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「どうだったの?」
母が心配そうに声をかけて来た
加護の事は言った方が良いのだろうか?
あと、特性魔術って何だろうか
「特性魔術って何ですか?」
「ノア、あなた特性魔術の適正があったのね」
嬉しそうに話す母に、やっぱ珍しいのかと認識する
「特性魔術は、名の通り、その適性がなければ使えない特別な魔術です。この適性を一つでも持てる人はとても珍しいのです」
じゃあ二つ持っている俺は珍しい通り越してるのか
この調子じゃ加護はもっと大騒ぎだな
言うのやめとこ
「属性は風と水と地で、特性魔術1つ付いていました」
「まあ!地の属性を持つ人間は珍しいのですよ。おめでとう!」
どの道珍しいんかよ
「ノア、帰ろうか。神官長殿、謝礼はエマンドから受け取ってくれ」
「ありがとうございます」
魔力測定部屋から出て、来た道を通り護衛がいる馬車の所に戻る
「さて、用事も済んだ事だし、ショッピングしましょう」
「ショッピングですか?」
母が楽しそうに提案して来た
「いやあ、この高級馬車で街を回ったら騒ぎになるでしょう」
行きの数分だけでも騒ぎになっていたのに、流石に無理がある
止めて下さい。という目線を父に送る
「馬車の見た目と服装を変えれば良いだろう」
しれっと父はそう答えた
そんな事出来るのだろうか
「サラ」
「此処に」
何処から出て来たのか、姿勢良く立つ女性の従者が現れた
「着替えを」
「畏まりました」
そう言って、母とサラさんは教会にまた入って行った。
「エマンド、魔道具を」
「こちらです」
エマンドさんは掌サイズの楕円の宝石に金縁が付いた物を何処からか出して父に渡した
「私達はこの程度で十分だろう」
そう言って俺にその宝石を翳すと何やら魔法陣が現れ見る見る内に別の衣装に変わった
ついでに髪と目の色が茶髪に変わった
「これは?」
「魔道具で見た目を変える事が可能だ」
馬車に翳せば木製の見た目に変わり紋章も消えた
中の装備は変化なし。便利だな。
これがあるなら母もこれでよかったのでは
「お待たせ。さあ、行きましょう」
さっきまでの派手な衣装ではなく、市民ぽいデザインに変わっていた。
しかし、生地は上質なものを使っている事は分かる。
それから、髪も綺麗な黒から茶髪に変わっていた
母の提案で、徒歩で街を回る事になった
考えてみればこの8年間まともに屋敷から出た事がない。
引きこもり生活楽しんでたけど貴族の子供なら、お茶会とか開くもんじゃないんかな
「この先にサラから聞いた話題のスイーツ店があるんですって」
少女のようにはしゃいで小走りでその店に一人で行ってしまった
いくら護衛がいようと、貴族がそんな勝手に行動して大丈夫なのだろうか
父は慣れてるのか平静で母が入って行った店に向かった