19 ダークvsダームエル
時空間の中で対峙する。
俺はダークの過去に決着をつける為にいる。
この青白い空間では時節何か映像が流れている。
おそらく過去に起きた出来事だろう。
「ダームエル今まで何をしていたんだ?」
「ラフラカのクソ野郎に拾われ生体実験さんざんさせられたんだ」
「そうか……俺のせいだな。すまん」
「何でお前さんが謝るんだ?」
「俺がお前を見殺ししたから、殺せなかったから」
「そうか……あの時の事を言ってるのか」
しばらく逡巡している。
「まああれは、酷な事を頼んだ俺が悪かったんだ」
「後から行ったら死体がなくなってたから、てっきり魔物にでも食われたのかと思ってた」
「くくく……そうか。まあ俺はラフラカに拾われ魔導の生体実験をさせられたが、お陰であのクソったれの精霊の力を奪う研究を知る事ができたぜ」
「それで復讐か」
「ああ……これで復讐を果たせた。俺を半殺しにしたあげくに生体実験をした復讐をな」
「そうか」
俺は名刀ムツノヨシを抜いて構える。
「おいアークス、何のマネだ?」
「あの時果たせなかった事を果たそう。お前を殺すというな」
「何を言ってる?もうそれは良いよ。酷な事を頼んだ俺が悪かったんだ」
「ならお前は、その精霊王の力をどうするつもりだ?」
「せっかくこんな強大な力を手に入れたんだ。俺の夢が叶える」
子供を不幸にしないか。
「無理だ」
「何がだ?」
「たぶんお前はそれを制御できない」
「何故わかる?」
「俺は1年後から来た」
「何をバカな事を」
「お前にはここがどこかわからないのか?」
「……時空間」
「暴走させても自分のおかれた状況はわかってるのだな」
「ああ、俺の中の精霊が教えてくれる」
「ならわかるだろ?制御できないって。ならお前はどうする?」
「………」
「動物で実験をする。お前がクソったれと言ったラフラカと同じようにな」
「……どうやら本当に1年後とやらから来たようだな。だが制御すれば子供達を救えるのだぞ」
「お前はルティナを覚えているか?」
「精霊とのハーフだろ?」
「あいつは精霊の力を失った」
「それで?」
「それと同時に剣も握れなくなった。そのせいで、あいつのとこにガキが魔物の被害に合うとこだったのだぞ」
「その言い方だと無事だったんだろ?」
「ああ、だがそう言った被害があっちこっちで起きてる」
「それでも俺は止まれない。いつか夢を叶える為にこの力を制御する」
「……お前は生体実験とやらをされたせいで狂ってしまったのだな」
「かもな」
「だから今度こそあの時言われた事を果たす」
もう問答は終わった。
決着を付けよう。
俺はダームエルの後ろに周り名刀ムツノヨシを振るった。
ギーンっ!!
何っ!?
見えない障壁で防がれた。
「いきなり後ろからよ。相変わらずだな……『ハイ・ファイヤー』」
振り返り炎中級魔法を唱えられる。
両腕をクロスしてガードする。
クソ!
あちぃじゃねぇか。
妖刀ホロザクラも抜き二刀流で斬りかかる。
ギーンっ!!
クソ!
何だ?あの障壁は?
そう言えばラフラカにもあったな。
皆でどうにかしたんだっけ?
強力な魔法や闘気技だったか。
「無理だよ。今の俺は、暴走でほとんど力を使ったとは言え、精霊王の力があるんだからな」
「それでもお前を止める」
名刀ムツノヨシと妖刀ホロザクラを同じ場所を狙い同時に振るう。
ピキっ!!
障壁にヒビが入る。
暴走で力を使った後だ。
やはり、ラフラカよりもろい。
「やるな……『ハイ・ファイヤー』」
それを躱す為に下がる。
こうなれば……。
名刀ムツノヨシを逆手に構える。
「スラッシュ・ファングか」
ダームエルが身構える。
そりゃバレてるか。
相棒だったのだし。
「スラッシュ・ファングっ!!」
だが出ない。
クソ!
やはり俺では出せない。
「何だ?不発?どういう事だ?」
間合いを詰める。
再び直接小太刀を振るう。
「おっと何度も攻撃されてたまるか」
ダームエルが後ろに下がる。
手詰まりか……。
「お前さん本当にアークスか?」
「何故そんな事を聞く?」
「スラッシュファングが不発だったし、それがダメならって短絡的に突っ込んでくるし、昔のお前さんなら考えられない」
ちっ!
そうだな。
今の俺は焦ってるな。
1人じゃたぶん勝てないと思ってしまった。
「まあ良い。お前さんがやるってなら俺もお前さんを殺す『ギガ・ファイヤー』」
炎上級魔法の火の鳥が飛んできた。
「ぐぁぁぁっ!」
俺は伏してしまう。
全身がいてぇ。
ダークになったばっかしの頃を思い出すな。
俺は結局ダークの身体能力に頼ってばかりで、こんなギリギリの戦いをしてこなかった。
だから、こんな体中痛いと戦えない……。
もう無理だ。
体中痛くて動けない。
何故俺には闘気技が使えない?
ダークの設定は小太刀を好んで使う。
だから小太刀の妖刀と名刀を手に入れて使ったのに、何でダメなんだ?
異世界転移までして、俺はここで死ぬのか?
「やっぱりお前さんアークスに思えないな。あの時、ウエストックスで瀕死なりながらも俺を庇いながら戦っただろ?なのにたった一発ギガ・ファイヤーを受けただけで、その体たらく」
確かにそうだな。
情けない。
「まあ良いさ。殺すとか言ったが相棒だったお前さんを殺したくない。また組まないか?」
だった?
「だった、だと?俺はお前が今でも相棒だと思うったから止めに来たのに……そうか。とことん俺の知ってるダームエルじゃないのだな」
「それはお互い様だろ。それに、そんな事言うなら立ち上がれよ。今のお前を見てると情けなくて仕方ねぇ。俺の相棒はこんな情けない男だったのか?」
ああその通りだな。
俺はもっとタチが悪い。
簒奪者なんだから。
しかも本当に情けない
そう思ってた時、青白い空間で流れていた映像が俺の知ってる場面になっている。
俺がナターシャちゃんに拾われ、治療されているとこか。
今もこの映像の俺のように無様なんだろうな。
いや今の俺のが無様か……。
「これはアークスの半生か。今流れているのは、どうやらお前さんが歩んで来た道だ……だが妙だな」
映像は流れるように次々に場面が変わる。
それを見てダームエルと訝しがる。
エドに初めて会った時だ。
報酬2/3よこせとか言ってたな。
ムサシと初めて会う。
国務大臣とかほんと似合わないな。
ガッシュと出会う。
匂いでダークだってバレたんだよな。
次はルティナか。
すれ違っただけでダークだってバレたんだよな。
ロクーム、エリス、ユキ、ラゴス、エーコちゃん、アル、サラ、そしてナターシャちゃんと再会した。
そう言えば1ヶ月もしてないのに楽しかったな。
ごめんな皆。
もう無理かも。
あ、約束を交わしてる画面だ。
何が約束だよ。
バカらしい。
「アークス?これは本当にアークスか?これは半生が流れている。なのにお前さんは、何故その姿のままなのだ?幼少時代は?」
「ハァハァ……俺はダークの体を奪った簒奪者だ。何故俺だったのか、何故ダークの体を奪う事になったか知らないけどな」
伏したまま答える。
「なんだと?クソったれ!貴様は、貴様はアークスのフリをしてたのかっ!?ふざけやがってっ!!」
あーキレちゃった。
『ギガ・ファイヤー』
炎上級魔法の火の鳥が飛んで来る。
あー俺はあの炎に焼かれ死ぬか……。




