3.呆気ない終わり
ロミオとジュリエットが、式を挙げた後、2人は「また来週」と言い合い、別れた。
ジュリエットはいつも通り、家に帰ったが、ロミオは違う。
ロミオはその後、親友であるマキューシオと待ち合わせをし、合流した。
「お待たせ、話って何?」
話があると言っていたため、マキューシオは開口一番にそう言った。
「いきなり呼び出してすまない。」
話というのは、ジュリエットとのことだ。
自分たちの仲は本来あってはならないものである。
だから、親友であるとはいえ、話をするのに抵抗を感じていた。
それを察してくれていたのか、マキューシオは何も訊いてこなかったのが、今までだ。
今日、ロミオとジュリエットは婚約式を挙げた。
そろそろ話すのも潮時だろう。
そう思い、マキューシオと待ち合わせたのだが……、なかなか勇気が出ない。
(マキューシオ、俺の話を聞いたら、どんな顔をするんだろう……。
どう感じるんだろう……。)
それだけが、気がかりだ。
「? どうした? ロミオ。」
(言わないと……。いつまでもマキューシオに嘘をつくのはもう嫌なんだ。)
ロミオは、覚悟を決める。
「実」
は、
そう言おうとしたが、他の人の声でかき消される。
「イッタ~~!!」
声がした方を見ると、1人の男性がうずくまって、自分の足を押さえていた。服装からして、貴族だろう。
そのすぐ近くに、平民が立っていて、呆然としている。
平民は、何があったのか、わかっていないようだった。
「お前、わざとぶつかりおったな!
ワシの骨が折れてたら、どう落とし前つけるつもるなんだ!」
(あれは……、多分嘘だろう。
もしかしたらぶつかったのかもしれないが、それは肩が当たった程度だろうな。)
「私を怪我させたこと、一生をもって償わせてやるわ! 後悔しても、もう遅いぞ!」
(やはり狙いは、ただ働きさせる使用人か。)
こういう貴族は、たまにいる。
まったく、金は山ほどあるくせに、なぜそのようなことをするのか、理解に苦しむ。
(それは俺も同感です。)
あ、やっぱり?
「お許しください、私にはまだ幼い娘もいるんです。妻は先日亡くなりました。あの娘を1人にするわけにはいきません。お願いです、お許しください……。」
平民が土下座する。
ヨーロッパって、土下座の文化あったけ? と思う人もおられるかもしれないが、スルーしてほしい。
「言い訳は聞かん!」
そう言うと貴族は立ち上がり、足を後ろにさげ、助走をつける。
(まさか、蹴るつもりか!?)
流石に、ここまで来ると見過ごす訳にはいかない。
そう思い、ロミオは動こうとする。
「何をしようとしているんですか?!」
いつの間にか、マキューシオは隣にいない。
マキューシオは貴族たちの元へ行き、貴族の足を止めていた。
ロミオもすぐその場に向かう。
「この人はこれだけ反省しているんです。許してあげるべきでしょう?
これ以上この人に何かすることは、同じ貴族として見逃せません!!」
(こうやって、ハッキリ自分の意見が言える親友には、本当に尊敬しかないな。)
そんなことを思いながら、ロミオも口を開く。
「そういえば貴方、先程立って人を蹴ろうとまでしてましたね。足はもういいのですか?」
図星をつかれ、貴族は怒りにより顔を歪ませる。
「え~~い、うるさい!
黙れ黙れ黙れ~~!!!」
ロミオに向かって、貴族が両手を伸ばしてくる。
ロミオを突き飛ばそうとしたのだろう。
だがロミオの体は、後ろではなく右に倒れた。
「ロミオっ!」
左にいたマキューシオが、ロミオを庇うためにロミオを軽く突き飛ばしたのだ。
そしてマキューシオは、貴族により、思いっきり突き飛ばされる。
ゴッ
─鈍い音がした。
マキューシオが、露店の低めの台に頭をぶつけたのだ。
………
驚くほど呆気なかった─。
(うそ……だろ……?)
マキューシオの頭から流れる血は、ドクドクと流れ、一向に止まろうとしない。
マキューシオはピクリとも動かない。
息もしていない。
ロミオはこの日、呆気なく大切な親友を失ったのだった─。
どうも、こんにちは。
少し重い話になったので、苦労したあぷりこっとです。
さて、今回はロミオ目線のストーリーでした。いつもはタイトルの最後に「!」をつけるのですが、今回はなかったのはロミオ目線だからです。なので、断じてつけ忘れたとかではありませんよ?
実は今回の話、この小説の中で1番大変だったと思います。ご存知の方もおられるように、私はロミオとジュリエットの話を詳しくは知りません。本当にWikipediaで調べて読んだだけのレベルです。なので、Wikipediaでロミオとジュリエットのあらすじを読んだときに「街頭での争い」ってどんなの!? となりました。どういう風にすればいいのか……と悩みに悩んだ結果がこれです。
原作をよく知らない作者がわからないなりに描いてるものなので、これは二次創作であって二次創作ではありませんね。それをご理解の上で読んでいただければ幸いです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。
バイバ~イ!