真っ赤な画面
三栗は自室で便箋とにらめっこを続けていたが考えてももうしょうがないと諦め、リビングへと降りた。
今日は朝から父の山椒も母の柿八子も前日の事件関係で早朝から仕事に出ていた。昼からは三栗も事情聴取に繰り出すことになっている。三栗は今から億劫だった。
このひと月の間に友人が二名も亡くなったのだ。普通の精神であれば自室からすら出られなくなっていることだろう。
三栗は、今までの人生でありとあらゆる事件に巻き込まれた経験による"事件耐性"があったために、なんとか今回の事件でも精神の崩壊は免れていた。
また、これまではとんでもないポジティブ思考と気遣いな性格が相まって数週間ほどで"いつもの"三栗に戻ることができていた。
今回の事件はあまりにも近しい友人が犠牲となったため、さすがの三栗も参っていたが、悲しんでいても死人は蘇らないと三栗は普通の人よりも良く理解していた。
昨日の夜からリビングに置きっぱなしになっていたスマートフォンを点けるとどういうわけか画面は真っ赤になり操作ができなくなった。
「…いっつも不運だな。私は。」
三栗はそういって、スマートフォンをゴミ箱に突っ込んだ。




