛まれた傷があった。

マオはいるのだろうか?

「マオは?マオは外にいるの?」


「マオスなら、外にいるよ。僕の馬と一緒にね。」


急いで部屋から出て、馬のいる場所まで走った。

「うるさい!!」

知らないお客さんから怒鳴られて、謝ったが走るのをやめなかった。



馬と一緒にいるマオが、ぐーぐー寝ていた。

寝言で、さんどいっちーと言って幸せそうな顔をしている。


ちょっと脱力しかけた。








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