エーコ=アローラ誕生
申し訳ございません
本編である戦慄のイクタベーレの兼ね合いで毎日更新していましたが、4月16日まで、ここで更新を止めます
ちなみにもうラストまで描き上げました
5月6日に完結予定
目を覚ます。
見知らぬ天井だ。
俺はいったい……?
「やっと起きたね」
俺の視界に女が入る。
「……ここは?」
「魔導士の村だよ」
あの小島のか。
地図で知ってたいたが来る理由もなかった。
それなのに何で俺はこんなとこに。
はっ!?
ダームエルっ!!
俺は起き上がろうとした。
「俺の他に……くぅーぎゃぁぁっ!」
体中が悲鳴を上げ、あまりの痛さに再び伏せる。
「まだ動くんじゃない。死んでもおかしくない状態だったのよ」
「……俺の他にもう一人いなかったか?」
「いいや。貴方だけだったよ」
「頼むもう一人を助けてくれ。たぶん俺がいた場所から北の海辺にいる筈だ」
「わかったわ。村の男衆に言ってくるよ」
女はそう言って出て行く。
「ワンワンっ!」
ん?子犬?
傍にいたらしく吠えると俺が寝てるベッドに跳んで来た。
「くぅ~ん」
じゃれるように俺の顔に頭を擦り付けた。
何だ?この子犬は?
しばらくすると女が戻って来た。
「伝えて来たよ。直ぐに探しに行くって」
「そうか……すまない」
「ずいぶん懐かれているね」
子犬を見て言う。
「人懐っこい犬だな」
「いいや。その犬は誰にも懐かなかったよ。それなのにやたら吠えて貴方が倒れているとこまで、案内したのよ」
「そう……なのか」
何故俺に懐くのか?
俺のような殺人鬼に。
「良かったら名前を付けてあげてくれない。誰にも懐かなかったから、名前なんて付けなかったのよ」
「……ハンター」
自然と漏れていた。
どこまでもくらいつき獲物に狩る。
って俺の事じゃねぇか。
「ワンワンっ!」
「気に入ったみたいね」
「俺は何日くらい寝ていた」
「4日だね」
クソっ!
俺は何をやってるのだ?
もう確実にダームエルは助からないだろうが……。
「そんなにもう一人が気になる?」
「ああ……だがもう無事ではあるまい」
俺は顔を伏せる。
「遅れたけど私はグランティーヌ。貴方は?」
「アークス。アークス=アローラ」
「そうアークス。もうしばらく寝ていなさい。もしもう一人が生きてるなら助けるし、亡くなっていたら墓くらい用意するわ。だから安心して」
「すまない」
そして俺は再び闇にを落ちた。
次に目を覚ましたのは2日後だ。
そして知る。
ダームエルの死体がなかった事を。
血だまりだけしか残っていなかったらしい。
魔物にでも食われたのかもしれない。
俺は塞ぎ込んだ。
ダームエルが……。
俺はその事実を受け止められなかった。
何でもっと上手く立ち回らなかった?
何でラフラカ帝国を完全に敵に回す事を反対しなかった?
何で敵にするなら反帝国組織に所属するように言わなかった?
終わらない思考の迷宮に陥る。
半身を失ったような気分だ。
6年連れ添った相棒だから?
勿論それもある。
それ以上に師であり親だ。
恥ずかしくて本人に言えなかったが、決して俺の親は、あのナニカではない。
ダームエルだ。
何も知らない俺を拾い、いろいろ教えてくれた。
俺はダームエルの言う事に間違いないと思っていた。
いや思い込んでいた。
俺にとって親同然なのだ。
決して間違わないと思ってしまった。
もっと考えるべきだったんだ。
相棒というなら俺も考えて意見をするべきだったんだ。
俺は馬鹿だ。
『リカバリー』……アークス調子はどう?」
「………」
グランティーヌは流石は魔導士の村の者というべきか、毎日回復魔法を俺にかけてくれる。
即、完治とは行かないが、痛みが徐々に消えて行く。
そしてあれからとずっと寄り添ってくれた。
一言二言は言うが、後は何も言わずただ寄り添っていてくれた。
そんな彼女に応えるべきなのだろうが俺には、そんな余裕はなかった。
「あれから3日よ。いつから食べていないのか知らないけど、少なくても9日何も食べていないのよ?死んでしまうわ」
「………」
知るか。
「死ぬのよ?せっかく助けたのに死んだら目覚め悪いわ」
「……ならお前が口移しで食わせてくれるのか?」
今日はいつもより話を続けて来たので、鬱陶しくて適当にあしらった。
「ぅん!?」
本当に口移しで口に物を入れて来た。
「……何をする?」
「貴方が言ったのよ?」
「馬鹿か」
睨み付けてやった。
「貴方が心も体も元気になるなら馬鹿で結構」
何故かイラっと来た。
何故かわからないが、かなり頭に来た。
思わず押し倒してしまう。
だというのにグランティーヌは怖がりもせず、ただ俺をじっと見据えて来た。
「……怖くないのか?」
「何故?」
何なんだ?こいつは。
まるで何もわかっていない無垢な子供のように。
ふざけやがって。
「襲おうとしてるのだぞ」
突き飛ばせ。
そして俺なんか放っておいてくれ。
それがお互いの為だ。
「貴方が心も体も元気になるなら安いものよ」
本当に何なのだ?こいつは。
俺はブチ切れて、八つ当たりするようにコトを行った、
だというのにこの女は痛がる様子はあっても嫌がる様子がない。
本当に何なのだ?こいつは。
「俺は5歳の頃に捨てられた……」
コトが終わるとベッドの縁に座り、自然と口が開いていた。
「……生きる為に盗みをした。人も殺した」
ポツリポツリ語っているとグランティーヌが俺を後ろから抱き締めて来た。
「5年かけて、やっと帰って来たら、親は俺の事を覚えていないし、捨てたと言い出すし、しまいには新しい子供がいた。俺は母親以外を殺して母親は瀕死にした……それを見ていたダームエルが、俺に声をかけてくれて、俺を拾ってくれて、何も知らない俺にいろいろ教えてくれた……なのに、お、れは……お、れは……」
グランティーヌが先程より強く抱きしめてくれた。
ああ、俺は今泣いてるのか。
親に捨てられたと初めて知った時も泣かなかったのに。
とめどなく溢れてくる。
両手で顔を覆ってしまう。
「俺はダームエルと組むようになり仕事をするようになった……」
涙が収まったので続けた。
「殺しも沢山やった。俺のこの手はとっくに血で汚れているんだ……だから君を抱く資格なんて本当はなかった。だから出て行くよ。世話になった」
「馬鹿ね。あんなボロボロで……斬り跡、突き後、はては魔法を受けた跡があったのよ?貴方が真っ当な事をやってるとは思えなかったわ」
後ろから甘い声が聞こえる。
「なら何故?」
「言ったでしょう?貴方の心も体も元気になるなら安いものよ、とね」
本当に何なのだ?こいつは。
バカバカしい。
「それより、そんなに喋れるようになったんだから、ちゃんとご飯食べなさい。それとも口移しが良い?」
「馬鹿か?」
「貴方のここ……」
「もう良いっ!」
同じ事を繰り返し言って来ようとしたので遮り、自分で食べ物を取り食べ始めた。
クソっ!
こんなにもメシが美味いって感じた事なんてなかった。
また涙が溢れてくる。
そしてグランティーヌは食べ終わるまで、ずっと俺を後ろから抱き締めてくれていた。
俺は動けるようになると、行く当ても何かをやる気力もないので村の為に働いた。
と言っても俺に出来るのは狩りくらいだ。
毎日動物を狩り、村に渡す。
それが習慣になっていた。
「いつ出て行くのじゃ?よそ者が」
この村のラゴスのじーさんが俺と顔を合わす度に嫌味を言って来ていた。
しかし出て行っても何かをする気力も俺にはない。
グランティーヌとは、なるべく距離を取った。
罪悪感でいっぱいだったからだ。
だけど気付くとお互いに惹かれていた。
そして1年後、子供が生まれた。
「貴方、名前は決めているの?」
「考えてはいる。ティー」
グランティーヌでは長いので、俺はティーと呼ぶ事にしていた。
「何?」
「笑うなよ」
「うん」
「ええ娘に育って欲しいからエーコだ」
「本気で言ってるの?」
呆れた眼差しをされた。
「ああ」
「ははははは……」
思いっきり笑われた。
単純なのはわかってる。
だけど、俺はこれしか思いつかなかった。
「気に入らないならティーが決めろ」
「ごめんなさいね。一応何でそんな発想になったのか聞かせて」
「俺の手は血で染まってる。だけど子供にはそうならず真っ直ぐに良い子になって貰いたい。だからエーコだ」
本当は子供を抱く資格もないのではないかと思う。
それでもティーに惹かれた結果だ。
せめて子供は真っ直ぐでいて欲しい。
「わかったわ。それにしましょう」
「良いのか?」
「ええ。貴女はこれからエーコよ。エーコ=アローラ」
<真っ直ぐ>を<ー>にしました
それで最初に思い浮かんだ名前が<イーコ>
ダッサー!笑
ってわけで<エーコ>と命名
名前の決め方は適当ですが、アークス、ダームエル、エリス、エーコのみはそれなりに考えてます




