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過去の確執。

「でも、もう手元にないんですよね? じゃあ安心です。あっ、でも手離した剣はどこへ? 大丈夫なんでしょうか……」


「剣は祖父の前の持ち主へ返しました。最初からそうすれば良かったのですが……、祖父が無理やり奪う形で手に入れた物でしたので、今さらノコノコとどの面下げて行けば良いのかと」


「無理やり奪う形で……? 確か、先代の国王陛下の形見分けのゴタゴタでと、仰ってましたよね」


「ええ。先代の国王陛下は、王太子へ王座を譲られ退位された後は、ご隠居先で愛人と暮らしておられました。セオの母親です。彼女がバルバーニーの剣の持ち主でした。持っていたというよりは、世に出回らないように秘蔵していたのでしょう。先代の国王陛下が崩御されたとき、遺産相続のゴタゴタに乗じて、彼女の私物まで祖父たちが取り上げたのだろうと思います」


「そんな……そのときセオは生まれていたんですよね?」


「ええ。先代の国王陛下の公的な地位や財産は、正式な権利継承者へ相続されましたが、ご隠居生活の基盤であった私財や不動産は、全てセオへ譲ると遺言を遺されていました。それを知り、許せなかった親族ーー主に私の祖父と、祖父の弟だったのですが、セオ親子に随分な仕打ちをしたようです。国王陛下が間に入ってくださり、何とか収まったそうです」


ですから、とブレット様は仰いました。


「セオが私を尊敬している、というのは彼なりの皮肉でしょう。逆の意味なのです」


尊敬の逆ーー軽蔑?


いつもニコニコと明るいセオが、自分の血筋ーー王族の話になると、どこかほの暗い表情を浮かべることには気づいていましたが。

過去にそれほどの確執があったとは、微塵も感じさせない笑顔です。


「でも、セオは王族御用達の祓い屋をーー」


「ええ。それとこれとはまた別の話。過去にあったことは水に流して、上手く付き合っていると思います、お互いに。私たちの上の世代の話ですし。直接やり合ったわけではない。ただ、彼は王族ーーとりわけサンドフォード家の者を快く思っていないでしょう。祖父が酷い仕打ちをしたので……それは本当に申し訳ないと思っています」


何と言っていいのか、言葉に詰まりました。

愛人の子供だの、遺産相続争いだの、世代を越えて引き継がれた確執だの、もういっぱいいっぱいです。

田舎でのびのび育った私には。

お父様はお母様一筋で、側室は置きませんでしたし、一番下の弟を産んだ予後が悪くお母様が亡くなった後も後妻は娶りませんでした。


「あの、セオはそういう遠回しに皮肉を言うタイプじゃないです……本当に思ったことを言ったんだと思います」


「ああ、別に彼のことを悪く言ったつもりでは……すみません」


「あっ、いえ。そういうつもりでは。すみません」


気まずい沈黙が流れます。


「あのっ、今日このような話をしてくださったのは……私が自分の秘密を告白したからでしょうか? それでブレット様もお話してくださる気に……?」


私の「たくさん食べすぎる」件については、結局ずっと秘密にしておくことができません。

ブレット様にお話して、認めてくださらない限り、ずっと空腹でいないといけません。


しかしブレット様の過去については、ずっと黙っていても良かったのではないでしょうか。


「そうですね。あなたが勇気を出して、言いにくい事を告白してくれたので、私も見倣いたいと。あなたとしっかり向き合いたいと思いました。正直言って、このような話は誰にもするつもりがありませんでした。家族や親族が煩いのと、世間体もあり、新たに妻を迎えることにしましたが、形式的な妻で良いと考えていました。心底惚れたり嫉妬に狂ったりするのは愚かな事だと、前妻で懲りていましたから。それに感情に大きな波が起きると、私はまたあのようになるのではないかと怖かった。私はきっかけさえあれば、バルバーニーの剣があろうとなかろうと、ああなってしまうのではないかと」



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