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Ed5 レディを口説くのが礼儀さ

 私の名はエドワード=フィックス

 フィックス領で王をしている。


 本日はユグドラシル大陸にあるイクタベーレという国の王妃であらせるプリセン=ディーネ=イクタベーレと、その護衛のサラ=マンデーラが来られる事になっている。

 我がユピテル大陸はユグドラシル大陸と国交を結んでいる。

 4年前まで続いた精霊大戦で資源は失われ精霊が消えてしまった。

 たった4年では資源が増えるわけでもないし、精霊が完全復活するわけでもない。

 こんな現状なので渡りに船というわけだ。


 直接国交を結んだのはユグドラシル大陸を統べるロッカ女王なのだが、転移魔法が唯一使えるディーネ王妃が来られる。

 ロッカ女王も、たまに来られるが、大陸を統べるだけあり、忙しいのか毎回とはいかない。

 ディーネ王妃は水色の髪をしており背中まである。

 サラは緋色でお尻のあたりまである長い髪だ。

 2人とも見目麗しい



「あ、来られたようだ」


 五芒星の魔法陣が現れる。

 時空魔法に分類される転移魔法で、我が大陸にはない珍しい魔法だ。

 その魔法陣からディーネ王妃、サラ、そして今回我が大陸に渡される大量の物資が現れた。


「これはようこそおいでくださいました。相変わらずお美しいですね。ディーネ王妃よ」


 レディを口説くのは、礼儀だし開口一番そう言った。


「ふふふ……いつもながらお上手ですね」


 ディーネ王妃が微笑む。

 ディーネ王妃はこうやって微笑んでくだされるのだが、何故かロッカ女王は汚らわしい者を見るような目をされてしまう。


「良ければお茶でも如何ですか? 貴女のような誰もが羨む見目麗しい方とお茶を楽しみたいですね」

「申し訳ございません。残念ですが、本日は予定が詰まっておりまして……」

「いえいえ……忙しいのは良い事です」

「そう言って頂けると嬉しいですわ。では本日の目録です…ご確認を」


 そう言って目録の用紙を渡される。


「サラはどうかね? 君のような美しい方となら毎日お茶をしたいくらいだね」


 サラは元々平民の出らしく、畏まった言い方を嫌っているので、気安く声を掛けた。


「エドよ…お主は女を口説かずにはいられない呪いでもあるのか?」


 サラも大分砕けて来た。

 私にも気安く話して良いと言ってあったのだが、最初の頃は王ってだけで畏まっていた。


「レディを口説くのが礼儀さ」

「そうか……残念だが私はディーネの護衛故に出来ぬな」

「それは残念……ではディーネ王妃、これがこちらの目録です」


 そう言って我が大陸が提供する物が書かれた目録の用紙を渡す。


「拝見します」

「それと実物そちらに置いております」


 実物を示す。

 大半が我が国で作られた機械だ。

 我が大陸では4年前までの大戦で精霊が一時的に消え、機械技術が進んだ。

 我が国は、機械技術の最先端を行く。

 尚、精霊が自然を増やし、資源を増やしている。


 私も目録を確認する。

 頼んでおいた資源が確りあるようだ。

 鉱石とか4年前まで続いた大戦で失われたので助かる。

 それと魔道具という珍しい物が大半だ。

 そんな確認をしているとお客が来られた。



「エドおじちゃんこんにちわー」


 エーコだ。


「エーコか……君は日々美しくなって行くな」


 エーコは、4年前に終結した精霊大戦でともに戦った仲間である。


「ありがとー」


 そしてもう一人、ともに戦ったダーク……今はアークと名乗っている者もエーコの後ろから現れた……。


「久しいなアーク」


 サラがアークに気安く声を掛けた。

 そう言えばこの2人は面識があったのだったな。

 しかし、アークはちょっと困った顔をし、何かを言おうと口を開けたり閉めたり繰り返して何も言わない。

 ん? どうかしたのか?

 そうこうしてるうちにエーコがサラの前に出て口を開く。


「申し訳ございません。どこの方か知りませんが、今のアークは記憶喪失なので貴女の事を覚えていないと思われます」


 エーコがそう言った。

 何だって?

 記憶がないのか。


「そうか……ならば早くを記憶が戻ると良いな」

「ありがとうございます」

「目録確認しました。本日もありがとうございました」


 2人の会話が終わるのを見計らってディーネ王妃が私に声を掛けて来た。


「こちらこそありがとうございます」

「それでは失礼します……『ソウテン』」


 ディーネ王妃がサラを伴い、今回ユグドラシル大陸に用意した物資を持って転移魔法(ソウテン)でお帰りになられた。


「さて、記憶喪失というのは本当か?」


 私は王座に座りエーコの言葉を待つ。


「うん」

「そうか……」


 なんて言って良いものか……。

 次の言葉を悩んでるとアークが何やらエーコに耳打ちした。


「アークは例の爆発のショックで記憶がなくなったんだけどー」


 ああ、あれか。

 私が依頼して、とある屋敷に忍び込んだんだよな。

 報告は受けている。


「それで一緒にその屋敷に行ったのは良いけど、依頼内容は詳しく聞いてないんだよねー」


 エーコが続ける。


「それで?」

「詳しく依頼内容聞きたいんだってー」

「そうか……ところで何でアークが直接言わないのだ?」


 さっきから耳打ちしてるのが気になる。


「エドおじちゃんが王様だから気が引けてるみたいー」

「気安く接してくれても良いんだけどな」

「記憶がないから、しょがないよー」


 それもそうか。

 少し寂しく思うが。


「それで依頼の件だったな……詳しく話したいが、今回ユグドラシル大陸からもたらされた物資を確認したいから明日でも良いか? 少し長くなるかもしれないからじっくり話したい」


 またアークがエーコに耳打ちしてる。


「良いってー」

「では客間を用意しよう。部屋は別々のが良いか?」

「今のアークはちょっと心配だから同じ部屋でー」

「わかった。では2人を客間に案内してくれ」

「はっ!」


 私は衛兵に案内を頼んだ。

 2人は衛兵に着いて行く。

 さて、では物資の確認をするとしよう。

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