表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日から怪人ですか  作者: ねむたいからのねこ
12/25

12.ジーク視点

「飯をくれるのはありがてーんだけど、もっと肉ねぇかな?芋とか葉っぱだらけじゃん?」


なんなんだこの少女は。

見目は可憐なのに、口と態度が悪い。

そして一般男性より食べる。



「それはすみません。ところで、貴方様のお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」


ポテトサラダをスプーンですくった少女は動きを止めた。


「オレは いわ だ。」

「いわ様ですか。いわ様は聖女様じゃないのですか?」

「さっきも言ったけど、せいじょさまじゃない。オレは、か…。」

「か?」


「か、関係ない。オレの身体を見つけて元の世界に帰る。」


「それはできません。この世界に呼ぶことは出来ても返す方法がありません。おれのからだ とはどういうことですか?」


いわ がうーんと唸る。


なんなんだこの少女は。

この小柄の少女に違和感がある。


「まぁ、いいか。オレはさ、ケイって奴に騙されたの。そいつが助けてやるっていうから、賭けにのったわけ。そしたら身体を奪われちまった。

気がついたらこの身体なわけよ。けど、オレには分かるね。オレの身体は近くにいるってさ。」


いわ様の言うことが理解できない。

魂の交換なのか?

しかし、いわ様が普通の少女ではないのは分かる。

只者ではない、殺気をまとっている。


「あんたさ、オレに協力してくんない?」

急な申し出にジークは戸惑った。


「それは出来ません。私は大神官さまの指示で動きますから。」


「うーん。困ったな、この身体だとさ、パワーがでなそうなんだよ。」


いわ がテーブルに置いてあるナイフとフォークを扉に向けて放った。

重みのある音を立てて木製の扉に刺さり、扉の向こう側から悲鳴が聞こえた。

何人か盗み聴きをしていたらしい。


「向こう側に通り抜けないじゃん?弱っちいよね。この身体。」


いわ がつまらなそうに話す。


『普通の人間』だったらそもそも扉にフォークを投げても刺さらなかっただろう。

普通の人間は魔法は使えない。

使えるのは王族と神殿の中の上位のもの、上位貴族、稀に平民にも素質がある人間がいるが。

いわ様の場合、魔法じゃない何か別の力が働いていた。

それが何かは分からないが。


「これからどうすればいい?責任とってくれるわけ?」


「聖女様のお世話をさせていただくものがおりますので、とりあえず今夜は神殿にお泊まりください。いわ様が聖女様でなくとも、何かしら力になりたいとは思いますので。」


いわ が席を立ち、ジークの前にツカツカと歩いてきた。

ジークが身構えると、いわ がジークの両手を握った。

「お前、いい奴だな!人間は嫌いだけど、お前は好きだわ。」

突然の告白にジークは固まった。

そういう意味じゃない、分かっている。


「オレが人間だったら、お前に惚れてたわ。」

にこにこ笑ういわ。

心臓がドクンとはねた。

恐怖なのか、それとも別のものか?


若い神官が、聖女の世話係の女性を連れてきた。

「ジーク様、この後のことはこちらで致しますので。」


このままだとこの神殿は危険に晒されてしまうのではないか?

不安だ。

「私も付き添います。食事はもうよろしいですよね?」

いわ に話しかけた。

いわ がにかっと笑う。

「ああ、ありがとう。」


笑顔が眩しい。

なんなんだこの感情は。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ