O04 再びフィックス城へ
「これはどういう事だ?」
何故またベッドで寝てる?
「ま、まさかタイムリープしてる?」
となると……あ! アーク、目覚めたんだねーとか言ってエーコが部屋に入って来る筈。
「あ! アーク、目覚めたんだねー」
やっぱり。
エーコが部屋に入って来て思った通りの事を言った。
何でタイムリープなんてしてる?
「どうしたのー? 黙っちゃって」
「いや考え事をしていてな」
「依頼の事ー?」
依頼? ああ、俺が記憶を失ったという爆発が起きた依頼か。
それも考えないとな。
とりあえずは本当にタイムリープしてるか確かめないと。
「どうしたのー? また黙り込んでさー」
「ちょっと今、頭の中を整理してるから待ってね」
「わかったー」
とりあえずナターシャさんが来る筈。
もしタイムリープしてるならそろそろかな?
「あ、アーク起きたのね。良かった」
やっぱり部屋に入って来た。
とりあえず本当にタイムリープしてるかナターシャさんで試すか?
「どうしたのアーク? 黙り込んでさぁ」
「実は記憶がなくてさ」
その後、前回と前々回と同じ質問をされる。
「えーっと貴方の名前はオサムであってる?」
「じゃあオサム。貴方の最後の記憶は?」
「車? 馬車のようなもの?」
「その時、オサムは何歳?」
全く同じだ。
これでナターシャさんが明日家を出たら確定だな。
「それじゃあ4日も目を覚まさなかったんだ。今日はもうゆっくり休みなぁ」
ナターシャさんにそう言われ、部屋に一人で残る。
さて仮にタイムリープしてるとして発動条件は?
時間?
1度目は2週間、2度目は、8日……時間ではなさそうだ。
じゃあ誰かが死ぬ?
1度目はエーコ、2度目はエリスって人。
頭に<エ>がつく人が死ぬとタイムリープは?
いやいや、そんなくだらない事ではないだろ?
おそらく前に共に戦った仲間が死ぬとタイムリープする。
よし! とりあえずこれと仮定しておこう。
そして、次の日ナターシャさんは出て行った。
これは確定だな。
「今日買い出し行くだけどー。アークも一緒に来るー?」
同じよう買い出しに誘われた。
「行くけど、その前にエーコと話がしたい。ここ座ってくれる?」
椅子を指差す。
「なーに?」
エーコが椅子に座る。
俺はテーブルを挟んで反対側に座っていた。
ここまでは前の周回と同じだな。
「実は俺、タイムリープしてるようなんだ」
「たいむりいぷ? 何それー?」
「同じ時間を繰り返してる事」
「どういう事ー?」
どう説明しようかな。
「数日過ごした後、再びこのベッドで昨日に目覚める。つまり同じ時間を繰り返す事」
キングサイズのベッドを指差しながら言った。
「何言ってるのー?」
うわ! めっちゃ胡散臭いって目してるな。
「とりあえず、しばらく騙されたと思って俺に付き合ってくれ。未来がわかるから」
「は~意味わかんないけど、わかったよー」
エーコってほんと溜息多いよな。
「じゃあまずは港町ニールの武器屋行って、それからフィックス城に行くぞ」
「何で武器屋?」
「記憶がないから小刀まともに扱えないからオーソドックスな剣にする」
「なるほどねー」
そう言えば途中から剣をまともに扱えていたな。
最初は振ってるというより振られているって感じだけど。
余程身体能力が良いのか、剣も扱った事のある体なのか。
あ、そう言えば……。
「この体って投擲得意なの?」
無我夢中だったけど投擲が良い感じに決まった。
それに気配を敏感に感じ取れていたな。
「得意だよー」
「投擲用の武器ってこの家にある?」
「それならここ」
エーコは立ち上がりタンスを開ける。
そこにはナイフや短剣やら小太刀やらいろいろあった。
「よし! 何かあった時の為にこれも持って行くか」
「それで何でフィックス城に行くのー?」
「戦争が起きる。エーコにはそれに介入して圧勝して貰いたい」
「ほんとにー?」
うわ! 凄い疑いの眼差し。
「嘘なら嘘でも良いじゃん。戦争起きなくて良かったねーってなってさ」
「まぁそれもそうだねー。それでアークは? アークは戦争に介入しないの?」
「俺はエリスって人を助ける」
「えっ!? エリスお姉ちゃん?」
「1週間後に死んだって知らせが届く。だから先回りして死なせないようにする」
「それもほんとー?」
また疑いの眼差しだな。
「嘘なら嘘で良いじゃん。エリス死ななくてよかったねーってなってさ」
「それもそうだねー」
「じゃあ行こうか」
そうして俺達は再びフィックス城を目指す。
まぁエーコからすれば再びでもないんだけど……。