Ed8 エリス バッドエンド
『シールド、エレキー、エレキー、ハイ・ブリザード、エレキー……』
下がり、大広間に行くと味方の兵は倒れており、エーコだけで奮戦していた。
それもアークを庇うように左手で防御魔法を展開し、右手で魔法を連発。
パリーンっ!
それでもやがて防御魔法が破られる。
「あっ!」
エーコが慌てる。
敵兵もそのエーコを狙う。
「エーコは殺らせないっ!!」
その瞬間、アークが動き出す。
それも今日一番の速さ。
私でも目で追えない。
気付くと腰に携わえられていた小刀でエーコを狙ってた兵を一瞬で数人倒していた。
「おぇぇぇぇ……」
そして吐き出す。
おいおい大丈夫か?
「アーク無理しないでー」
「で、も……ハァハァ……エーコは絶対殺らせないっ!!」
そう言って倒れていた我が軍の兵の剣を拾う。
だから何で剣?
そのまま小刀使わんのか?
「ぅわああああああ」
叫びながら剣を振り回す。
ド素人の振り方だが、アーク自身が速くて捉えきれず、次々に斬られていく。
「ぅおえええええ……」
そして時折、吐き出す。
いや無理するんなよ。
顔も真っ青だし。
「『ハイ・ブリザード』……アークってば、無理し過ぎー」
エーコも魔法で応戦し始める。
「ハァハァ……もうエーコが死ぬのなんてごめんだ」
死ぬ? 生きてるぞ?
「また夢の話ー? 私は生きてるよー……『エレキー』」
「それでもだ……おぇぇぇぇ……ハァハァ……手の中で冷たくなって行くあの生々しい感覚を味わうのは、もう嫌だ」
そう言って剣を振り回す。
うん? 徐々に剣の振り方が良くなっているぞ。
流石はアークの身体能力……コツを掴んだってとこだ。
やがて小刀二振りをこちらに投げて来た。
それは私を通り過ぎて後ろにいた敵兵2人に突き刺さる。
「ぐは!」
「のああ!」
アークが何やらエーコに耳打ちする。
「大将がボーっとするなってー」
エーコが代弁した。
ついアークに目が行って注意力散漫になってな。
「すまない」
そう言って私も戦いに戻った。
アークが戦えるようになり、エーコもアークのカバーをあまりしなくなったお陰で有利に進み勝利出来た。
しかし城はボロボロだ。
アルフォンス城にも被害請求をしないとな。
戦争は後処理が毎回大変だ。
それをやろうとする奴の気がしれないな。
レディを口説いてた方が1000倍有意義だろうに……。
「2人とも助かった」
王座に座り、エーコとアークに頭を下げる。
「良いよー」
「それでだが……本日アークに頼んだ依頼の件を話す予定だったが……すまない。後処理に時間がかかる。あと数日待ってくれないか?」
アークがエーコに耳打ちする。
「良いってー」
「それに記憶がないせいで、今日が初めて人を殺したのではないのか?」
「うん、そうみたいー」
「顔色が悪いぞ。数日ゆっくり休むと良い」
またアークがエーコに耳打ちした。
あれ気になるなー。
戦闘中でもやってたしな。
「ありがとー……そうさせて貰うってー」
それから5日立って、時間が出来たので2人を呼び出した。
どうやらアークの顔色が良くなったみたいだ。
「アーク、顔色が良くなったな。体調は平気か?」
「2日くらい食事が喉通らなったけどー、それ以降食べれるようになって、今は平気だよー」
やはりアークは直接喋らないのだな。
「では、前にした依頼の話をしよう。まだまだやる事があるのだがな……今日は何とか時間が作れた」
また耳打ちしてる。
「ありがとーって言ってるー」
「いい加減自分の口で言って欲しいものだな。記憶を失ってるとは言え、仲間なのだからな。さてどっから話して良いものやら……ん?」
お客が来たようだ。
来たのはエーコと同じく精霊大戦で共に戦ったロクームだな。
少し茶色っぱさがある黒髪で耳が隠れるくらいの長さで、バンナナが良く似合う男。
身体付きはスラっとしていて動きやすそうなバランスの取れたもので、素早さに長けている。
そのロクームだが頼んでいた遺跡の調査が終わったのか?
だが意気消沈してる。
どうしたのだ?
「ロクームか……調査は終わったのか?」
「すまない……無理だった」
「そうか……無理にとは言わぬ。アークも今苦労いてるしな。ところで……エリスはどうした?」
エリスの姿がない。
「エリスは……死んだ」
「何だってっ!?」
「ウソー……え、リスお姉ちゃんが……」
まさかエリスが……。
エーコも泣き出してしまう。
「俺がミスってな……」
自嘲気味に言う。
「ならば私の責任でもある……今からロクームの家に行こう。事情説明もしないとな」
「……わかった」
「すまない……アーク、思わぬ予定が入った。また日を改めてだ」
エーコが泣いていて代弁どころじゃないようで、アークがただコクリと頷いた。
最後まで喋ってくれなかったな。
「ではロクーム行くぞ」
「……ああ」
・・・・・・・・・
~アーク~
エドワード国王達が行ってしまった。
さてエーコが泣いている。
どうしたものか……。
エリスという者をお姉ちゃんと呼んでいた。
親しかったのだろう……。
「ごめんねー……直ぐ泣き止むからー」
こちらが困っていたのを察したのだろう。
「どうしよっかー。ナターシャお姉ちゃんも帰って来てるかもしれないし、一旦帰るー?」
泣き止んでそう言って来た。
1週間も経ってるしな帰って来てるかもな。
夢の通りなら少なくても2週間経っても帰って来ないけど。
「エリスって人は誰? エーコの大切な人?」
「仲間ー。エドおじちゃんと、さっきいたロクームおじちゃんは、前に一緒に戦った仲間だったのー。今はロクームおじちゃんとトレジャーハンターのチームを組んでるのー。チーム名はロクリス」
「安直な……もしかして俺も仲間だった?」
「その体の本来の持ち主はねー。4年前まで起きてた大戦が終わった後、アークがその体を使うようになったのー」
なるほど、エドワード国王、エーコ、ロクームって人、エリスって人、そして、この肉体の持ち主であるアークス=アローラが4年前まで起きてた大戦で共に戦った仲間なのね。
そんな事を考えていたら視界が暗転。
「あれ?」
気付いたら家のベッドで寝ていた……。




