O06 異世界漂流者
それにしても武の奴、全く気配を感じないな。
普通は微弱ながらに感じるのに……。
まぁ俺もまだ気配察知を感覚でやってるから、どういうものかわからないけど。
ちょっと目を離したらどこにいるかわからないな。
それに韓国っぽい道着に白い上着を羽織ってる。
上着にはマントなのか? 2枚の透明な布みたいなのが肩の下の肩甲骨からふくらはぎあたりまで垂れている。
横幅20cmくらいだけどマントとして機能するのか?
おそらく武は強い。
道着もそうだが、気配を感じさせないんだ。
かなり強い筈……たぶん。
「それで記憶がないってのはどういう事だ?」
武がシーフードパスタをくるくるっと巻き一口食べた後に聞いて来た。
ここは鉱山都市らしい。
それ故、パスタは保存が効くとか。
近くに海があるので魚介類も豊富らしい
「その前に聞きたいんだけど、15歳の時、俺…交通事故にあったか?」
「あーあったな。しばらく入院してたぞ」
「じゃあやっぱり一緒に住んでる人の言う事は本当だったのかな? このダークもしくはアークスの肉体に転移して来たらしい」
「なるほどそれで転生とか言ってたのか……あれ? ダーク? じゃあゲームと同じ世界? 異世界もいろいろあるから、そういう可能性もあるのかな?」
武がボソボソ何か言ってる。
何言ってるのか全部聞き取れなかった。
ただ何かわかった口ぶりだ。
「何かわかったのか?」
「うん? ここFFOのゲームと同じ世界って事だな」
「FFO?」
「フルダイブ型MMORPGのゲーム」
「フルダイブ型? 高過ぎだろ」
確か40万はする筈。
「2年後には安くなるよ。それに高校生になってるだろ?」
「あーバイトか」
「そうバイトでいくらでも稼げる」
「異世界にゲームの世界ってあるのか? 俺、夢の中なんでは?」
「異世界はいろいろあるからな。そういう世界があってもおかしくはない」
詳しいな。となると……。
「武はいろんな異世界行ったのか?」
「行かされたんだよ。元の世界に帰りたければ言う事聞けってさ」
武が天を仰ぐ。
「そうなのか」
「話を戻すと17歳の時に治がいなくなったって事件になってたぞ」
「ますます同居してる人の言葉が真実味を帯びて来たな」
「まぁ俺もその後、直ぐに異世界に転移したから、見つかったか不明だけどな」
「じゃあ武も異世界転移者なのか?」
最後の一口を食べて聞く。
武も食べ終わってた。
茶を注文してまったりしている。
「最初は……な。今は異世界漂流者だよ。あっちこっちの異世界に行けってコキ使われているんだよ」
憤慨を表すように言う。
誰にそんな事言われているんだ?
俺も茶を頼みまったりする。
まだ聞きたい事あるしな。
「じゃあ何でこの世界に?」
「まだヒミツ」
ちっ! 教えろよ。
「じゃあ何でここにいたんだ?」
「情報収集。この世界に来た時に近く放り出されたから、この町を拠点に情報を集めてる」
「そうなのか。それとさっきから気になってたんだけど、武は今何歳?」
「20くらいかな?」
「じゃあ3年もいろんな世界を渡り歩いてるのか」
「俺の時間に取ってはな。治に取っては、もっと長い時間この世界にいるかもしれないし、逆に大した年数いないかもしれない」
「どういう意味だ?」
「異世界によって時間の流れが違うんだよ」
なるほど……そういう事か……。
そうだ! 今思いついたけど力になってくれるかも?
「武って強い?」
「何だよやぶからぼうに」
武が目を丸くした。
「いや、道着っぽいのとか着てるし」
気配の話は出来なかった。
俺自身まだよくわかっていないからだ。
「まぁそれなりには? いろんな異世界を渡り歩くんだ。弱いと生きていけない」
「じゃあ手伝いってくれない?」
「何を?」
タイムリープの話をすると長くなりそうだし面倒だな。
避けるように上手く話さないと。
「俺の記憶を失う前の仲間がとある遺跡の調査に向かったんだ」
「それで?」
「後からそこは危険だって情報を掴んでな。助けに……というか手伝いにって言った方が良いかな? 手伝いに行きたいんだ」
「それに俺も来いと?」
お! 話が速い。
「そう……お願いできないかな? 俺、記憶ないせいで戦い方もあまりわかってないんだ」
「それ俺にメリットある?」
そう来たか。
「情報収集してるって言ったな?」
「ああ」
「その遺跡に行った人なんだが、トレジャーハンター チーム名ロクリスの2人なんだ。トレジャーハンターならいろいろ知ってるのでは?」
「なるほど……乗った」
よし! 武ゲットだぜ。
って武もポ〇モンにしちまったぜ。
ともかく話がまとまったとこで武が休んでる銀月という宿に向かう。
俺もそこで宿を取る事にした……。




