O03 デジャヴ
「あ! アーク、目覚めたんだねー」
エーコが部屋に入って来た。
えっ!? 生きてる。
無事だったのか?
俺は思わず抱き着いた。
「ちょっとー。何でいきなり抱き着くのよー」
抗議の声なんて無視。
強く強く抱きしめた。
「アーク?」
もう1人誰か部屋に入って来たけど無視。
「アーク……泣いてるのー? 震えているけど、どうしたのー?」
ああ、俺泣いてるのか。
「エーコ無事か?」
「無事じゃなかったのはアークの方だよー」
そうなのか?
というか何でアーク呼び?
オサム呼びしてくれていなかったかな?
「本当に無事なんだな?」
俺はエーコの体をベタベタ触る。
「無事だし、何でベタベタ触るのー?」
「アークどうしたの?」
後から入って来た人の声もするが無視。
ベタベタ触り、つい出来心で胸も触ってしまう。
思ったより硬いな。
まだ発育途中なのか小さい。
「もーどこ触ってるのよー」
エーコに突き飛ばされる。
「触りたいなら、あたいの触りなぁ」
そう言ってもう後から部屋に入って来た人が、俺の手を取り、胸の方へ引き寄せる。
おー柔らけー。
しかも大きな。
「そういうのは私のいないとこでしてよねー」
エーコが顔を真っ赤にして抗議の声が上げる。
そこで俺は、胸を触らせてくれた人の顔を見た。
「えっ!? ナターシャさん何でいるの?」
「矯正」
ペッシーンっ!
ひっぱ叩かれた。
「痛い」
叩かれた頬を撫でる。
「いたら悪いってのかい? それにさんって何だい?」
かなりご立腹だな。
そこで俺は冷静になった。
エーコは無事。
ナターシャさんがいる。
あーそうか……今まで悪い夢を見ていたのか。
「悪い……変な夢を見ていたようです」
「そうなのかい?」
「それと俺は記憶がありません」
「「えっ!?」」
そりゃ2人とも驚くよね。
「えーっと貴方の名前はオサムであってる?」
「じゃあオサム。貴方の最後の記憶は?」
「車? 馬車のようなもの?」
「その時、オサムは何歳?」
その後、ナターシャさんにデジャヴを感じさせる質問をされた。
そして次の日、ナターシャさんは家を出た。
夢と同じだ。
これって同じ行動したらまずいって事だよな?
たぶん正夢だ。
「今日買い出し行くだけどー。アークも一緒に来るー?」
同じように次の日、買い出しに誘われた。
アーク呼びは違和感があるがそのままにしてる。
俺の今の肉体の身体能力はかなり高い。
オサムの頃より比べ物にならない程。
だからアークとして、もっとこの体に馴染まないと。
その為には、まずは名前からと思った。
「行くけど、その前にエーコと話がした。ここ座ってくれる?」
椅子を指差す。
「なーに?」
エーコが椅子に座る。
俺はテーブルを挟んで反対側に座っていた。
「俺は何で記憶を失くしている?」
「……頭へ負担がかかるからゆっくりが良いよー」
「俺はエーコが死ぬ夢を見た。現実にしたくないから、教えてくれ」
「は~…私は簡単には死なないよー」
エーコが溜息を付く。
「エーコが凄い魔法使いだからか?」
「魔法使い? こっちでは魔導士って言ってるよー。でも記憶がないのに良く知ってるねー」
「だから夢で見た。夢とは思えない……まるで現実のような夢だった。エーコが俺の手の中冷たくなるのを感じたんだ」
「わかったよー。アークはね、エドおじちゃんの依頼で、ある屋敷に忍び込んだのー。そこで大爆発巻き込まれたんだよー」
「良く生きてたな」
「直ぐに私がギガ・リカ……回復魔法をかけたからねー」
俺にわかるように言い直してくれたのかな?
エーコが近くにいたのか。
「それで体は治ったけど記憶は飛んでたと?」
「たぶんねー」
「何で忍び込んだんだ?」
「詳しくは知らなーい」
「何で?」
「直接依頼を受けたのはアークだからねー」
なるほど。
じゃあそのエドおじちゃんとやらに聞くのが良いのか?
「エドおじちゃんというのは?」
「フィックス領の王様だよー」
マジかよ。
「王様なら簡単に会えないか……」
「城まで行けば、簡単に会えるよー」
「マジか……じゃあ直ぐ行こう。案内してくれる?」
「しょうがないなー」
「それと剣買ってくれないかな? お金ある?」
夢では蓄えがあるとは言っていたけど、今の俺はお金を稼げないから気が引けるな。
「お金は平気だけど、何でー?」
「今の俺は記憶がなくて小刀の扱いがわからん。だからオーソドックスな武器で自分の身を守る」
「そういう事ねー。わかったー」
こうして俺達はフィックス城を目指す事になった……。
地図は大体の目安です




