Ec3 異性として見られちゃったー
「アークおはようー」
アークに朝の挨拶をしたら一瞬キョトンとした。
「……ああ…俺の事か。おはようエーコ」
「やっぱアークって実感ないのー?」
「まぁ」
「じゃあしばらくオサムって呼べば良いー?」
「そうだな。そうしてくれると助かる」
「わかったー」
でもオサムって呼ぶと私の方が違和感があるんだよなー。
「今日買い出し行くだけどー。オサムも一緒に来るー?」
「そうだな。この世界の事を知りたいし行くよ」
「じゃあ準備したら外に来てー。あ、そこのタンスに服があるからー。武器はそこねー」
私はアークの服が入っているタンスと武器の置き場を教える。
「わかった」
私はもう身支度が出来ていたから、先に外に出た。
しばらくするとアークが外に出て来た。
「お待たせ」
「オサム、丸腰だよー?」
「エーコこそ」
「私は魔法専門だよー」
「魔法があるのか。異世界ぱねぇーな」
「ぱねぇー?」
「異世界凄いなって意味」
詳しく聞いていなかったけどアークが元々いた世界って魔法がないのかなー?
「それでオサムは良いの? 丸腰で」
「そんなに危険なの?」
「うーん。動物が良く襲ってくるかなー? それに野盗もたまに襲って来るよー」
「そうか……でも俺、武器なんて扱えないからな」
「えっ!?」
じゃあダークになったばっかしの時どうしたのかなー?
今のアークの中身は15歳で、異世界転移した時は17歳だから2年の間に武器を扱えるようになったのかなー?
「武器扱えないとダメなのか……じゃあ俺は留守番してる方が良いかな?」
「うーん……1人で家にいると、変な人が訪ねて来て、それはそれで大変かなー」
「じゃあどうしようっか?」
「じゃあ私が守るよー」
ナターシャお姉ちゃんにお願いされたしねー。
「こんな可愛い娘に守られるなんて……俺、情けないな」
「可愛いって言ってくれるのは嬉しいけどー……どうせなら綺麗とか美人のが良いかなー」
「うんうんエーコは綺麗だよ」
「………」
今のアークは、お世辞を言っちゃったよー。
前のアークはお世辞を言わなかったのに……。
「どうしたの?」
「いや何でもないよー。じゃ行こうかー」
そうして北にある港町ニールを目指す。
「そう言えばナターシャさんは?」
「用事があるみたいで、しばらく留守にするってー」
たぶん今のアークを見てられないんだろうなー。
本人には言えないけどー。
「そうなのか、あ! イノシシ」
イノシシが現れた。
襲い掛かって来ようとしてるなー。
まぁいつもの事だけどー。
「うわーこっちのイノシシはデカいなー」
人が4人は乗れるかなー。
アークは逃げ腰だ。
「エーコ、どうするの? 逃げなくて良いの?」
「へーき……『ハイ・ファイヤー』」
こんなの中級炎系魔法で1発かなー。
「エーコ凄いな。魔法凄いなー。おーーー1発で丸焼きだー」
アークが凄いはしゃいでるな。
なんか可愛い。
15歳のアークってこんな子供っぽいだなー。
そうして港町ニールに到着した。
アークが目をキラキラしながらあちらこちら見てる。
「オサム、そんなに珍しいー?」
「そうだね」
やはり2年の差は大きいのだろうか?
最初に転移して来た時、こんなに目をキラキラしていたなんて聞いた事ないな。
「欲しい物があったら買うよー」
「ちなみにウチってどうやって生計立ててるの?」
「ナターシャお姉ちゃんが作る薬を売るのとオサムが荒事の仕事を取ってくるねー」
ちなみに私は、大半がナターシャお姉ちゃんが薬製作の手伝いで、たまに私が作ったのを売るくらいかなー。
「……荒事」
アークの目が泳いでる。
それもそうだよねー。
「今のオサムじゃ無理だから気にしなくて良いよー。蓄えならあるからー」
「俺、甲斐性無し……」
アークがしょぼんとした。
「仕方無いよー。気にしないでー」
「エーコ格好良いな。惚れちまいそうだぜ」
それは不味いかなー。
結局オサムは何かを欲しがる事無く普通に買い出しをして帰路に付いた。
町から外れた場所に家を建ててるので3日1回買い出しを行っている。
オサムが心配だからこれからも買い出しは一緒に来て貰うとしよう。
今のオサムじゃあっけなく死にそうだなー。
今日も買い出しに行った。
あれから1週間が過ぎたけどナターシャお姉ちゃんが帰って来ない。
もしかして、もう帰る気がないー?
たまにそんな事が頭をよぎるが、頭に振り、そんな事無いと言い聞かせる。
「エーコって料理上手いよね」
アークがそんな事を言って来た。
今はテーブルを挟んで2人で食事をしてる。
ナターシャお姉ちゃんに教わって作れるけど、ほとんどナターシャお姉ちゃんが作ってるんだよなー。
私は大抵手伝いだけ。
「そう? ありがとーオサム」
「料理出来て可愛いし、きっとモテモテなんだろうなー」
たまに感じる。
アークからねっとりした熱い視線。
「オサム、勘違いなら良いんだけどさー」
ここは、はっきり言った方が良いかもー。
取り返すがつかなくなる前に。
「何?」
「オサムが可愛いって言ってくれる時、前は小さい子供を見る目で言ってくれたんだよねー」
「うん」
「でも、今は異性を見る目で言ってないー?」
「ぅぐ」
ぅぐ?
アークが視線をそらした。
「は~」
溜息が出てしまう。
やっぱりかー。
「オサムには、はっきり言っておくね」
「ああ、ごめんもう彼氏がいるとかね。だよねー。あははは……」
取り繕うようにまく舌立てて言って来る。
はっきり言われるのが、怖いのかなー?
でも、不味いんだよねー。
はっきり言っておかないと。
「ちゃんと聞いてー」
少し強めで言ってバンっとテーブルを叩いた。
「はい」
アークがシュンとする。
少し悪い事したかなー?
「オサムのその体さ、ダークのものだったのは聞いたと思うけどー……本名はアークス=アローラって言うんだよねー」
「うん」
「だからアローラだよー」
「あ、エーコ=アローラ……」
気付いたみたいね。
「中身は違うけど肉体的には親子なんだよー」
「……そっか」
アークが落ち込んでしまった。
それっきり黙ってモクモクと食事を摂り始めた。
「でも、異性として見られるのは悪い気はしなかったよー」
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