R3 肩身が狭い
俺の名はロクーム=コード。
大陸一のトレジャーハンターを名乗っている。
相棒は嫁のエリス=コード。
誰もよりも輝いて見える金髪をストレートに流し背中まである長さ。
かなりの美人。
あ、別に美人で簡単に落ちたから嫁にしたんじゃないからな。
そこは断じて違う。
そのエリスと2人で組みトレジャーハンター ロクリスで名が通っている。
しかし、今はロクリス休業中。
5ヶ月前に子供が生まれて子育ての真っ最中。
それにエリスは子供を宿していたせいで体が鈍っているだろう。
あ、断じて子供が邪魔とか思ってないからな。
エリスに手を出せなかったのなんて、たった9ヶ月。
その程度で邪魔と思う筈がない。
ただちょーっと街中で女の子に誘われて、仕方なくベッドの相手をしたせいで肩身が狭くなってる。
だからって子供が悪いわけじゃないからな。
そこ大事。
子供の名はエメラルダ。
エリスから一字取り、最近流行りのキラキラネームにしてみた。
勿論女児だ。
「おぎゃーおぎゃー」
おっとエリスが抱えていたエメラルダ泣き始めた。
「ミルクかなー……ちょっと持っていなさい」
俺に渡し、ミルクを作り始めるエリス。
それにしても当たりがきつい。
6ヶ月前に善意で町の女の子の相手をしただけだって言うのにまだ怒ってる。
「おぎゃーおぎゃーーーーーーーっ!!」
余計に泣き始めたぞ。
「子供にもわかるのだ。どうしようもないパパだって」
そこまで言うか?
たかがベッドの相手しただけで何故怒る?
「貸すのじゃ。ロクーム君では、どうしようもないのじゃ」
そしてもう一人の家族。
エリスの祖父で、俺の義祖父にあたる。
名をライデン=シャール
このじーさんまで俺への当たりがきつい。
俺は大人しく渡した。
「よーしよーし……どうしようもないのパパじゃな」
「ニヤニヤ」
ライデンじーさんに渡した途端ご機嫌が良くなりやがって。
「は~……じゃあ出掛けて来る」
肩身が狭く溜息が出てしまう。
さっさと家を出よう。
「どこ行くの?」
エリスが睨んで来た。
「どこって仕事だよ」
ロクリスは休業中なので、町で荷運びの仕事をしている。
「そう言いながら、他の女と遊んで来るんでしょう?」
「そうじゃな。ロクーム君の事だから、遊んで来るじゃろうな」
2人して俺を何だと思っているんだ。
「かい……しょな、しー」
エメラルダまでもかよ。
コンコン……!
そこで玄関からノックが聞こえて来た。
「はーい」
近くにいた俺が出る。
「フィックス城より参りました」
エドのとこの兵士か。
何の用だ?
「エドになんかあったのか?」
「いえ……手紙を持って行くように言われまして」
そう言って手紙を渡して来た。
「では、私はこれで」
そう言って兵は帰って行った。
手紙か……何が書いてあるんだろう。
封を開け読もうとした瞬間、エリスに取り上げられる。
もうミルクを作ったらしくライデンじーさんがエメラルダにミルクを上げていた。
「おい……取り上げる事ないだろ?」
「うるさい! 浮気魔は黙っていなさい」
ちょっとなんか言うとこれだ。
「ふんふん……ロクーム出掛けるよ」
そう言って手紙を俺に投げて、準備を始める。
で、手紙の内容は……。
[とある者にある屋敷の調査を依頼したとこ、屋敷ごと爆破された。
屋敷の事を調べられなかったが、瓦礫の下に地下に行く道があり、迷宮になっていた。
そこの調査の依頼をロクリスにしたい。
尚、そこへの船は地図の場所にて]
読み終わるとエリスの準備が終わったようだ。
って何で準備してるんだよ?
「おい…行くのか?」
「当たり前でしょう? ロクリスに依頼だ」
「まだ体なまってるだろ?」
「ちょうど良いリハビリだ」
「ベッドでもあんなに動きが鈍いのに?」
パッコっ!!
顔面を殴られた。
俺、変な事言ったかな?
「子供の前で変な事言わないで!」
理解出来ないだろ?
「ともかくダメだ。爆破されたとこだろ? 危険だ」
「あんたの意見なんて聞いてない! さっさと準備しなさい」
ほんと最近全然言う事聞かないし、カリカリしてる。
結婚前とか出産前はあるらしいが、エリスは出産後という遅い時期にそれが来たようだ。
まったく仕方無いな。
俺も準備し、エドが依頼して来た迷宮に向かった……。




