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23 そして歴史は繰り返す

ブクマありがとうございます


「今日は良い天気ね。まさに洗濯日和だわ」


女は大きく伸びをした。大きく空気を肺に取り込み、それをまた大きく吐き出す。

強過ぎるのではないかと言わんばかりの日差しのを浴び、女の髪が美しく輝く。

奇麗な白身かかった金色で腰まである長い髪だ。背中の辺りで結んでいる。

右手には洗濯物が入ったカゴを持ち、エプロンを着ている。町中を歩けば振り向いてくれる人が何人かいそうな美しさだ。

ただ残念な事にツギハギだらけの服で、化粧もしていなくみずぼらしい。

薄くでも化粧し、それなりの服を着せればお嬢様の完成なだけに残念美女だ。

そんな彼女が海辺に来ていた。左手には洗濯板を持っている。此処で洗濯物を洗おうとしてるようだ。

洗濯機という便利な道具があるご時世に手洗いなど、ご苦労な事である。


ザザ~ンっ!


波の音共に潮の香がする。その匂いを満喫していた。


「ん?」


だが女は妙な違和感を感じた。彼女の嗅覚は人より少し良い。

潮の香に混ざった別の匂いを嗅ぎ取っていた。


「……生臭い」


その正体は浜辺で倒れる男のものだった。


「ちょっとあんた!確りして」


女が洗濯篭と洗濯板を放り出して駆け寄る。


「うわ!酷い怪我」


あからさまに嫌そうな顔をした。

生きてるのが不思議なくらい男は全身傷だらけなのだ。


「こんなとこで放置するのもなんだし持って帰るか……は~」


溜息一つ溢した。






「ふ~」


椅子に腰を掛け、女は一息付いた。

あれから六時間が男の治療していた。

そして包帯は切れたし、何よりも朝から何も口にしていないと女は思い、北にある港町ニールに向かった


当然ながら魔物に襲われる事がある。

しかし、女は何かのお香を漂わせると魔物は近寄って来ない。

魔物除けのお香……彼女は薬師でそう言った物を作れる。

女は必要な物を全て買い揃え、家に帰った。

日が沈み辺りは静寂の闇が支配している。

時々聞こえてくるのは、魔物の遠吠え。

男はベッドから一切動いていない。

女は男を寝かせているベッドの血で染まったシーツを替え、包帯を替え、カーテンを取り付けると流石に限界を迎えたのか、倒れるように寝てしまった。





それから半年過ぎて女の献身的な治療のお陰もあり男が目を覚ました。


「・・・・・ん・・・・・ぅ…ぅん」

「やっと目を覚ましたね」

「ここは?・・・・・俺は一体……?」

「ここはあたいの家。あんたは近くの海岸に倒れてたのよ」

「・・・・・そうか」


男は虚空を眺める。

まるで、死にそびれたと言わんばかりに。


「半年も寝ていたのよ。もう起きないかと思った」

「そんなに寝てたのか」

「ところであんた名前は?あたいはナターシャ」

「俺に名などない」

「はっ!?」


女が……いやナターシャと名乗った者が間の抜けた声を出した。


「名など捨てた」


男が言い直す。


「それだと何かと困るねぇ。じゃあ、あたいが名前を付けて良い?」

「……ああ」

「じゃあ海辺に倒れていたから・・・・・海辺、水、砂浜・・・・・う~んアクアスナハマ…アクアアクースナハ・・・・・()()()()!」


ナターシャが閃く。


「そうだ!アークスなんてどう?」

「フッ……昔そんな名で呼ばれた事もあったな」





その後、奇妙な同棲生活が始まる。

やがて季節は進み、アークスと名付けられた男が目覚めてから半年が過ぎた。


「もう四月かぁ。あんたが来てから一年になるね。まぁ目を覚ましたのは半年前だけどね」

「ああ……」


アークスがぶっきらぼうに答える。

いつもの事だ。

ただその後、アークスは虚空を眺めて出した。


「早いね」

「……」


アークスは何かを考え込み始めた。


「どうしたの?」

「いや…なんでもない」


とは答えたもののアークスはナターシャを見なかった。

その瞳はどこか遠くを見てるように……。

直ぐ側にいるのに、ナターシャはアークスを遠くに感じていた。




そして別れが訪れた……。

深夜、アークスはナターシャが寝てるのを確認すると家を出て行く。

そして、町に向かって歩きだした直後……。


「アークス!アークス行かないでー!!」


ドンっ!


とナターシャはアークスに抱きついた。


「……どうした?」

「アークス、もう帰らないつもりでしょう?」






◆◇◆◇◆◇◆


なん……だと?

ダークがいる。

生きていたのか。

あれはたぶん本物だな。

ああナターシャちゃんはきっと本物に惚れたな。

あ、ナターシャちゃんが崩れ落ちた。

会話は聞こえないが、良く覚えている。



「ん?何故だ?……俺は寝付けなくて外を……」

「ウソ!あんたの眼は遠くを見てる」

「気付いていたか」

「お願い行かないで」

「……俺はやはり君とは暮らせない」

「あたいは…あんたが……スキ…な、の」

「……ダークという名を知っているか?」

「金さえ貰えば何でもやる、殺しさえ平気でやる男の名……それがな…はっ!ま、まさか……」

「そうだ…俺は昔、ダークと呼ばれていた…」

「……ウソ」


って感じの会話でナターシャが崩れ落ちるんだよな。

俺これからどうしよう。

ナターシャと一から関係を築くのも良いと思いここに足を運んだけど……。

正直ヘコんだ。

本物が生きてると思わなかったしな。

目的を失ってしまったな。

本当にこれからどうしよう……。

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