チーム名はダーク
ダームエルと組むようになって5年が過ぎた。
最初の時のように一緒に仕事する時もあるが、ダームエルが仕事を取って来たり情報収集、それにバックアップするようになった。
そして俺が表だって実行する。
これが基本スタイルだ。
その為、いつの頃からか俺は顔を隠すようになった。
覆面だったり鉄仮面だったりころころ変えてバレなようにした。
勿論それもダームエルが考えた事だ。
ダームエルは約束通り色々教えてくれた。
俺達がやってる仕事も良いか悪いかで言えば悪い事だともはっきり言う。
今更ちゃんとした仕事ができるとも思えないので辞めるつもりはない。
ダームエルは俺にある程度の事を教えると辞める気はないか?と言って来た。
辞めるなら真っ当な仕事を紹介するとも。
不思議だ。
何故俺にこんな良くしてくれる?
それにダームエルは悪い仕事だって言うが、ただ一貫してある仕事だけは引き受けないし、そうだとわかれば手を引く。
「アークス!15歳の誕生日おめでとうさん」
「ありがとうよ」
今日は俺の誕生日を祝ってくれるとかでラームジェルグの町の店を1つ貸し切りにしている。
何を大袈裟なと言ったら、15歳は成人の歳だから節目だそうだ。
「ほれ初酒だ。飲んでみな」
成人と言えば酒を飲んで良い歳だそうだ。
あまり興味なかったので今まで飲まなかった。
だが、勧めてくるのだ。
飲んでみよう。
「悪くない」
「そうか。だが最初は軽くにしておけ。記憶飛ぶぞ」
ケラケラ笑いながら言う。
もう酔ってるのか?
「そんな事あるのか?」
「まあ重度だとな。軽度だと頭痛で済む」
「そうか」
「それでアークス。やっぱりこの仕事続けるのか?」
またその話か?もう何度も聞いた。
「ああ……ダームエルは俺がいない方が良いのか?」
「いやお前さんのお陰で金をがっつり稼げてるからいた方が良いぞ。だが何度も言うがこれは真っ当な仕事じゃない」
「今更だ」
「そうか。じゃあもうこの話は二度としない。ただ俺もいつか辞めると思う。その時はお前も考えろよ」
「ああ」
いつか、か。ダームエルは先を見据えてのかな?
「なあダームエル」
「何だ?」
「何故俺を相棒にした?」
ダームエルが目を丸くする。
「何を今更。最初に言っただろ?能力の問題だ」
「違う。それなら俺に常識を教える必要もないし、真っ当な仕事を紹介するなんて言う必要もない。コキ使い倒せば良い」
「そうだな……」
ダームエルが一気に酒を煽る。
そしてしばらく沈黙が続く。
やがてゆっくり口を開く。
「……俺は孤児なんだ」
「そうなのか?」
「薄々気付いてるかと思ったぞ」
「何故だ?」
「俺には家名がない」
確かにただのダームエルだな。
「それは言いたくないとかだと思った」
「ハハハ……そうとらえていたか」
何が可笑しいのかしばらく笑っていた。
「でだ、俺も散々な事やって来たんだよ。毎日盗みとか場合によっては殺しとか。食って行く為にな。お前さんと同じだよ」
「そうか」
「だから俺は自分と同じようなガキは見たくないんだ」
「それで俺を助けたと?」
「そこまで大層な事言うつもりはねぇよ。お前さんとは良い仕事ができると思ったのは事実だしな」
「子供が悲惨な事になる仕事は避けてたのもそれが理由か?そういう仕事だとわかれば、途中で手を引いたのも」
「まあな」
またしばらく沈黙が続く。
ダームエルが何かを言おうとして口を開こうとするが直ぐに閉じる。
逡巡してる感じだ。
そしておずおず話し出す。
「……俺さ夢があってさ。笑うなよ?」
「何だ?」
「世界中のガキを不幸にしない事」
「………」
無理だろ。
笑うなと言われたし黙る事にした。
「無理だと思っただろ?」
「……ああ」
「俺もそう思う。だけど1つ俺にもできそうな目的があるんだ」
「何だ?」
「孤児院の運営。世界中は無理でも孤児院を作った町だけなら可能だろ?」
「それなら現実的だな」
「さっき言ったいつか辞める時だ。まだまだ資金がたりないと思うがな」
そうか。
それならこの関係もいつか終わるな。
「お前さん、もしその時が来たらどうする?」
「暗殺者でもなるかな?」
「お前さんらしいな。でもお前さんには護衛のが向いてる。気配察知が優れてるから敵に襲撃される前に気付ける」
「そうか?」
「ああ……お前さんはきっとどこかの城で仕えるようなタマだよ。だからその時が来たら、考えてみてくれ」
「わかった」
「それとな、そろそろ俺達のチーム名を考えないか?」
今更だろ。
「酔ってるのか?」
「まあな。今までこっ恥ずかしくて言えなかったんだよ。ダームエルとアークスでダークはどうだ?」
「安直」
「だが、薄暗い仕事をしてる俺等には調度良い名だろ?」
「まあな」
確かにそれは言えるな。
「でだ、次の仕事なんだがな」
「もう仕事取ってきたのか」
「まだ完全に取っていない。今回は今まで以上に厄介なんだ。だからお前さんに相談してと思ってな」
「何だ?」
「ラフラカ帝国って知ってるか」
「ああ」
最近有名になって来たな。
何でも精霊から無理矢理力を吸い取って人工魔導士を作るとか。
危険な帝国だって騒がれている。
「そこからの依頼だ」
「内容は」
「エド城に潜入して魔導士を皆殺しにしてくる」
自分たちだけ魔導士を独占したいのかね。
「それのどこが厄介なんだ?」
「エド城は侍達が有名な国。平たく言えば手強い」
「そうか。それで魔導士だけで良いのか?侍は殺さないで良いのか?」
「邪魔なら殺しても良いが、仕事は魔導士の皆殺しだから無理する事ないだろ」
「わかった」
「それでな。侍が相手だと俺がいると完全に足手まといだ。それでお前さん一人でやる事になる。だからアークスが決めてくれ」
「俺は構わない」
「わかった」
次なる標的はエド城の魔導士。
侍がどれくらい手強いか知らないが闇夜に紛れて標的だけ殺れば良いだけだ。
魔導士は接近すれば大した事ない。
そして俺は三日後エド城に夜な夜な忍び込む事になった……。
地図は参考程度の物です




