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1st Penguin☆MIKURI  作者: 大西 憩
恐怖!講演会は血濡れで始まる!?ミセシメの手品ショー
11/29

スローモーション

「苺ちゃん!」

 三栗が叫んだ瞬間、苺を包んでいた布が勢いよく宙に舞い、タワーにたたきつけられた。

 それを皮切りに会場内に点在していたであろう能面の集団が幾人か参加者につかみかかった。会場が悲鳴や叫び声で包まれたその瞬間、会場には警察が幾人も乗り込み、黒尽くめの能面たちを次々に取り押さえた。

 ステージ上にいた能面たちは慌てた様子で懐から刃物を取り出し次々に三栗にとびかかった。

 そんな中、三栗は苺を見つめていた。真白な布から、真っ白で、細い、苺の脚がだらんとぶら下がっているのが見えた。


「苺ちゃん。」


 三栗には世界がスローモーションに見えていた。真っ白な苺の足がゆらゆらと揺れる。まるで風鈴のようだ。

 三栗が一歩前に出ると、少し離れたタイルが一枚三栗に向かって弾けた。たまたま動線に入った能面の首に刺さり、能面は首をかばって蹲った。

 残り二名の能面は同時に三栗にとびかかったが、遠隔から山椒に足を射撃され一人撃沈、もう一人はステージ裏から駆け付けた柿八子に組技をかけられ、取り押さえられた。

 ステージの真ん中にたどり着いた三栗は腕を伸ばせば届く距離にぶら下がった苺に触れた。

「苺ちゃん、そんなところにいたら危ないですよ。」

 よくよく見ると、布にはおびただしい量の血と、透明な糸が無数巻き付いていて、苺は無理やりツリーに張り付けられているようだった。

 苺のものと思える血がべっとりと滝のようにタワーと伝ってステージに広がっていた。

「今、降ろしますからね。」

 そういって三栗は苺の腰あたりを持った。するとずるりずるりと苺の身体は崩れ、床に四肢が落ちていった。

 三栗が自分の足元に目をやる前に、柿八子が駆け寄り、三栗をステージから引きずり降ろした。


 ゴトンっと鈍い音が会場に響きそれを聞いたのを最後に三栗の意識は途絶えた。

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