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17 変わりつつある者、ない者



 ーー数日後。




「お姉……じゃなかった。シャーロット様、伯父様はいつ戻って、お戻りにならなれますの?」

 何故か本邸に、従妹ロランナの姿があった。




 さて、何故いるのか。話すと長い。




 ーー実はあの後。




 父セイバールは、リンダ達を追い出すていを見せただけで、そのまま直ぐに追い出したりする事はなかった。

 まず、父が与えていたお金なのだがーー。



 弟マイセンがリンダに買ってあげていた宝飾品を、父が新しい物と換え売り捌き、それを出て行く日のために貯めていたのだ。

 それを、出て行くための資金として、与えられていたのだと、この時リンダは初めて知った。

 後妻に認められた訳でも、自由に遊ぶ金でもなかったのだ。



 すでに使ってしまった分について、長々と協議した結果。

 リンダの買ってしまった宝飾品は、セイバールが八割で買い取る事に。ロランナのデビュタント用のドレスは、父の最後のプレゼントという話に落ち着いたのだ。



 その資金を使い、何処かに家を探すまでは屋敷に残って良いと、父は落とし所を決めたらしかった。

 執事長マイク達は、不服そうだったが、父の決めた事に否と唱える事はなかった。




 そして、リンダが家を探し始めて数日経ったある日。




 なんとワマウンド男爵が来訪したのだ。

 使用人達の行き場を考えたセイバールが、何気なしにワマウンド男爵にリンダ達の話をした途端、実際に会ってみたいと自ら早馬を飛ばし颯爽と現れたのだ。

 それには、さすがの父も苦笑が漏れていた。




 ワマウンド男爵は、想像以上の人だった。

 自ら早馬を飛ばすのだから、体格はそこそこかと想像していた。

 だが、実際には、馬に良く乗れましたね? という、容姿だった。

 縦には低く、横には広い、ビックなサイズの人だった。

 指もぽってりしているし、首はお肉で見えない。女性を見る目は、もの凄くイヤらしい。

 どの使用人をくれるのだと、ワマウンド男爵は鼻息を荒くして、リンダ達を下から舐めまわすように見ていた。

 その仕草に女性達は、裸にした時の想像をしているのかと全員震え上がっていた。



 シャーロットは、ロビーで彼を迎えようとしたのだが、執事長マイク達に止められた。

 父セイバールが迎えるから、自室にいろと。

 ありがたいと、シャーロットはこもってしまったので、その後何が起きていたのか詳しくは知らない。




 父セイバールとワマウンド男爵の間に、どんなやり取りがあったか知らないが、数名の使用人達がその日の内にワマウンド男爵の元へ連れられて行った。

 リンダ親子を1番に諫めなくてはならない立場だった、上の方の侍女達らしい。

 ワマウンド男爵は、彼女達が若くないのが少々不満ではあったものの、タダでくれるのならばと快諾した様子だったという。

 



 それを見ていたリンダ達は、更に震え上がった様だった。

 セイバールの話を話半分くらいと、高を括っていたが、ワマウンド男爵は想像以上にヤバイ奴だと認識出来たのだ。

 実際に死人みたいな表情で連れて行かれる者達を間近に、明日は我が身かと身体が震えたという。




 ワマウンド男爵には1人息子がいたらしく、ロランナは目をつけられたのものだから、ロランナも心を入れ替えざるを得なかったのかもしれない。



 だって、父の一言で、変態ワマウンド男爵の家に嫁入りが決まるのだから。




 それで、現在ロランナは、今更ながらに行儀見習い中なのである。

 セイバールの最後の温情により、後2年の猶予期間を貰えたのだ。



 それまでに、輿入れ先を決めるか、住む場所を探せと。

 勿論、今まで通りの部屋に住む事は許されなかったが、使用人達と同様の部屋を与えられ、教育を受けている。

 サボれば、即ワマウンド男爵行きの片道切符を用意されており、ロランナはシャーロットも驚愕の成長を見せ始めていた。



 持ち前の可愛らしさがあるのだから、後は勉強や教育次第でそれなりの所に嫁げるのでは? とシャーロットは踏んでいる。




 叔母のリンダは、父と血の繋がりは全くない上に、元平民で領地もない。ロランナの夫次第だろう。

 長子ならアウトだし、次子で継ぐ領地があれば義母として迎えられるかもしれない。

 だが、義母と暮らしても良いと言う可能性は低い。そうなれば、何処かで使用人として暮らすか平民に戻るしかないだろう。




 最後の最後で、リンダもロランナもやっと必死になった様である。





 ちなみに、男の使用人達は、リンダ親子を焚き付ける侍女達の姿に早々に見切りを付け、態度を改めていたためにお咎めなしとなっている。

 一応、彼らがリンダ親子に、苦言を呈した姿を侯爵家の侍女が見ていたからだ。




 だが、何かあれば放逐されると、益々仕事に励む様子があったという。





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