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旦那様の知らざる過去にビックリです!




「ーーーーで、ブレットったら結構モテるのよぉ。お城に入ったばかりの頃は氷の貴公子なんて呼ばれて、キャーキャー騒がれて」


今日も今日とて、例のおば様がいらしています。

今日は、昔からブレット様がいかにモテてきたか、について熱弁をふるっています。


「あー、分かりますー。ブレット様、とってもクールでいらっしゃいますからー。瞳もアイスブルーですし、クールで涼やかですよねー」


「でしょお? でもねぇ、騎士団にいた頃は、炎の剣士なんて呼ばれてたのよ。赤い炎を纏っているように見えるって。今のブレットからは想像がつかないくらい、燃える男だったんだからぁ」


「えっ、ブレット様って騎士団にいたんですか? 戦ってたってことです?」


「あら、それも知らないの? アークテレドの内戦で功績を上げて、分団長よ。二年も戦地にいれば、現地の女とも色々あったかもねぇ」


女性関係の話は置いといて、ブレット様に戦歴があったとは、びっくりです。

あのブレット様が!?

ずっとお城勤めの、肉体労働はしたことがないタイプの方だと思っていました。とっても意外です。

「アークテレドの内戦」は聞いたことがあります。確か十年ほど前に、同盟国アークテレドでクーデターが起こり、我が国からも騎士団を派遣したのですっけ。

その中に、ブレット様もいらっしゃったということですか。

えー! すごく攻めのスタイルじゃないですか! あのブレット様が。


それにしても私、妻でありながら、ブレット様のことを本当に何も知らないのですわ。


このおば様、嫌がらせのつもりでブレット様の昔の話を色々と披露してくださっているのでしょうが、なかなか興味深い情報ばかりです。

新たな発見と驚きの連続で、だんだんと聞くのが楽しくなってきた今日この頃です。


「あの頃は本当に勇ましくてねぇ。若くして異例のスピード昇進で。なのに急にすぱっと辞めて、剣を置いちゃったのよねぇ。 まあ今のほうが危なくなくていいけどねぇ」


それに何だかんだ言って、このおば様はブレット様のことが好きなのだと思います。

言葉や表情の端々にそれが出ちゃってますから。

思ったより悪い人ではないのです。


「前の奧さまと結婚されたのは、騎士団を辞められた後ですか?」


「ええ、そうよ。安定したお城勤めになった事だし、そろそろ身を固めろってね、サンドフォード公の強い勧めで」


「そうなんですね……。お父様が決められて、お二人自身はそう乗り気ではなかった、とか?」


「それがね、確かに親同士が勝手に決めた結婚ではあったけど、初めて会ったときに、お互いが稲妻にうたれたように、びびっと来たんですって。一目惚れってやつね」


これまた意外な衝撃の事実です。


「へー、そういうことって本当にあるんですねー。前の奥様、相当お綺麗な方だったんですね」


「そうね。妖艶な感じの美人ね。まあ、貴女とはタイプが違うわねぇ」


妖艶とは……つまり、お色気があるということですね。結局そこが大事なんですね、色気。

ボンキュッボン。

ええ、どうせ私には無いものです。

どうせ、色気より食い気です。


目の前にあるお菓子をパクリと食べました。

うん、美味しくて幸せです。


「貴女って、本当に良い食べっぷりねぇ」


おば様が感心したように言いました。


「えっ、そうですか!?」


おば様の手前、私としてはかなりセーブしていたつもりですが。


「それに本当に美味しそうに食べるわねぇ」


「ええ、だってそれは、本当に美味しいですから! おば様がいつも持ってきてくださるこのお菓子、とっても美味しいです。表面がかりっと、中はさくっと。この焦がしたカラメルソースとナッツがまた香ばしくていいんですよね! さいっこうに美味しいです」


「あら貴女、よく分かってるじゃないのぉ。このお菓子はね、私の出身地方の銘菓なのよぉ。王都にも出店しているから手軽に買えるんだけど、いつもつい買いすぎちゃうのよねぇ。で、うちの嫁なんか、飽きたらしくて、私が見ていないところで捨ててるらしいわ」


「ええー! 捨てるなんて、もったいないですわ。私がいくらでも食べますのに」


「ええ、そうね。じゃあ次からはもっとたくさん持ってくるわ」


「うわぁ~本当ですか、ありがとうございます! 嬉しいですー!」


やっぱり悪い人ではなかったのです。

美味しいものを食べさせてくれる人に悪い人はいません。




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