10.嘘…だろ……?
(ジュリエットに会いたい……。)
ロミオは追放されてまず思ったのはそれだった。
家を追放されて、今は自由の身。
家の縛りはないため、結婚することも不可能ではない。
「知ってるか? キャピュレット家のティボルトが殺されたらしいぜ。」
「あぁ、知ってるよ。
モンタギュー家のロミオが殺ったんだろ?」
通りかかった人の会話がロミオの耳に届く。
(あぁ、そういえば俺が殺したって伝わってるんだっけ。
……ジュリエットには悪いことしたな。)
そう考えると、結婚は前より難しくなったかもしれない。
「そうそう、ヴェローナの大公エスカラスが気を使ってか、エスカラスの親戚のパリスとジュリエットが結婚することが決まったらしいぜ。」
(!?)
ロミオは予想もしていなかった噂話に驚き、思わず足を止める。
(結婚することが決まったってことは、まだ婚約の段階なんだろうけど……)
結婚してしまえば、ロミオは全く手を出せなくなってしまう。ロミオとしては、それは何としても阻止したい。
(取りあえず、本当かどうかもわからないから、ジュリエットと話をしないと……。)
だが、どうやって会おうか…?
(取りあえず、いつもの待ち合わせ場所にいよう。)
それからロミオは毎日、ジュリエットとデート前に待ち合わせしていた場所で、ジュリエットを待ち続けた。
近くに宿を取り、宿と待ち合わせしていた場所とを往復する毎日を続けていた。
だが─……。
一週間経ってもジュリエットはそこには来なかった。
(どうしてジュリエットは来ないんだ?)
毎週会うと約束している曜日を過ぎたのに、まだジュリエットはここに来ない。
一日一日過ぎるたびに、この場所で1人で待つたびに、ロミオの不安は募っていく─。
「なぁ、聞いたか?
キャピュレット家のジュリエットが、自分で毒を煽って死んだって話。」
(え?)
「あ~、聞いた聞いた。
ティボルトが死んだ後に今度は一人娘だろ?
キャピュレットの当主も大変だな…。」
(嘘…だろ……?)
現実をすぐに受け入れられないロミオの耳には、通行人Bの言っていることは届かなかった。
ロミオはそれくらいショックを受けたのだ。
聴覚が、嗅覚が、味覚が、触覚が、視覚が、全ての感覚がロミオの意識から離れていく─。
(そんな、なんでジュリエットが?)
心の中で誰かに問うが、答える者は誰もいない。
(いつも元気で、明るくて、優しくて、物覚えのあまり良くないジュリエットが…なん、で……。)
ストップ、ロミオ、どさくさに紛れてジュリエットをディスるな。
(婚約式の日に、幸せそうに笑ってたジュリエットが、なんで……)
自殺なんかを─
「やっと見つけましたよ、ロミオ様。」
知っている声がどうにか立ち尽くロミオの耳に届き、ロミオは我に返る。
「ロレ…ンス……?」
どうも、こんにちは。
久々にロミオ目線のストーリーが描けて嬉しいあぷりこっとです。
とはいえ、今回はあまり明るくない内容になってしまいました。物語の進行上、しょうがないんです。許してください。
今回のストーリーを読んで、あれ?っと思われたり、大体勘づかれた方もおられるかと思います。そういう感じになってきたら、そろそろ終わるんだな~、っとしみじみ思ってしまいますね……。いや、まだ続きますよ。まだ最終回まで時間はありますからね!
それまで読んでくだされば幸いです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。
バイバ~イ!